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2013年2月2日(土)付

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いじめ自殺―救済する機関を校外に

先生たちはいじめを知っていた。親身になって対応していれば自殺を防げたはずだ。いじめを受けていた中学2年の男子生徒が自殺した問題で、大津市の第三者委員会がそうした内容の報[記事全文]

英国とEU―きしむ政治と経済

欧州連合(EU)から英国が脱退すべきか否か。その是非を問う国民投票を5年以内に実施すると、キャメロン英首相が宣言した。背景には、脱退を求める国民世論の広がりがある。だが[記事全文]

いじめ自殺―救済する機関を校外に

 先生たちはいじめを知っていた。親身になって対応していれば自殺を防げたはずだ。

 いじめを受けていた中学2年の男子生徒が自殺した問題で、大津市の第三者委員会がそうした内容の報告書をまとめた。

 市教委は「いじめと認識できなかった」と言っていたが、教諭のメモなど学校や市教委の資料を分析し、生徒や教諭に聞き取りをしての結論だ。

 事実をしっかりとおさえた説得力のある報告と評価できる。

 男子生徒が同級生らから受けたいじめはすさまじかった。

 教室や廊下で殴られ、教科書や成績表を破られる。自殺の練習を迫られ、「死ね」と罵声を浴びせられる――。報告書は19項目に及ぶいじめ行為をあげ、「重篤ないじめが自殺につながる直接の要因」と結論づけた。

 何人もの生徒が担任に「助けてあげて」と訴えていた。自殺の1週間前、担任は同級生の暴行を目撃しながらも「やめとけよ」と言うだけだった。

 複数の同僚教諭もいじめと考え、担任をまじえて会議がもたれたが、対策をとらなかった。

 生徒たちからSOSを発しても、教諭らが見逃せば救いを求める先がなくなってしまう。

 報告書は、提言のひとつとして、学校外に子どもの救済機関をつくることをあげている。

 この点で参考になるのは、兵庫県川西市が1999年に設けた第三者機関の「子どもの人権オンブズパーソン」制度だ。

 弁護士や大学教授らが電話相談をもとに独自に調べ、問題があれば学校などに勧告する。最悪の事態を防ぐ役割をめざしている。11年の相談は598件。うち43%は子どもからだった。

 こうした制度は各地に広がりつつある。子どもにこたえられる相談役や、事実の調査にあたる人材の育成が重要だ。地域にあった仕組みを考えたい。

 もうひとつ、報告書で見逃せないのは男子生徒が自殺した後の学校や市教委の動きだ。

 自殺の原因の調査をおろそかにする一方、いじめとの因果関係を否定する方向で遺族との訴訟に備える対応をしていた。

 市教委は被害生徒の家庭環境が自殺に影響しているようにも主張していたが、報告書は「確たる証拠もなく、虚構のストーリー」と厳しく批判した。

 それによって遺族を二重に苦しめただけでなく、いじめを加えた生徒が自らの行動を省みる機会も奪ったのではないか。

 いじめは全国の問題だ。

 大津の反省に学び、子どもたちの叫びにこたえる。それは大人の責任である。

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英国とEU―きしむ政治と経済

 欧州連合(EU)から英国が脱退すべきか否か。その是非を問う国民投票を5年以内に実施すると、キャメロン英首相が宣言した。

 背景には、脱退を求める国民世論の広がりがある。だが、首相演説から見えてくるのは、この国の抱える矛盾と苦悩にほかならない。

 EUの加盟国は27カ国、総人口は5億人。半世紀余りに及ぶ欧州統合の取り組みで、共通政策は対外通商から農業、外交・安全保障まで広がった。

 日本から見れば、英国は欧州統合の真ん中にいるように見えるが、実はそうではない。

 EUの共通通貨ユーロは英国では使えない。ドーバー海峡を越えて英国に入る時には、パスポートが必要だ。国民も欧州統合への違和感を伝統的に抱えている。

 キャメロン氏は、英国はEUに残留すべきだとする一方、EUはあまりに課題が多いとも語っている。

 暮らしや仕事にかかわる規制や法律が、国民に知らされないままEU官僚の手で決まる「民主主義の赤字」への国民の不満は強い。経済競争力の強化やユーロ危機からの克服策も不十分なままだ。

 そうした弱点を、フランスやドイツは銀行監督の一元化や財政協調など一層の連携強化で克服しようとしている。

 英国はこうした動きにも抵抗しており、逆に、労働時間や環境の規制、司法分野の主権をEUから取り戻そうとしている。

 首相演説には、2年後の総選挙に向けて、反EU派の多い保守党の結束を保つ狙いがあるといわれる。

 同時に、ギリシャに端を発する債務危機でEU不信を募らせる国民に向けたメッセージであることも間違いない。

 もちろん、英国内にも産業界やエリート層を中心に脱退に反対する意見もある。経済への影響を懸念するからだ。

 グローバル経済のもとでは、競争力の回復も、財政再建や失業対策も、一国で克服するのは難しい。脱退となれば、英国の金融や輸出産業は大きなダメージを受ける――。

 英国民がこうしたリスクを覚悟するなら、脱退もひとつの選択肢かもしれない。

 日本にとっても、ひとごとでは済まない。

 グローバル化のもとでの政治と経済の相克という意味で、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題も、同じ根っこを抱えているからだ。

 英国の選択を注目したい。

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