シャープが過去最大の通期赤字に、来期回復へ液晶中小型化

2012年 02月 1日 21:26 JST
 
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[東京/大阪 1日 ロイター] シャープ(6753.T: 株価, ニュース, レポート)は1日、2012年3月期は過去最大の連結最終赤字になると発表した。当期純損失は2900億円の赤字の見通しで、リーマン・ショック後の2009年3月期の1258億円を上回る。液晶パネル、液晶テレビの両事業が赤字に転落するほか、太陽電池事業も従来予想より赤字が拡大する。

市況低迷で、テレビ向けの大型液晶パネルを製造する堺工場(大阪府堺市)の稼働率を1―3月期から半減する。減産は来上期中も継続する見通し。外販などの状況を見ながら稼働率を上げていく考えだが、スマートフォンやタブレット端末で需要が拡大している中小型パネルへの移行がどこまで進むかが、来期に向けての利益改善の大きなポイントとなる。

<テレビ数量・単価が下落、パネルも悪化>

大阪市内で会見した安達俊雄副社長は、今期の液晶テレビ国内市場について「今まで全くなかったパターン。数量的にも単価的にも急激に下落した」と説明。需要の低迷と価格下落が同時に進行したことを明らかにした。

自社の液晶テレビ「アクオス」は、国内需要の急減や中国市場の消費鈍化のほか、競争激化による単価下落で販売台数・売上金額とも従来予想を下回った。通期の液晶テレビの販売台数は従来計画の1350万台から1280万台に修正。通期の液晶テレビの売上高見通しも従来予想の6400億円から6000億円に下方修正した。

世界的な液晶テレビの需要低迷から、大型液晶パネルを製造する堺工場の外販も減少。国内のテレビ需要低下で昨年12月から亀山第2工場が稼働率を落としたのに続き、堺工場も今1―3月期から減産を実施し、稼働率を50%程度まで落とす。通期の液晶パネル事業の営業損益は190億円の赤字(従来予想は330億円の黒字)に転落する見通しだ。

<太陽電池事業も苦戦>

太陽電池事業も、欧州での金融不安や価格下落で海外販売が減少するほか、国内でも中国メーカーなどとの競争激化で事業環境が悪化しており、通期の売上高は従来計画の2400億円から2000億円に、販売量の計画も従来の1350メガワットから1100メガワットに、それぞれ下方修正した。同事業の営業損益は従来計画の160億円の赤字が240億円の赤字に拡大する。   続く...

 
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2─3月に小天井との見方も

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