横浜地検川崎支部が窃盗で無罪論告も詐欺で追起訴 恥の上塗りか
5月23日の《横浜地検川崎支部が自動車の窃盗で誤認起訴 無罪論告へ》の記事で報道していた事件は、6月14日に横浜地方裁判所川崎支部(写真)で公判(荒川英明裁判官)が開かれ、検察官は窃盗罪について無罪を立証、論告することを表明した。
一方、中川隆成被告(46歳)が自動車の所有者・菊地均被告と共謀し、盗難保険金をだまし取ったとして詐欺罪で追起訴した。しかし、こちらもだいぶ捜査の詰めが甘いように思われる。
検察官の陳述によると、以下のような事実関係があったという。
2011年9月 中川被告が菊地被告からベンツを借り、乗りまわす。
同月 菊地被告が警察に盗難届を出す。
11月 中川被告がベンツで事故を起こし、神奈川県警察本部に逮捕される。中川被告は「ベンツは盗んだ。所有者は知らない」と供述。
12月 損害保険会社から盗難保険金235万円が菊地被告に支払われる。
2012年1月 菊地被告から現金が差し入れられないので、中川被告が初公判で、「ベンツは菊地被告から借りたもの」と暴露し、窃盗を否認。
これに対し、中川被告は以下のように陳述した。
「2011年10月に菊地被告から、『ベンツに盗難保険がかけてある。警察に盗難届を出し、損害保険会社に保険金を請求した。事故を起こさないよう気をつけて乗ってほしい』と言われた。最初から保険金をだまし取るつもりだったわけではない。ベンツに乗り続けたことが詐欺の幇助だといわれれば、それは認める。ただし、自分は1円も利益を得ていない。保険金額が235万円だったことも、検察官の取り調べで初めて知った」
検察官は「中川被告も菊地被告も、警察の事情聴取に対し、お互いのことを知らないと供述していた」とした。
しかし、中川被告や弁護人の山根大輔弁護士は、事前の筆者の取材に対し、こう説明している。
「菊地被告にベンツを借りて乗っていたことは、当初から警察に話している。逮捕されたとき、菊地被告と連絡をとり合っていた携帯電話や同被告と一緒に写ったフィルムが入った使い捨てカメラも所持していたのだから、物証もある」
中川被告や菊地被告が詐欺罪に問われるなら、警察官も同様でなければおかしいような話だ。
この日の公判が終わり、10日後ぐらいに、筆者に中川被告から手紙が届いた。そこには、以下の記載がある(原文ママ)。
「6月14日は新聞記者も何人かとポリら3人も来ておりました。窃盗が見事に無罪論告なりますでしょう。気になって仕方ないのでしょう。私の事調べた宮前署の以前いた寺下俊平ポリは全て知っていたのですよ。私と菊地均が付き合いもあるコトなどもね」
今後、公判で真相が明らかになることに期待したい。
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