安倍政権は日本版の国家安全保障会議(NSC)を創設しようとしている。有識者会合を近く立ち上げ、具体的な設計に入る。
NSCを設けるのは、外交や安全保障にかかわる政策を、首相官邸が主導しやすくするためだ。
主な役割としては中国をにらんだ政策や、緊張する朝鮮半島、中東情勢への対応など各省庁にまたがる政策を統括し、首相を補佐することにある。
さらには長期の視点や分析にもとづき、国家的な対外戦略を立案する機能も期待している。米ホワイトハウスのNSCなどを参考にする。
この構想は的を射ている。いまの首相官邸には外務、防衛をはじめとする関係省庁から情報を吸い上げ、対外政策を取り仕切る機能が欠けているからだ。
首相官邸にはそれに必要なスタッフも、組織もない。重要な案件をのぞけば、日々の政策は外務省や防衛省にゆだね、何か問題や危機が起きてから、あわてて調整に乗り出すことも少なくない。
いまの体制は、外交や安全保障に欠かせない機密情報の収集や分析という点でも問題が多い。
各省庁が持っている機密情報は本来、内閣情報官が集約し、首相や官房長官に上げることになっている。だが、実際には各省庁から官邸に、ばらばらに報告されることも珍しくないという。
こうした省庁縦割りの弊害をなくすため、首相官邸の司令塔としての機能を強めなければならない。NSCはそのための有効な処方箋になる。問題は具体的な設計である。
下敷きになるのは第1次安倍内閣のときの構想だ。それによると、首相、官房長官、外相、防衛相をNSCの常設メンバーとし、国家安全保障問題担当の首相補佐官も新設する。そのうえで、NSCの運営を支えるため、民間人も含めた専任スタッフからなる事務局を、官邸に設ける。
骨格はこれでよいとしても、詰めるべき点は多い。まずはNSCの権限だ。首相の助言役にすぎないのか、何らかの決定権を持たせるのか。決定権を与えるなら、閣議との兼ね合いも課題になる。
国家安保担当の首相補佐官と、閣僚の「束ね役」である官房長官の役割分担も、明確にする必要がある。NSCを機能させるため、こうした疑問点も踏まえ、緻密な設計に全力を尽くしてほしい。
NSC
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