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【芸能・社会】

長渕 殺気の向こう側に優しさ 8年ぶりに詩画展でメッセージ

2013年2月1日 紙面から

 ミュージシャンの長渕剛(56)が15年以上にわたって描き続けてきた「詩画」と呼ばれるアート100点以上を展示する「長渕剛 第五回詩画展 2013 殺気 黒い血が流れる日」が、3月20日の東京・表参道ヒルズを皮切りに、名古屋、鹿児島など、全国5都市で開催されることが決まった。展示会に先駆け、長渕はこのほど千葉県内のスタジオで、詩画描写の実演を公開。8年ぶりとなる個展へのこだわり、意気込みなどを語った。

 野球のバットほどの長さの大筆の先端をバケツの中の墨に入れる。呼吸を整え、精神統一すると長渕は目をカッと見開き「オッシャー!!」とシャウトしながら、たたきつけるように真っ白な紙へ筆を振り下ろした。どす黒い墨が返り血のように額に降り掛かる。大筆で「殺気」と書き終えた後は、沸き上がってくる言葉を一心不乱に小さな筆で注入していった。

 8年ぶりの詩画展のテーマは「殺気」。なぜこのような攻撃的な文字を選んだのか。長渕はこう持論を展開した。

 「例えば君と僕が一緒に高い山を登るとき、まず『本気か?』と聞く。本気の階段を一歩上ったとき、次は狂気が待っている。覚悟はあるのかと。そして狂気の次に押し寄せてくるのが殺気。狂気と覚悟をもって死ぬ気で前に駆け上がらないといけない。そういったものが僕らの中に眠っているんだよということを共有してほしい」

 「死に物狂い」という言葉を象徴する精神だが、本当に長渕が伝えたいのは、死するほどの覚悟を持って互いに手を取り合ったとき、殺気の向こう側に優しい心が生まれるということだ。

 「『おまえ死んでもいいのか』というくらいに互いが愛をはぐくんでいくことが僕らの時代には必要。自分の心の中にあるいろんな心の要素の中で、狂気や殺気、ずるさとか一番触れてはいけない部分に勇気を出して触れてみると、その先にはきっと可憐(かれん)な花が咲いているような、優しさに包まれた幸せな世界がある気がするんです」

 長渕が詩画をライフワークとするのは、自身の故郷・鹿児島の知覧で、太平洋戦争時に神風特攻隊として自己犠牲を払った青年兵たちの思いや、精神に多大な影響を受けたからだという。

 「あの先輩達の後に生まれた人間として、自分はこうして生きているんだという痕跡をつめでひっかきながら残していきたい。そういったものが僕の中で詩画となっていきます。人間はひっかき、もがき、苦しむ。それを隠すな、表現しろと。10代の若者が僕の個展を見たとき『これでいいんだ』と。心に内在する感情をこういう形で表現してもいいんだということを分かってもらいたい」

 今回展示される作品は約100点。東日本大震災の後、長渕が被災地で見たこいのぼりを題材にした縦10メートル、幅4メートルの超巨大な詩画は必見だ。

 

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