えちぜん鉄道(福井県)は24日、利用者の増加に対応するため、2013年度末に車両2両(1編成分)を増車する方針を明らかにした。同社が車両の所有台数を増やすのは初めて。冬場を中心に朝夕のピーク時間帯にはすべての乗客を収容しきれない便が出ているため、輸送力を高める。
同日開かれた活性化連携協議会の会合で、見奈美徹社長が報告した。
えち鉄の12年度利用者数は、前年度を約5万人上回る約328万人と予想され、過去最多となる見通し。前身の京福電鉄として運行していた00年度の約300万人を大きく上回っている。
えち鉄は会社設立時に京福電鉄から33両を引き継ぎ、そのうち継続使用の可能な25両体制で開業した。老朽化で随時更新しているが所有台数は変わらず、増加する利用者数に対応しきれなくなってきたという。
えち鉄によると、三国芦原線の福大前西福井駅では、高校生の下校時間に利用者が集中。朝以外は定員120人の1両編成で運行しているが、すべての利用者が乗れないケースが年間で5回以上は起きている。増車をすれば夕方も2両編成で運行できるようになる見込み。
また、朝の通勤・通学時間帯には三国芦原、勝山永平寺の両線とも混雑し、福井口駅などでは2両編成でも利用者が乗り切れない事態が増えているという。運行間隔を縮めて増便する余地はないため、今後もこれまでと同様に臨時便を出して対応するとしている。
見奈美社長は会合で「目標の333万人に近づいた現状を踏まえると、ここで何か手を打たないといけない」と強調した。2両の増車費用は約1億3千万円。13年度中に予定する更新車両4両と合わせて導入したい考え。12年度から10年間の連携計画で定められた設備投資額の枠内で負担するとしている。