この10年間、Appleはパソコンを、ユーザーのあらゆるデジタル音楽や写真、ビデオ、文書などを保存、管理する中央デジタルハブとして扱ってきた。「10年間の大部分はうまくいっていた」とSteve Jobsは言う、「しかし、ここ数年それが崩壊し始めてきた」。この秋にiOS 5が公開された時、Appleはこのデジタルハブを、iCloudでオンラインに移すつもりだ。
今日(米国時間6/6)Steve JobsはiCloudの詳細を紹介したが、それは単なるクラウド版iTunesをはるかに超えていた。スタート時のクラウドコンポーネントは、iTunes、フォトストリーム、ストレージ、iBooks、バックアップ、App Store、全MobileMeアプリ(連絡先、カレンダー、メール)の9種だ。そしてこれは、OSの一部として提供され、容量5ギガバイトまで無料で使用できる。
iCloudでは、パソコンは単なる1デバイスへと格下げされ、すべてはクラウドに保存、同期される。新しい連絡先やカレンダーの予定、文書、写真、歌などを追加すれば、すべてiCloudで利用できる。新しいデバイスを買ったり、MacからiPhone、iPadへと移行しても、殆どの重要データはそこにある。「いくつものデバイスを同期しようとすると頭がおかしくなる」とJobsは言う、「ご存じの通り、これは古くて新しい話。iPhoneで何かを買う。でも私の他のデバイスでは使えない。」
AppleはMobileMeアプリから始めた。「あれは全部捨てて、一からiCloudアプリに書き直した」とJobsは言う。連絡先、カレンダー、メールもすべてiCloud経由で同期される。iTunesやApp Storeも同じだ。Mac上で歌やアプリを買えば、iPhoneやiPadにもケーブルを使わずにダウンロードできる。どの曲やアプリを買ったかをiCloudは知っている。もしユーザーが、これまでにCDからインポートした曲をどのデバイスでも聞きたければ(iTunesで購入した曲でなくても)、新しいiTunes Matchというサービスで年間$24.99払えば可能だ。
iTunesで買ったものすべて(音楽、アプリ、本)がiCloudにバックアップされるだけでなく、カメラロールの中の写真も、デバイス設定も、アプリのデータも同じだ。iWorks(Pages、Keynote、Numbers)で作った文書もiCloudに保存できる。「クラウドを空に浮かぶハードディスクだと思っている人がいる」とJobsが含み笑いをする、「われわれは、はるかそれ以上のものだと考えている」。
iCloudは多くのApple製アプリに組み込まれていくだろう。iPadのiBookで本を読んでいれば、ブックマークしたページを覚えていて、後でiPhoneで見つけることができる。iPhotoには新しくフォトストリームボタンがついて、自動でiCloudに写真をアップロードし、他のデバイス(WindowsパソコンやApple TVも含む)で共有できるようになる。Appleは、最新の写真1000枚のみを保存し、アルバムは30日間だけ保存される。フォトストリームは5ギババイトの総容量には勘定されない。音楽とアプリも同様だ(メール、文書、バックアップのみが対象で、追加のストレージを購入することが可能)。
おわかりいただけただろうか。われわれの憶測の大部分は当たっていた。iCloudはiOSそのものに組み込まれる。そして将来多くのアプリの基本機能になることは間違いない。デベロッパーたちはiCloudストレージAPIを使って、アプリをiCloudに繋ぐことができるようになる。
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(翻訳:Nob Takahashi)