いじめが「直接的要因」 大津中2自殺、第三者委
京都新聞 1月31日(木)23時9分配信
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第三者調査委員会の報告書を越市長に手渡す横山委員長(左)=31日午後2時4分、大津市・市役所
大津市で2011年10月、当時13歳の男子中学生が自殺した問題で、市の第三者調査委員会(委員長・横山巌弁護士)は31日、いじめが自殺の「直接的要因」とする報告書を越直美市長に提出した。学校は自殺前にいじめを認識しながら有効な対策をとらなかったと指摘し、自殺後は原因を家庭問題とする見解を示した市教委の対応を「組織防衛」と批判した。市内全教員の研修など再発防止の提言も盛り込み、市教委が今後5年間、取り組みの成果を市長に報告するよう要請した。
第三者委は昨年8月以降、生徒や教師ら56人から計62回の聞き取りを実施。積み上げた事実から分析を進めた。
いじめの事実については、11年9〜10月に加害行為が19件あったと認定。「屈辱感、無力感をもたらし、いじめの世界から抜け出せないと悟った」として、自殺の直接的要因と結論付けた。一方、家庭問題は「重大な影響を与えなかった」として要因と認めなかった。いじめた同級生は3人とする市教委の判断については「誤り」とし、1人の行動は第三者委が設けた定義でいじめから除外した。
学校と市教委の対応については、自殺6日前に校長がいじめと認識できた可能性を示し、教員の情報共有不足のために対応を徹底できなかったと分析。自殺3日後に、いじめとの因果関係を認めない方向で弁護士と相談した記録が後日削除された事実を問題視し、「組織の体面をかけて因果関係を否定したいという動機が虚構を作った」と非難した。
再発防止策では全教員の研修やスクールカウンセラーの独立性を高めた運用、いじめ被害者救済のための第三者機関設置などを求めた。報告書を男子生徒が通っていた中学校の全教員に配ることなども要請した。
報告書の提出後、越市長は「指摘を厳粛に受け止める。市長の権限でできる対策はすみやかに講じる」と述べた。遺族が市といじめたとされる同級生らに損害賠償を求めている訴訟の対応では、「和解の方針は変わらないが、報告書をもとにもう一度認否を行う」との考えを示した。
最終更新:1月31日(木)23時29分
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