名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(47)が1日、守備の再整備に着手した。午前の練習では約30分もの時間をかけ、DFダニエルへの個人指導を徹底。昨季は感覚的なプレーで何度も失点を招いた助っ人に、チームの決まり事を意識させた。さらにDF阿部、増川にも1対1の対応を再確認させ、午後も数的不利な状況を想定した守備練習に取り組むなど、最終ラインの意思統一を図った。
「ゴール前で縦に行かせるな!」「抜かれてクロスを上げさせるな!」。暖かな日差しに包まれた午前練習、ストイコビッチ監督の声がピッチに響いた。守備陣だけを集めて入念なミーティングを行うと、その後に時間を割いたのはダニエルへの指導だ。自らドリブルで仕掛けて実演しながら、状況に応じた守備の対応を細かく諭した。
足元の技術も身体能力も高いダニエルだが、昨季は感覚的なプレーで相手にかわされるシーンが散見された。特に0−5と守備が崩壊した9月29日のアウェー新潟戦では今季チームメートとなったFW矢野にペナルティーエリア内でのドリブル突破を許し、増川のオウンゴールにつながる痛恨ミス。ストイコビッチ監督は「バスケットボール選手のような(大柄な)相手にもダニエルは簡単に抜かれていた。幼く、子供じみたプレーだ」と会見でやり玉に挙げた。
だからこそ、今季も同じミスを繰り返させるわけにはいかない。ダニエルは指揮官の意をくみ、「グランパスの守り方は他のチームとは少し違う。確かに去年移籍してきて難しかった部分もあった。今年はより監督の考えを理解してしっかりとやりたい」と意欲的に話した。闘莉王の来日予定すら決まらない現状だからこそ、昨季は不安定だった増川とダニエルにとっては、コンビネーションを熟成させる絶好の機会だ。 (宮崎厚志)
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