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シェールガス・オイル革命と世界の地政学秩序
――低下する資源大国の影響力
(2月号プレビュー)
 

5年後、アメリカはサウジを抜いて、
世界最大の産油国になる
――世界エネルギーアウトルック
(2013年2月号

ファティ・ビロル/国際エネルギー機関(IEA)、チーフエコノミスト

ヨーロッパの天然ガス価格はアメリカの5倍も高く、アジアの価格はアメリカの8倍にも達する。わずか5年前には、これらの地域の天然ガス価格はほぼ同じ水準にあった。だが、5年間でこれだけの価格差が生じてしまった。価格が高いことが、天然ガスの市場シェアの拡大に歯止めをかけている。たしかに天然ガスは黄金時代を迎えている。だが北米市場を別にすれば、市場シェアの拡大には、ヨーロッパとアジアの価格がアメリカ並みに下がるか、少なくとも、それに近づいていく必要がある。・・・そして、現在からわずか5年後の2017年には、アメリカは、サウジアラビアを抜いて、世界最大の石油生産国になる。これは主に、(シェールオイルなど)非在来型の資源であるタイトオイルを開発できるようになったからだ。こうしたエネルギーシステムの新たな見取り図が、地政学的に何を意味するかを考える段階にきている。


シェールガス資源が塗り替える
世界の地政学地図
(2013年2月号

アビエザー・タッカー/テキサス大学オースチン校
エネルギー研究所アシスタントディレクター

非在来型(シェールガス)資源の発見によって世界のエネルギー供給は大きく拡大し、近い将来に、供給が需要を上回るようになる。どうみても、世界のエネルギー価格は今後低下していく。すでに、アメリカの天然ガス価格は、2008年当時と比べて4分の1へと低下し、これが世界的な波及効果を持ち始めている。新技術が可能にしたシェールガス資源の開発によって、いまや経済・貿易領域での国家間の力関係も、エネルギーをめぐる地政学も変化の時を迎えている。これまでよりもはるかに安いエネルギー価格で規定される新しい世界では、石油や天然ガス資源が地政学秩序に与える影響も低下していく。すでにエネルギー供給国・ロシアと消費地域であるヨーロッパの関係は変化しつつあり、ロシアと中国の関係も今後変化していくだろう。この地政学環境の変化によって、資源の富に依存してきた独裁者の命運もいずれ尽きることになるかもしれない。


「天然ガス革命」の到来
―― 天然ガス・グローバル市場の誕生は近い
(2011年2月号)
ジョン・ダッチ/元米エネルギー省次官
水平抗井や水圧破砕という二つの技術進化によって、これまで開発が難しかった世界のシェールガス資源の開発・生産効率が劇的に改善し、その生産コストも大きく低下している。シェールガスという安価な非在来型天然ガス資源の開発が急ピッチで進められているのは、こうした理由からだ。しかも、シェールガス資源のような非在来型天然ガスの生産が強化される一方で、地域間を結ぶパイプラインが整備され、天然ガスの液化施設の建設も進められている。必然的に、天然ガス価格を石油価格に連動させた、供給側に有利なこれまでの契約は次第に姿を消していくだろう。いずれ、より透明性の高い天然ガスの世界市場が誕生し、最初に電力生産部門で、次に、産業・交通部門で天然ガスが石油に取って代わっていくことになるだろう。この流れを「天然ガス革命」と呼んでも、過度に事実を誇張することにはならないはずだ。




現在からわずか5年後の2017年には、アメリカは、サウジアラビアを抜いて、世界最大の石油生産国になる。これは主に、(シェールオイルなど)非在来型の資源であるタイトオイルを開発できるようになったからだ。こうしたエネルギーシステムの新たな見取り図が、地政学的に何を意味するかを考える段階にきている。写真はシェールオイル開発の様子。

関連論文



21世紀のエネルギー地政学
――原子力、天然ガス、石油の未来
(2011年8月号)

マイケル・レビ
ウィリアム・マーチン
デビッド・サンダロー



石油も石炭も原子力も必要としない世界
―― 超素材と「インテグレーティブ・デザイン」の力

(2012年3月号、2013年2月Subscribers' Only公開予定)

アモリー・B・ロビンス


関連ニュース

(外部ページへジャンプします)


米国で原発の閉鎖相次ぐ―天然ガス価格急落でコスト逆転(1月30日
ウォールストリート・ジャーナル

2月号掲載論文から



先進民主国家体制の危機
―― 改革と投資を阻む硬直化した政治

ファリード・ザカリア



米軍の大規模な撤退を
―― 控えめな大戦略への転換を図れ

バリー・R・ポーゼン


ポール・ボルカーの思想
―― 近代ファイナンスの英雄が示した気骨

オースタン・グールズビー
他、全12本掲載。


Agenda and Current Issues
2013.1.30更新

2013年2月号の目次はこちら>>
2013年2月号の要旨はこちら>>
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2012年1月号の要旨はこちら>>
 
 

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ヨーロッパの政治的迷走
―ドイツ、フランス、イギリスの
政治と統合の危機
金融・財政危機と
ブラック・スワンの政治・経済学
論争 米軍は日本と
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追い込まれた金正恩
――核実験と体制崩壊の間
中国に関する2つの見方
―権威主義経済大国の時代の
到来か、それとも体制崩壊か
二期目のオバマ大統領を
待ち受ける外交アジェンダ
日本経済、欧米経済の
現状をどう捉えるか
――デフレとインフレの間
日中韓の新指導者と
東アジア安全保障

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―― 改革と投資を阻む硬直化した政治

 
ファリード・ザカリア/国際政治分析者
米軍の大規模な撤退を
―― 控えめな大戦略への転換を図れ
 
バリー・R・ポーゼン/マサチューセッツ工科大学教授
米軍撤退論にメリットはない
―― アメリカの対外エンゲージメントを維持せよ
  スティーブン・G・ブルックス/ダートマス・カレッジ准教授
G・ジョン・アイケンベリー/プリンストン大学教授
ウィリアム・C・ウォールフォース/ダートマス・カレッジ教授
5年後、アメリカはサウジを抜いて世界最大の産油国になる
――世界エネルギーアウトルッ
  ファティ・ビロル/国際エネルギー機関(IEA)、チーフエコノミスト
ポール・ボルカーの思想
―― 近代ファイナンスの英雄が示した気骨
  A・グールズビー/シカゴ大学ブースビジネススクール経済学教授
 
他全12本掲載
ヨーロッパの政治的迷走
マリで何が起きているのか
イギリスのEUジレンマ
――脱退すべきか、踏みとどまるべきか
ブラックスワンの政治・経済学
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「冷戦の終焉」と旧秩序の再発見
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