「慕って指導を仰いできた女子学生の心を踏みにじった」――。
指導者が１０代の教え子に酒を飲ませて乱暴したことを、判決は厳しく指弾した。柔道五輪金メダリストの内柴正人被告（３４）に実刑を言い渡した１日の東京地裁判決。無罪を主張していた内柴被告は、不満そうに判決に聞き入った。
午前１０時に入廷した内柴被告は、有罪が言い渡された瞬間は身じろぎもしなかったが、判決理由を聞く約３０分間、手で目頭や口を押さえ、落ち着かない様子を見せた。判決読み上げ後、裁判長が控訴の手続きを説明しようとすると、「控訴させてもらいます」とぶっきらぼうに述べた。
内柴被告は公判で、「性行為に及んだことは社会的に非難されるべき。軽はずみなことをした」と後悔を口にする一方、昨年１２月の最終意見陳述では「ウソはついていない。無罪だと確信している」と涙ながらに訴えていた。
判決は「被害者は打ち込んできた柔道を奪われ、人生を一変させられた」と指摘した。被害に遭った女子部員は、内柴被告の指導を受けたいと関西から九州看護福祉大に入学したが、事件で休学を余儀なくされ、柔道部にも戻れない。