教育再生実行会議のメンバーに感じる「計り知れない危機感」

  [2013/01/31]


教育再生実行会議のメンバーに感じる「計り知れない危機感」

わけの分からない人選でメンバーが決まり、その人たちによって日本の教育が議論され、その舵取りが行われようとしている。教育再生会議のことである。2006年に安倍晋三内閣が設置し、安倍氏が首相から退陣した2008年1月に解散。安部氏が首相に復帰すると、今度は教育再生実行会議(仮称)という名でゾンビのごとく復活した。

まず、同会議を担当する文科相の政務官は、教育界の成り上がりである義家弘介氏。本当に、この人の仕切りで教育に関する重要な会議をやっていいのかよ、と思う。座長は、早稲田大学総長の鎌田馨氏で、学者としての専門は民法。ほかにも学者が3人いる。

川合真紀氏は東京大学教授で、専門は植物生理と分子生物学。八木秀次氏は高崎経済大学教授で、専門は憲法学と法思想史。山内昌之氏は東京大学名誉教授で、専門は中東地域研究と国際関係史。八木氏と山内氏は、いわずと知れたタカ派の論客である。

以前、教育社会学者の本田由紀氏が、「教育についての科学的な検証に従事している者をひとりも含まないメンバーから成る教育再生会議」(朝日新聞、2007年1月27日付)と指摘していた。教育再生実行会議のメンバーにも、まったく同じことが言える。

その他のメンバーは、副座長に三菱重工業会長の佃和夫氏。会社は兵器を製造・販売しているが、成蹊学園理事長をしているから「まいっか」と安倍氏は思ったのだろうか。大竹美喜氏は、アメリカンファミリー生保の最高顧問。佐々木喜一氏は、成基学園という進学塾のトップ。

さらに、現職知事が2人と元知事が1人。三鷹市の教育委員長。私立高校の校長。テレビのコメンテーター。日教組に対抗するタカ派の教職員団体「全日本教職員連盟」の委員長。そして、タカ派の作家である曽野綾子氏……。やはり、今回も「教育についての科学的な検証に従事している者」は、会議のメンバーの中にはひとりもいないのであった。

本田氏は、同じ論考のなかで、教育再生会議の提言が「将来この社会を担うすべての子どもたちの毎日の生活を大きく左右しかねないことに対して、計り知れない危機感を感じる」とも述べている。筆者は、今回の教育再生実行会議にも、同じような「計り知れない危機感」を抱いている。

同会議が、お友だちメンバーの、お友だちメンバーによる、お友だちメンバーが自己満足するための会議にならぬよう、活動を注視していきたい。お友だちメンバーが出す提言は、どんないい加減な内容のものであっても、全国の学校現場に絶大な影響力を及ぼすことになるのだから。

(谷川 茂)

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