安倍首相:河野談話「見直し」には関与せず
毎日新聞 2013年01月31日 21時35分(最終更新 01月31日 21時56分)
安倍晋三首相は31日の衆院本会議で、従軍慰安婦問題への旧日本軍の強制性を認めた93年の河野洋平官房長官談話について「河野官房長官が表明したもので、首相である私からこれ以上言うことは差し控え、官房長官による対応が適当だ」と述べ、自らは見直しに関与しない考えを示した。首相就任前は見直しを示唆したが、韓国などとの外交関係に配慮したとみられる。
共産党の志位和夫委員長が「(河野談話を見直せば)日本が世界とアジアで生きていく立場を失うことになる」と追及。首相は「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。私としてはこの問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えている」と答えた。
首相は第1次安倍政権の07年に「強制連行を直接示す資料は見当たらない」とする政府答弁書を閣議決定し、昨年8月にも見直しを示唆していた。これに対し米国の一部も「歴史を否定する試み」と懸念。菅義偉官房長官は「有識者に意見を聞いてみる」と述べるにとどめていた。
首相はまた、アルジェリア人質事件に関し「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設の検討を進める」と表明した。現行の犯罪被害者支援法は海外でのテロを対象にしておらず、見直す意向を示した。みんなの党の渡辺喜美代表への答弁。【小山由宇】