自民党の外国人材交流推進議員連盟が、6月12日、人口減少問題の解決策として、今後50年間で1000万人の移民を受け入れる提言を総会でまとめた。外国人材交流推進議員連盟は中川秀直・元幹事長を会長とし、自民党の国会議員約80人で構成する。移民受け入れのために、外国人政策を一元化する「移民庁」の設置、永住許可要件の大幅な緩和政策などを盛り込んでおり、今後、自民党内で論議が始まる。
では移民政策によって、自民党の目論見どおりに、労働力が増えて経済が活性化するか――。ここで、大きな問題が横たわる。日本企業では、外国人が日本人と同じように働く環境が整っていない。移民を「受け入れ」と簡単にいうが、受け入れるには、日本に住み続ける外国人が生きがいを持って、快適に暮らせる仕組み作りが欠かせない。
では、経済活動に関わる就職という点に絞ってみるとどうだろうか。外国人が生きがいをもって働ける場所の提供がカギとなる。
地方在住の外国人に注目のワケ
そんな中で、6月14日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で、外国人を対象とした日本企業の合同就職説明会が開催された。そこからは外国人が日本で働くための現状と課題が見えてくる。
ここに参加した企業は、旭化成や伊藤忠商事、スクウェア・エニックス、大和証券SMBC、トーマツコンサルティング、豊田自動織機、パソナ、三菱商事、三菱重工業などの大手がずらりと並ぶ。「ゲームを日本発のグローバル産業に育てていきたい。そのためには、グローバル人材が欠かせない」。スクウェア・エニックスの宮脇彰英コーポレート・エグゼクティブ人事担当は、参加を決めた理由を話す。
日本在住の外国人向け就職説明会には、欧米やアジアなど22カ国から213人が参加した
来場者の名札を見ると、出身は欧米やアジアの人々。22カ国から213人の外国人が説明会に来場して、各社の採用担当者の話に聞き入った。応募者の平均年齢は27歳。「東京が好きだから、日本企業で働きたいと思っています」。カナダ出身で長崎県に住むクラウディア・ブシャールさんは、流暢な日本語で話す。「せっかく日本語を覚えたし、もう少し日本のことを勉強したい」。岡山県から前日入りで参加したという、シンガポール出身のペニー・ザングさんは日本企業の就職動機をこう説明する。
ここに足を運んだのは、地方で働く外国人。地方公共団体が総務省や外務省、文部科学省などの協力を得て実施しているJETプログラム(語学指導などを行う外国人青年招致事業)で来日した。JETプログラムの目的は草の根レベルでの国際交流で、1987年から始まっている。2〜3年間日本で居を構えて、学校で外国語を教えたり、地方公共団体の国際交流担当として働いたりしている。このため、日本語には不自由しないというわけだ。
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