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伊藤計劃:第弐位相

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09-27, 2004 あなたと性交したい、動物が好きである。

異性の客の性的好奇心を特定用途鏡によってそそる方法 異性の客の性的好奇心を特定用途鏡によってそそる方法を含むブックマーク

今日、職場のレイアウト変更にともなうお片付けによって、いらん太古のアクアゾーンやらクラッキング防衛大全やらといったCD-Rom書籍が大量に破棄されたのですが、そんななかに一冊、1999年度版の民法連・放送基準解説書がひっそり捨てられていたので、拾って家に持って帰って読んでおるところです。

その放送基準自体もえらくタイトで面白かったりするのですが、それにおまけというか参考でついている「関係法令」、みておいた方がいい実際の法律の項目、で面白いものを見つけたのでちょっと書いてみます。

というかまあ、ぶっちゃけ風営法の項目なんですが。

「動力により振動し又は回転するベッド、横臥している人の姿態を映すために設けられた鏡(以下「特定用途鏡」という。)で面積が1平方メートル以上のもの又は2以上の特定用途鏡でそれらの面積の合計が1平方メートル以上のもの(天井、壁、仕切り、ついたてその他これらに類するもの又はベッドに取り付けてあるものに限る。)その他専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるために設けられた設備

これは何か、というと回転ベッドの説明なわけです。いまはすっかり消滅した回転ベッドですが、振動するやつというのはわたしも聞いたことがありません。振動しながら回転するのだろうか。どんぐらいのフリークエンシーで振動するのだろうか。なんだかやりにくそうだ。「特定用途鏡」というのもなんだか可笑しい。まるでラブホテルの鏡には用途がひとつしかない、このスケベどもが、とでも言いたげな感じです。

あと、この法令の中では「性的好奇心」という単語が頻出します。「異性の客の性的好奇心に応じて」とかそういう感じです。が、「性的好奇心」と漢字で取り繕っているわりには「そそる」などという奇妙にセクシーな単語があとに続く場合が多いです(「性的好奇心をそそる」など)。

あと「異性の客」という(「異星の客」ではない)単語。これもよく出てきます。ということは男娼のみなさんみたいな、同性に体を売る行為はこの法令には該当しないのだろうか、と考えてしまいました。

緊急企画!オモロイ直訳歌詞募集 緊急企画!オモロイ直訳歌詞募集を含むブックマーク

というid:gotanda6さんの企画が面白そうだったので、自分もやってみることにしました。ナイン・インチ・ネイルズのCloser、「セブン」のOPリミックスがかかっていたアレです。

私にあなたを破らせます。私にあなたの神聖を汚させます。
私にあなたに浸透させます。私にあなたを複雑にさせます。
私を助ける、iは私の内部を別々に壊しました、私を助ける、i'veは魂を売らせませんでした
私を助ける、私のために作動するただ一つのもの、私が私自身から逃げるのを助ける。
i、あなたと性交したい、動物が好きである。
i、内部からあなたを感じたい。
i、あなたと性交したい、動物が好きである。
私の全体の存在は欠陥があります。
私を神に、より接近しているようにします。
私の隔離を持つことができます。それがもたらす嫌悪を持つことができます。
信頼の私の不在およびあなたを持つことができます、持つことができる、私の、すべて

私が私の理由を取り壊すのを助けて、私を助ける、その」あなたの性別iはかぐことができます。
私を助ける、私を完全にし、私が誰か他の人に似合うのを助けます。
i、あなたと性交したい、動物が好きである。
i、内部からあなたを感じたい。
i、あなたと性交したい、動物が好きである。
私の全体の存在は欠陥があります。
私を神に、より接近しているようにします。
木の上のすべての森林を通って
私の膝からこすり落とされた私の胃の内に
i、あなたの巣箱の内部の蜂蜜を飲む。
あなたは生きている理性i滞在です。

個人的には

i、あなたと性交したい、動物が好きである。

がツボです。だれでしょうかこの面白い人は。

Dirk_DigglerDirk_Diggler 2004/09/27 17:49 私も発売以来この曲を聴いてきましたが「内部からあなたを感じたい」って改めて猛烈にロマンティックですね。トレント萌え。今度実生活で使おうと思います(ウソ)。

ProjectitohProjectitoh 2004/09/27 23:07 そういうフレーズを真顔で言える関係とか募集中です(ホント)

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09-26, 2004 ゲームショウ、スチームボーイ

スパム文学 スパム文学を含むブックマーク

ついに、うちにも有名な大石メールが来た。

はじめまして。大石オブジョイトイと言います。
セックスフレンドを募集されていましたが、もう締め切りましたか?まだでしたら、ぜひなってみたいと思っているのです。近い処に住んでる人ですし、とても気になったので。
簡単なプロフを、自己紹介をします。

名前は早苗ですが、友達からはオブジョイトイと呼ばれています。
しゃべり方や文章が日本人じゃないなんて言われて、そういうあだ名になったのです。
ですが、日本人です。
あと、顔とかしぐさが、エロいらしいってのもあるのです。
自分でも、オブジョイトイと名乗るようにしています。
歳は21歳です。今までの男性経験は、14人です。
オブジョイトイセックスが好きで、趣味です。
趣味趣味と割り切ってるので、風俗で働こうという気持ちはありません。いまは空間デザイナーの見習いをしています。
それからオブジョイトイ、ちょっとMッ気があります。

ここまでで、もし希望するセックスフレンドじゃないと感じたら、そのまま無視してください。
お返事いただけたら、もっと具体的なことを決めていきたいです。私の画像も送ります。
いきなり送ると、ウイルスかと思われそうなので。
オブジョイトイでした。

何度読んでみても面白すぎるのだけど、特に

名前は早苗ですが、友達からはオブジョイトイと呼ばれています。
しゃべり方や文章が日本人じゃないなんて言われて、そういうあだ名になったのです。
ですが、日本人です。

のあたりが凄すぎる。ジョイトイ、ではなく、オブジョイトイ、とくる感性は並み大抵のものではない。日本人っぽくないとなぜオブジョイトイになるのかもよくわからない。

前から思っていたのだが、これは出会いサギとかスパムとかそういうものを超えた、一種の自己表現の形態、新たな文学の形式なのじゃないだろーか。いうなれば、スパム文学とでも名付けるべきたぐいの。不特定多数の人間に強制的に送りつけられるポエム出会い系を装った文学。こういうのを読んでいると、自分もこういうのが書きたくなってくる。面白すぎて。

ぐだ〜 ぐだ〜を含むブックマーク

土曜日東京ゲームショウ(@一日中立ちっぱなし幕張)から新宿へ向かいundersellのスチームボーイ非公式ナイト、とイベント漬けの一日だったので、日曜日は一日中家で寝てました。ていうか左足がヘトヘトで。何も感じない右足はともかく。

障害者になってみて思うのは、意外と障害を負った人というのは普通にいるもんなんだ、ということ。ゲームショウでも車椅子の人や私と同じ杖をついている人をかなりの数見かけました。これは同時に、障害を負う前は見えていなかった、という無神経さを表すものではあるのだけれど、いざ体になんらかの欠損を負う身になってみると、そういう人たちが「見える」ようになってきて、一日2〜5人は普通にすれ違ったりする(のに気がつくようになった、というべきかな)。

まあそれはともかく、コナミ、というかメタルギアの前に一日中たちっぱなしで、メタルギアに拘束されてました。試遊台でプレイするのに30〜60分くらい待ち、さらにイベントが1日4回という高いローテーションで組まれているので、そのイベントの間は体験版に並び、それが終わるとイベントステージ、と他のメーカに行く時間がなく、ぎっちぎちでした。最後のステージが終わったあとは速攻で新宿に向かい、ロフトプラスワンスチームボーイ非公式ナイトだったので、ものすごい体力を使いました。昼メシ喰うヒマなかったし。

メタルギアソリッド3:スネークイーター メタルギアソリッド3:スネークイーターを含むブックマーク

限定版についてくるシャゴホッド(今回のメタルギア相当物)フィギュア、の箱絵がえらくタミヤ風だったのですが、高荷さんが描いているという噂を聞きましたです。前から生頼さんとか加藤直之さんとか故・小松崎茂さんとか、スタッフ趣味全開だったんですが、最近ネットを見ていると若いユーザばっかりで、こういうノリを嬉しがってくれるのはもはやロートルメタルギア(というか小島ファン)としてはマイナーなんだろーな、とちょっと寂しくなりました。

これについては本サイトのほうにいろいろ書いたので、そっちを参照。私が行った日は、主人公スネークのモーションアクター、吉田瑞穂さんが来てらっしゃいました。って誰よ?という人、ええと、レギオンの中の人です。「さくや」の怪猫の中の人です。さらいにいえば、ゼイラムの中の人でもあります。

スチームボーイ非公式ナイト スチームボーイ非公式ナイトを含むブックマーク

 というわけで例によって例による非公式ナイト。主な出席者は脚本村井さだゆきさん、総作監の外丸達也さん、エフェクト作画監督橋本敬史さん、演出の高木真司さん。今回は大塚ギチさんは脇に控えて、押井ファンにはDOG BOXのコメンタリー3本でおなじみのバンダイビジュアル桑島さんが司会進行をつとめておりました。

 というわけで例によって例による「非公式」な夜なので、すげえ面白かったのですがネットには書かないでねということなので、前回のキャシャーン非公式ナイト同様、内容には触れない方向で。これ、オタクにはかなり面白いイベントだと思いますので、次があったら首都圏の人は行ってみたらどうですかね。

 個人的には、蒸気の原画が衝撃的でした。「丸くない」煙を目指したということですが、まるでフラクタルのようなギザギザの集合体。線画だけだと蒸気にはとても見えません。なにげに革命的な作画だったのでした。

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09-21, 2004 うわ、忘れてたよ

ファンタ ファンタを含むブックマーク

 うわ、東京ファンタのチケット9/11から売っててやんの。今年、東京国際映画祭と重なってないでやんの。開催期間若干早いでやんの。というわけでダッシュして(といっても職場の玄関にチケぴのカウンターがあるんだが)、チケットを購入する。あれ、わりと余裕で買えた・・・どうしたんだ、みんな!ペ・ドゥナたんが来るんだぞ!

15日夜の「激突!! 亜細亜颱風 韓流VS.タイ道」を買ったのは、「TUBE」を観たいというよりもむしろ、ペ・ドゥナの舞台挨拶があるからで、ペ・ドゥナたんが来るとなれば万難を廃して見に行かねばならんのだ。

あとは例によって秘宝。「ジャッカス」やるみたいだしね。

われはロボット われはロボットを含むブックマーク

 なんというか、スカイネット理論で三原則をうやむやにするのはどうかと思いました。サニーは好きだ。

 あと、私は世間が言うほどトムはオレオレじゃないと思うんですが、ウィル・スミスは間違いなくオレオレだ。ウザい類いの。翻って、むしろトムは存在感がない、というか柔らかい、と思うのだ。そうでなければ俳優を駒として扱うキューちゃん映画に出ることができるわけがない。「フルメタル〜」のマシュー・モディーンに近い存在の控えめさがある。

 だがウィル・スミスはオレオレだ。存在感が無いところからむりやりキャラをひねり出そうとしているようなオレオレぶりを感じる。

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09-19, 2004 イノセンス:コメンタリー注釈

なんとなくつくってみる なんとなくつくってみるを含むブックマーク

個人的には「濃い」コメンタリーが好きなのだ。内輪話とディテールの多い。とはいえ、それも程度問題で、予備知識のない映画はツラいし、一般の「オタクでない」ユーザのことも考えなきゃいかんだろう。

で。「さくや妖怪伝」のコメンタリはそういう意味で理想的だったのだ。というのも、これには「コメンタリ用解説字幕」がついていて、樋口真嗣とかが喋ったジャーゴンをいちいちリアルタイムに解説してくれる!これならそこそこディープな、しかしオタクでないひとにもやさしい、そんな楽しいコメンタリができるじゃありませんか。というわけで、これからコメンタリを制作するソフト会社のみなさんは、この方式を一般化してくれませんでしょうか。

と、イノセンスなのだが、このコメンタリも楽しい。んが、これはそれなりの予備知識を必要とするコメンタリでもある(押井の声が聞き取りにくいという人が多いが、私はなぜかはっきり聴こえる。これって特殊技能なのだろうか)。というわけで、連休でもあるし、コメンタリ用注釈を作成することにする。

アニメ初心者向けでもあるので、押井ファンやアニメファン、映画ファンには説明するまでもないことまで書かれていますが、そういうもんだと思ってくださいな。

イノセンス」コメンタリー注釈(作成:伊藤計劃/2004.09.19 訂正・御意見はコメントかメールにて) 「イノセンス」コメンタリー注釈(作成:伊藤計劃/2004.09.19 訂正・御意見はコメントかメールにて)を含むブックマーク

00:44【モーターライズ】(押井)
CG制作会社「Motor LieZ」。樋口真嗣平成ガメラシリーズ特技監督、「ローレライ」監督。押井作品では、ともに実現しなかった「NEXT」「G.R.M」に参加)さんが監督作品「飛ぶ(黒澤明の「夢」の未使用エピソード脚本を映像化したもの。一般未公開)」を映像化するために結成したVFXスタジオ。押井作品では「Avalon」のツィタデル戦車などを担当。
00:45【サトウくんとヤマちゃん】(押井)
Motor LieZの佐藤敦紀さんと山本健介さん。佐藤さんはMoter LieZのCGIディレクター。山本さんは「Avalon」でツィタデル戦車のモデリングを担当。
01:46【タケちゃん】(押井)
イノセンスメカデザイナー・竹内敦志さん。押井作品ではパトレイバー1、レイアウト・原画としてパトレイバー2、前作「攻殻機動隊」ではメカデザインおよびレイアウト、没企画「G.R.M」および「Avalon」ではメカデザインを担当。
01:55【サクラ大戦状態になっちゃった】(押井)
ゲーム「サクラ大戦」のムービーシーンを指す。3DCGと2Dセルキャラのハイレベルな融合としては先駆的作品。デモシーン及び劇場公開された映画「サクラ大戦 活動写真」はProduction I.Gが担当した。コンテおよびメカデザインには竹内さんも参加。
02:02【このへんのでもバトーはね、キセの、いかにも疲れた〜】(西久保)
黄瀬和哉さん。「イノセンス作画監督のひとり。押井作品ではオリジナル・ビデオ・アニメ「機動警察パトレイバー」から参加。劇場版パトレイバー1作目で作画監督。現在Production I.G 取締役員のひとり。
02:43【これは美術が〜いちばん最初に開発で作ったとこだよね】(押井)
アニメにかぎらず、ハリウッドの多くのVFX系大作映画では、既存技術のみではなく、あるカットに対し使用される手法・技術がうまくいくかどうか、という検証を行いながら制作される。というわけでこの場合の「開発」は「実験的な意味で」というニュアンスに置き換えても問題ない。
04:05【襟のところに小紋かなんか入れたかった】(押井)
常識的な話として、複雑な絵を動かすのは単純に大変なのだ。
04:46【結局モリモトにやってもらおうと〜】(押井)
森本晃司さん。アニメーション監督、アニメータ。Studio 4℃創設メンバーのひとり。大友克洋監督作品「AKIRA」で設定・作監補。ケン・イシイの「EXTRA」やGRAYの「サバイバル」などのミュージッククリップや、「音響生命体ノイズマン」などの作品が有名。「アニマトリックス」では街の中にある不思議な廃墟の話「BEYOND」のエピソードを担当した。「永久家族」など。最近、画集「O(オー)レンジ」を発表した。WEBアニメスタイルにインタビュー有
04:56【結果的には、でも、ハヤシさんのほうに】(西久保)
林弘幸さん。「イノセンス」デジタルエフェクトスーパーバイザー兼オープニングシークエンスCGIディレクター。海亀事務所代表取締役。没企画「G.R.M」でデジタル監督、「Avalon」でデジタル・アート・ディレクターをつとめるが、主に「Avalon」のセピア色の色彩を可能にしたデジタル上の調整システム「Domino」まわりをディレクション。「イノセンス」でもこのDominoは使用された。
05:00【ポリゴンさんに頼んで】(押井)
ポリゴン・ピクチュアズ。「イノセンス」オープニングCG制作。CG界ではその名を知らぬものはいない。ロッキー&ホッパーの岩飛びペンギンCGが有名。
05:12【アイジーでとかいったら】(西久保)
Production I.G。「イノセンス」制作スタジオ。
05:15【ベッパン作る余地なかったしさ】(押井)
I.G内にオープニング制作のための別班をたてる余力などとてもなかったということ。
05:42【ずっとトリさんがそういってたんだよね】(押井)
鳥海永行さん。タツノコ時代からの押井守の「師匠」。
06:41【ビョークのプロモーションビデオにそっくりだって言われて】(押井)
クリス・カニンガム監督、ビョーク「All is Full of Love」のPVのこと。
07:46【結局16ビットででなかったんだよね〜】)(押井)
色の階調のこと。デジタルは赤/緑/青にそれぞれXビットの階調を割り当てて色を表現している。一般的なユーザがPhotoshopで落書きをするときなどは8bit/チャンネルのモードで描いているのが普通(「Avalon」は8bit)だと思うが、この各色(チャンネル)あたり8ビット(これはそれぞれ256階調を意味する。全16万色)では、「イノセンス」の場合全然足りず、たとえば赤っぽく暗い場面では「マッハバンド」といって色が階段状にぱっきり境界線が見える現象が起きてしまったため、基本的に16bit(各色6万5千536階調、約281兆色)で作業が行われた。とうぜんながらこれは物凄いデータ量になり、マシンに多くの負荷をかける。ここでは、その16bit/チャンネルでも足りなかったということを押井さんは言っている。
08:40【マツモトくん】(西久保)
松本薫さん。「イノセンス」ディスプレイCGI担当。
09:13【ヒラタくん】(西久保)
平田秀一さん。「イノセンス美術監督。押井作品では美術として「パトレイバー1」「パトレイバー2」「攻殻機動隊」に参加。美術監督としては「劇場版X(CLAMP原作、りんたろう監督)」「メトロポリスりんたろう監督)」など。
10:56【プロデューサーのイシカワ】(西久保)
石川光久さん。「イノセンス」プロデューサー。Production I.G代表取締役。
11:14【ムラカミちゃん】(西久保)
村上正博さん。「イノセンス」特殊効果。
11:23【このモブがね〜残念だったよね〜】(押井)
群集のことをモブという。
11:42【ここは四ヶ国語かな〜ガヤどりが大変だった〜】(押井)
ガヤ(喧噪)の収録=ガヤ録り
12:25【パースが違うってみんなに言われてたね〜】(西久保)
パースペクティヴの略。「パースが狂ってる」など、絵書きの間で遠近法的な構図の正確さを指して使われる。
12:58【ランディがなんかすんげー古臭い〜】(押井)
ランディ・トム。「イノセンス」音響。スカイウォーカー・サウンド。「Avalon」にも参加。
13:21【ニシオくん】(西久保)
西尾鉄也さん。「イノセンス作画監督・サブキャラクターデザイン。「人狼作画監督・キャラクターデザイン。WEBアニメスタイルにインタビュー有
14:32【あのオバサンに会ったのがね】(押井)
イノセンス」制作にあたって取材で訪れた、イタリアはフィレンツェ大学動植物学科付属ラ・スペコラ博物館を案内してくれた、大学の先生。スペコラとは、死体から型をとった鑞人形(よく本物の死体を使ったプラスティネーションと間違える人がいるけど、スペコラはあくまで鑞による模造)。ハラウェイの外見的なモデル。
15:18【てっつん】(押井)
西尾鉄也さんのこと。
15:58【ワタベくん】(押井)
渡部隆さん。「イノセンス」美術設定・レイアウト設定。御術設定・メカ設定など幅広く活動。押井作品ではパトレイバー1&2にレイアウトで参加。以後、攻殻では美術設定およびレイアウト、「Avalon」では美術デザイン担当。
17:00【エヅラくんのところで】(押井)
江面久さん。「イノセンス」ビジュアルエフェクツ。
17:08【ディストーション】(押井)
distortion、ゆがみを意味する英語。ここではワイドまたは魚眼レンズのつくりだすレンズのゆがみのこと。
17:29【ビージー関係で】(西久保)
「BG関係」。バックグラウンド=BG。
19:14【ヨシコさん】(押井)
榊原良子さん。俳優。パトレイバー南雲しのぶ、ナウシカのクシャナ、Zガンダムハマーン・カーンなど、強い女性が多い。
20:51【パクがないとね〜】(押井)
口パク。喋っているシーンで描かれる口をパクパクする動画のこと。
21:11【こっからあれだね〜オキウラの粘着な〜】(西久保)
沖浦啓之さん。前作「攻殻」に引き続き「イノセンス作画監督・キャラクターデザイン。「人狼」監督。奥さんは「人狼」のヒロインを演じた武藤寿美さん。WEBアニメスタイルにインタビュー有
21:55【オグラさん】(西久保)
小倉宏昌さん。「イノセンス」には美術で参加。小倉工房主宰。「オネアミスの翼王立宇宙軍」で美術監督。「迷宮物件」から、以後「御先祖様万々歳!」「パトレイバー1&2」「攻殻」と押井作品の美術監督。画集に「光と影」。
22:00【トッコウとかで】(西久保)
特効=特殊効果。デジタル化される前は、そのままではフラットな質感しかだせないセルに、スプレーなどでシェーディングをつけ、質感を出す役割のことだった。
23:43【沖浦がリテイク厳しいからね〜】(西久保)
やり直し=リテイク。アニメの行程においては、監督、もしくは作画監督が書き直し指示を出すこと。
24:23【スコット】(押井)
Scott Guitteuさん。スカイウォーカーサウンド。サウンドエフェクトエディター。
25:20【ミズムラくん】(西久保)
水村良男さん。「イノセンス」原画。
25:31【パトツーのときの】(押井)
パト2=「機動警察パトレイバー2(1992)」押井守監督作品。
26:12【エンスー】(押井)
enthusiast(エンスージアスト=熱狂家)の略。一般的には、クラシックカー・バイク好きといった意味。クルマ好き。
27:06【イノウエさん】(西久保)
井上俊之さん。「イノセンス」原画。「GU‐GUガンモ」で注目を集め、「AKIRA」「魔女の宅急便」「攻殻」などに参加。「人狼」では副作監をつとめる。WEBアニメスタイルにインタビュー有
27:25【ガブはだけどそんなヨダレ多くないほうだよ】(押井)
押井さんの愛犬ガブリエル=ガブ。
29:29【ヤマちゃん】(押井)
山崎嘉雅さん。「イノセンス」ディスプレイCGI担当。
29:37【インフェルノ】(押井)
インフェルノ。HDデジタル合成システム。
30:36【オプチカル】(押井)
光学処理。オプチカルプリンターと呼ばれるマシンを用い、感光させる部分を制限するためのマスクによって(マスクによって隠された部分は感光しないので、あとから別の素材を焼きつけられる)、部分的に画像をフィルム上に焼きつけていくことで、複数の画像を合成する処理。デジタルになってこの手法による合成はほぼ消滅した。
31:02【フレア】(押井)
上から被っている光。太陽などを映したとき出る輪っか(マンガでは六角形などで模写されるアレ)のようなものは、レンズ内の反射像で「レンズフレア」と呼ばれる。
33:10【ミニミ】(押井)
FN社製分隊支援火器。「ブラックホーク・ダウン」でバイポッド(二脚)立ててレンジャーが伏せ撃ちしているアレ。
35:44【ワカがやったんじゃかたっけ】(押井)
若林和弘さん。「イノセンス音響監督パトレイバー1で録音演出助手として参加。以降、押井作品の常連に。「攻殻」では音響、ジブリの「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」では録音演出。テレビ「攻殻」でも音響監督をつとめる。
36:35【ガードレス】(西久保)
あかほりさとる原作「爆炎CAMPUSガードレス」。押井さんの言っている「女子高生が天秤棒持って〜」は主人公神野八純が持っている武器「正宗」のこと。
36:43【スチェッキン】(押井)
ロシア製マシンピストル。ピストルなのにフルオートで撃てる。
36:54【ノトミさん】(押井)
納富貴久男さん。「イノセンス」銃器監修。有限会社BIG SHOT 代表取締役。日本映画の銃器関係を数多く手掛ける。押井さんとは「赤い眼鏡」からのつきあい。前作「攻殻」でも銃器アドバイザーとして参加。押井作品では「ケルベロス〜地獄の番犬」「KILLERS」で納富さんのコメンタリーを聴くことができる。
37:01【スライドキャッチ】(押井)
弾を撃ちつくしたあと、銃のスライドを後退した状態で固定しておくための機構。
37:11【ストック】(押井)
肩に当てたり挟んだりして銃の狙いを固定するための一部またはアタッチメント。銃把。
37:59【バーチャ】(押井)
セガ格闘ゲームバーチャファイター」のこと。ちなみに、バーチャに限らず格闘ゲーム一般において相手のアクションを待つ「待ち」プレイは卑怯とされ嫌われる。
39:27【歌唄った彼女】(押井)
伊藤君子さん。「イノセンス」エンディングテーマ「Follow Me」の歌い手。
41:52【1期分】(西久保)
イノセンス」は大きく3期に分けて制作された(〆きりを3回設定したと思えばいい)。
42:47【レイアウトはヤマシタだったから】(押井)
山下将仁さん。「イノセンス」原画。押井さんとは「うる星やつら」で仕事して以来20年ぶり。「うる星やつら」の暴走気味なパワフルな作画や、黒部をベタな黒で潰したスタイリッシュな作画で有名。「とどのつまり・・・」「トーキング・ヘッド」などの押井作品にたびたびモデルとして登場。WEBアニメスタイルにインタビュー有
44:23【ダニやん】(押井)
押井さんの愛犬ダニー(ダニエル。ガブはガブリエルで、一応天使から拾っている)。ダニだらけの捨て犬だったのを押井さんが拾った。
47:40【レンダリング】(押井)
CGモデルを組み立て、テクスチャその他のマッピングを貼り込み、ライティングをし、とすべて終えたあとでコンピュータに計算させること。膨大なデータや複雑な処理になるほど時間がかかる。
47:55【ショゴウ】(押井)
初号。(とりあえず)完成して最初に行われる関係者の試写会のこと。大崎のイマジカで行われる場合が多い。
49:02【ミラノの大聖堂】(西久保)
イノセンス」スタッフがロケハンで訪れたドゥオモのこと。
49:31【エムラくん】(西久保)
江村豊秋さん。「イノセンス」鳥CGI担当。アニメータ。「AKIRA」「攻殻」などに参加。「パトレイバー2」ラストの埋め立て地のすさまじいカモメの群れは江村さんの仕事。「Avalon」でも塔の周囲を旋回する鳩の群れを担当した。
56:34【カワイくん】(押井)
川井憲次さん。押井作品といえばこの人、というコンポーザー。押井作品以外のアニメも多く手掛け、田中公平らと並ぶアニメスコアの大御所と言ってもいい存在だが、「リング」「仄暗い水の底から」といった中田秀夫作品など、実写も手掛ける。
58:47【リフレクションだけで】(押井)
イノセンス」の3DCGIオブジェクトは、基本的にモデルを「ある特定の視点から見た」うえで美術班の描いた精緻な絵を貼り込んでいくカメラマップ方式が使われ、その貼り込む「絵」はかなりの部分光を考慮済みで描いているため、あまり反射や影などの光の計算は比重が低いか、まったくない。たが、この場面では床や金属などの映り込みを作成せざるを得なかったため、光がどう反射してどのくらい映りこんで、といった膨大な物理計算をせざるを得ず、処理的に大変になった(「重く」なった)ということ。
60:38【ドミノ】(西久保)
イギリスのクォンテル社が開発したデジタル・オプチカル・ワークステーション・システム。フィルムをスキャンするフィルムスキャナー、そのレコーダー、処理システムを統合したもの。押井作品では「Avalon」で使用され、各種の合成作業の他、あのセピア色の画質調整を行った(「Avalon」の原フィルムは通常のカラー撮影だった)。
61:14【情景】(押井)
DVD「イノセンスの情景」。イノセンスの音楽に合わせて、キャラのいない「イノセンス」の風景が流れるミュージック・クリップ。
63:13【ドウポジ】(押井)
同じカメラポジション=同ポジ。同じ構図を使うこと。
64:07【フルは絶対やめて】(押井)
フルアニメーションのこと。劇場版においては、フィルムの1秒あたり24コマ、もしくはその半分の1秒あたり12コマを作画して動かすこと。ここでの押井さんは、1秒/24fpsフルに動くCGの背景に合わせるために、手描きのキャラも1秒24コマ作画しなければならなかったことを指して言っており、いわゆる1K動画、1K作画を意味して「フル」という言葉を使用している、と思われる。ディズニーはこれがスタンダードだが、日本のアニメは主に枚数を抑え、作業的にも制作費的にもコストダウンをはかる目的から、もしくは1秒/8枚(3K)以下で作画される場面が多く、フルアニメが使用されるモーションは、それが必要とされるごくごく限られた箇所に用いられてきた。
64:33【モエタ】(押井)
「萌えた」。「燃えた」ではない。オタク用語で、発生当初は「カワいい」に近い概念、と言えなくもない程度だったが、ネットで使用されるうちに複雑化し、その定義を説明するのはもはや困難といえる。
68:36【ガルム】(押井)
押井守監督で制作されるはずだった「G.R.M〜ガルム戦記」のこと。バンダイのデジタルエンジン構想第二弾として発表され(第一弾は「スチームボーイ」)、2000年に公開が予定されていた。天空から飛来する謎の存在「セル」のために、滅亡の淵に立たされた惑星アンヌーンの住民「ガルム」たち。数世代に渡る戦いの中で、マスクを被り、身体を機械化し、記憶はデータによって受け継ぎ、戦闘に特化した種へと変貌していた。情報呪術部族の士官ウィドは、「ドルイド」の末裔ナシャンとともに、「セル」の謎を探る旅に出るのだが・・・。
68:44【マップ使うしかない】(押井)
カメラマップのこと。3DCGモデルに対し、ライティングなどを想定したテクスチャーを張り付けるのではなく、「ある角度(カメラ)から見た」絵を貼付けることで、すべてを計算する必要のない、しかしよりフォトリアル(または手描き感のある)絵が得られる。カメラの動きが制限されるのが難点なので、あらかじめそのカットのレイアウトを確定してから作成されなければならない。カメラマップを使用せず、すべてを作りこめば、どの角度からでも撮影できるので、他のカットでも使い回しがきく(そのかわり精緻なモデルを作れば計算量が果てしなく膨大になるし、それを避けるとショボいものしかできない)が、カメラマップは1アングルきりの使いきりになる。
69:42【BGで描いて横引き】(西久保)
動画ではなく(つまり動かさず)、一枚絵でセルに描いたものをスライドさせる、昔ながらの手法。
69:51【ミヤさん】(押井)
宮崎駿さん。説明いる?
71:24【パトサンのオバサン】(押井)
パト3のおばさん。黄瀬さんが作画監督をつとめた高山文彦監督「WXIII(ウェイステッド・サーティーン)機動警察パトレイバー」の登場人物、岬冴子のこと。パトレイバーの劇場版3作目。初登場シーンの髪を拭く所作とうなじは必見。
74:04【あのオバサンに会えた】(押井)
Avalon」衣装デザイン、マグダレナ・テスワフスカのこと。「イノセンス」では祭りの場面でバトーとトグサが着ている衣装をデザイン・実物を作成した。ズラウスキー兄弟の「シルバー・グローブ〜銀の惑星」やアンジェイ・ワイダの「パン・タデウシュ物語」など、ポーランド映画の大作を手掛ける。
74:15【フジキじゃないと着れない】(押井)
藤木義勝さん。俳優。「ケルベロス〜地獄の番犬」で主人公・乾を演じた巨漢。すさまじい重さと暑さのプロテクトギアを着て、本来持って撃つものではないMG34を持ち、ハードなアクションをこなした。「人狼」では主人公・伏の声を演じた。
74:18【プロデューサーのミツモト】(西久保)
三本隆二さん。「イノセンス」ライン(現場)プロデューサー。三本さんの「イノセンス」現場日記はIGのサイトで。
75:35【いまテレビで黄瀬くんにやってもらってますよ】(西久保)
平安時代を舞台にした、Production I.Gのアニメ「お伽草子」のこと。
83:59【ウツノミヤ】(押井)
うつのみや理(さとる)さん。「イノセンス」原画。押井作品「御先祖様万々歳!」では日本のアニメータに大きな衝撃を与えた。なお、この「御先祖様〜」では登場人物の手がやたらブラブラしており、西久保さんの「くにゃくにゃ」はうつのみやさんに特徴的な作画を指している。「AKIRA」「THE 八犬伝」「スチームボーイ」などにも参加。
84:07【御先祖おもいだしたね】(押井)
押井守監督作品「御先祖様万々歳!」。うつのみやさとるさんが作画監督。「タイムマシンで未来から来た孫」と「自称」する少女の闖入によって、崩壊してゆくある家族を描いた舞台劇風コメディ・アニメ。傑作。
84:56【エマージェンシーの端末の表現って、「エイリアン」から〜】(押井)
リドリー・スコット監督作品「エイリアン」1作目の、ノストロモ号自爆用操作端末のこと。
87:01【さっさとシリーズなんか始めちゃうからさ〜】(押井)
西尾さんが作画監督を担当している「攻殻機動隊」テレビシリーズの2「攻殻機動隊 Stand Alone Complex:2nd GIG」のこと。
88:53【キフネさんとこ】(押井)
木船徳光さん率いるCG制作スタジオIKIF+(Ishida Kifune Image Factory)のこと。
90:17【誰かにそっくり】(押井)
おそらく沖浦さんの奥さん(前述)ではないか、と思われる。
91:34【レイバーんときで懲りてるから】(押井)
機動警察パトレイバー」のこと。劇場版1作目の箱舟のアクションシーンのこと?
92:39【アンドウくん】(押井)
安藤雅司さん。「イノセンス」原画。「On Your Mark」からジブリ作画監督。「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」といったジブリ作品で作画監督今敏監督作品「東京ゴッドファーザーズ」で作画監督
94:29【ヤマデラ】(押井)
トグサ役、というまでもない「おっはー」でおなじみ山寺宏一さん。
97:16【オガワさん】(押井)
小川千恵子さん。「ドール・フォーラム・ジャパン」編集長。「イノセンス」の制作では人形関係のロケハン・取材をコーディネートした。

というわけで完成 というわけで完成を含むブックマーク

 こんなにサクっとできるとは思わなんだ。ほとんど資料を参照する必要がなかったからかな(だからひょっとしたら間違いデータが多いかも)。それなりに自分はオタなんだなあ、と思いますた(外見はどうしようもなくオタなんだけど)。

regulsreguls 2004/09/19 09:57 特典ディスクの鈴木プロデューサーとの対談では今まで通り、聞きづらかったです。私も音声解説の押井監督の声は普通に聞こえたので驚きました。スカイウォーカー・サウンドの技術力か(←違う)(^_^;)

サトウサトウ 2004/09/19 18:24 初めまして。
そしてお疲れさまでした。

通りすがりおやじ通りすがりおやじ 2004/09/19 19:42 わたくしもお初に。いや、感心いたしました。
こういうコメント残しなどはほとんどやった経験も無いし、それほどの
押井ファンともいえないのですが、うーんこりゃ労作ですな。
とは言い条「こんなにサクっと・・・」の感覚も判ったりして。
そうですなあ、自分の掌上にあるものって言いたいこと・・・いや、
言わねばならないことはどんどん積もってくるものなんですよねえ。

ProjectitohProjectitoh 2004/09/20 02:57 インフェルノ、ミヤさんの項目が早く出ていたことに気がついたので、修正を少し入れました(2004.09.20 0240)
お役に立てていただければ嬉しいです。上にも書きましたが、ほんとはこういうのをDVD字幕につけてほしいんですけどね(ナウシカの庵野&片山コメンタリーはこれやって欲しかったな〜。そのほうが絶対楽しいよ〜)。

都々目さとし都々目さとし 2004/09/20 09:05 14:32【あのオバサンに会ったのがね】のところが切れてしまっておりますが、押井氏らがイタリアのロケハンで会った、取材先の大学先の先生のことですね。

TOSHITOSHI 2004/09/21 10:28 労作ご苦労さまです。気になったところを少し。フルアニメーションという用語は、ご説明のように1コマ限定ではなく、1コマないし2コマ作画の場合に用いられるかと思います。セル分けをせず、全部描くから「フル」だ、という説もありますね。あと、ジブリは3コマも使っております(というか、海外のアニメーターからは、宮崎作品は素晴らしい。ただ、3コマだが……と言われます)。ちゃんと説明するともっとややこしいのですが、とりあえず、ご説明は誤解を招きやすいかと。

ProjectitohProjectitoh 2004/09/22 00:56 あらら、なんでか切れておりました。ああそうか、「創作ノート」が魔窟の奥に埋もれてたので、あとで引っぱり出して参照しようと思ったまま忘れてたんですな(汗)。部屋はきちんと片付けておくが吉。御指摘感謝です>教官
TOSHIさんの御指摘を受けまして、「フルアニメ」の項目を修正しました。感謝です。
というふうに、けっこう杜撰なものなので、御指摘いただけるとありがたいです。

suke-sdksuke-sdk 2004/09/23 02:19 素晴らしくわかりやすいです。お疲れ様でした。もう一度コメンタリを見直したくなっちゃいますね。最後の方の「誰かにそっくり」というのは、動きが「千尋」そっくりだと思っていました。なんとなく…。最後に「ジブリ走り」ってのもあったので(笑。あの子は沖浦さんの奥さんがモデルなんですね。うーむ、濃いなぁ。

09-18, 2004 ハンバート・ハンバート

昨日の疲労で、家でダラダラ 昨日の疲労で、家でダラダラを含むブックマーク

 なんというか、疲れた。対応が。対応するまでの待機時間が。編成連絡くるまでの長い待機が。

 というわけで家でだらだらイノセンス鑑賞。

 あ、トグサの娘のCVって、ホットマンの七海ちゃん役の女の子じゃんか。

 俺の知人のロリペド氏は「ホットマン2」における七海ちゃん(山内菜々ちゃん)と凛ちゃん(『僕と彼女彼女の〜』の女の子、美山加恋ちゃん)の共演を「夢のようだ」と言っておりましたが、想像するに、これはロリコンな人における「トゥルー・ロマンス」のクリストファー・ウォーケンデニス・ホッパーの共演、のような幸福なのだろうか。

 というわけでいま調べたのだが

俳優サーチ
セントラル子供タレント在籍時のgoogleキャッシュ(いまはフリーらしい)

出演作品:イノセンス(トグサ役)

「それはダーウィン流の自然淘汰を乗り越え自らの意思で進化論的闘争を勝ち抜こうとする意思の現れであり生命の最高度の段階としてそれ自身を生み出した自然を越えようとする意思でもある。完全なハードウェアを備えた生命という幻想こそがこの悪夢の源泉なのさ」

と朗々と語る悪夢的な少女を想像して笑った。

ともひろともひろ 2004/09/24 17:53 笑えました。トグサって…「実に嫌な気分だろう?よくわかるよ」

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09-17, 2004 帰れない

現在18時30分 現在18時30分を含むブックマーク

 すでに俺の帰宅時間が2時間のびているわけだが。銀座で帰りに「CODE 46」見ようと思っていたが見事に流れたわけだが。はよ決まれや。野球なんて嫌いだ。

 決まる迄俺はささやかな業務にとりかかれんのですが。

現在20時30分 現在20時30分を含むブックマーク

 19時という話はどうなったのだ。

たったいま、21時50分、会見終了。 たったいま、21時50分、会見終了。を含むブックマーク

 記者会見全部観ちまった。なんの興味もないのに。これから仕事だ。

アラクネ アラクネを含むブックマーク

この人すごい。

思考戦車をレゴで再現してるよ。ちゃんと白のセダンもあるのがポイント。海外からパーツを取り寄せるなど、ホンマモン感が濃厚に漂う。渋すぎる。

個人的には、88mmFlakにびびった。いくらなんでもこれはすごすぎるぞ。

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09-16, 2004 おらが村

ヴィレッジ ヴィレッジを含むブックマーク

 はじめてこの人の映画を見るというのならともかく、いまさらこの天然なオッサンの作劇もとい「オチ」に期待している人などいないわけで、とくに「サイン」という奇っ怪な映画を通過してきた観客ならば、それはもう嫌というほどわかっているに決まっている。

「オチ」ではなく、サスペンスでもない。なぜなら「映画の外」に溢れる映画外からの情報によって、我々はこの2時間という体験の大半をどのように過ごし、最後にどのような物語的操作が行われるか、嫌というほど知っているからだ。そのうえで「オチ」に期待する人はあまりいない。そもそも観客を驚かせようというのなら、当然だが「オチ」があることすら隠蔽しておかなければ意味がないからだ。だが我々は「ヴィレッジ」においてそのような仕掛けがあることを知ってしまっているし、そうなるとその「オチ」がどのようなものであるかは、ほとんどディテール、細部の問題であるということになってしまう。驚かされることを予期しつつ驚く人間はいない。

 といところからこの映画の何を語れというのか。阿部和重は「映画覚書」において「ドキュメンタリー風の映像」によって醸し出されるリアリティを断罪した。その種のリアリティは要するに撮影技法の選択によって容易に獲得されるものにすぎない、と。かれはそれによってダルデンヌ兄弟の「ロゼッタ」を批判的に観つつ、その先駆としてのカサヴェテスや、現在進行形のフォン=トリアーを、そのスタイルによって獲得される仮構のリアリティを超えた試みとして賞揚する。

 シャマランの映画に特徴的なのは、一見してわかるカメラ、というか画面設計の端正さだ。ハリウッド映画らしくない、というかクラシックハリウッド映画の匂いすら感じさせる落ち着き払ったレイアウトに尺。これがベストだという構図でズバリ物語を伝えてしまうストイックな的確さ。人物の位置関係の伝達を優先度においてはほとんど最低にしたうえで、複数のアングルを短い尺のカットで激しく切り替えることによって、総体として曖昧に伝える「不経済な」最近のハリウッド映画の潮流とは明らかに別の資質だ。

 しかし、シャマラン映画に何本もつきあってきたぼくらは知っている。そうした「端正さ」すらも、阿部和重が指摘した疑似ドキュメンタリー性と同じく、単なるスタイルとして容易に獲得できるものなのだと。そこに至って端正さは単なるネタと化し、「どうしようもなくくだらないネタを、伊武雅刀のイイ声が端正に語る」ような(妙な喩えで申し訳ない)笑いを生むわけなのだ。

「B級映画のネタをやたら端正に撮る」これはネタなのかこのインド人のおっさんの天然さなのか。それを判別することはぼくにはできないけれど(後者の方が状況としては面白いのだけど)、そのスタイルの不釣り合いさがマックスに炸裂してしまったあげく、心ある映画ファンの至極真っ当な怒りを買い、もう二度と映画が撮れないんじゃないだろかこのオッサン、いやそうでなくてもこれが冗談だとわかったらキリスト教原理主義者に殺されるぞ、というほどグロテスクに不釣り合いになっってしまったのが「サイン」だった。これはほんとにびびった。オチではなく、物語でもなく、この物語がこんなふうに語られていいものだろうか、という作り手のあまりの面の皮の厚さにビビったのだった。だって、バットだぜ。バット。ホアキンまじ飛び退きだぜ。ホアキン矢追映像観てまじ恐慌だぜ。そんなどうしようもなくネタ臭い状況をカメラはあくまで端正に、通常の物語が進行しているかごとく、平然ととらえているんだぜ。

 というわけで、シャマランの新作もまた、「ネタを端正に語る」シャマランのパタンを楽しむものになるか、と思いきや、今回はネタそのものが映画の中でネタ化されているという二重の段取りを踏んでおり、今回はそこが微妙なのだ。ネタがネタ化されたとき、そこに生まれる奇妙な客観性が、端正な語り口と至極あたりまえのバランスをとってしまうのだ。

 つまり、この映画はネタがネタではない。ネタは物語の中ですでに相対化されてしまっている。観客がネタを相対化する余地は残されていない。その結果、まっとうな物語と、撮影を含む語り口とは、ごくごくつまらない調和を保ってしまった。要するに、この映画はフツーなのだ。シャマランの静かに狂っている感じが楽しかった自分にとっては、この映画でシャマランは自分の最大の武器を封じてしまったように思える。

 というわけで、この映画はシャマラン映画としてはあんま面白くない。が、シャマランの新たな展開を見せる映画でることも確かだ。彼が、女優をこれほど奇麗に撮ることのできる監督だとは正直思わなかった。いや、これに関してはシャマランというよりはコーエン作品でおなじみのDP、ロジャー・ディーキンスの力によるものかもしれんですが。

 とにかく、ブライス・ダラス・ハワードなのだ。

 シャマラン映画としてはおもろない、が、彼女をひたすら見せてくれるというただ一点においてこの映画は偉大である。この映画の中における彼女はひたすら美しく撮られ、ひたすら可憐に描かれている。なんというか、幸福なのだ。幸せなのだ。萌えというやつだ。今年見た映画の中で彼女がいちばん萌えた(いまんとこ)。

 という、この一点においてこの映画は偉大だ。最近映画を語る語り口が萌えだとかかわいいだとかそんなんばっかで自分でもどうかと思うが、やはり年をとると自分に素直になってくるもので、そればっかりは仕方がない。決して「美人さん」ではない。んが、この映画ブライス・ダラス・ハワードは最強に近い。たぶん単体で、あるいは他の映画でこの女優さんをみても「ふ〜ん」だったろうと思うが(ドッグヴィルの続編でニコールの後任になったらしいですね)、この映画の物語とキャラクター設定は、ひたすら彼女を美しく、可愛く撮るためにあるのだと思う。この映画彼女を見るためにあるのであって、それ以外の機能は存在しない。現に、前シャマラン作品に引きつづいて出演のうえ、クレジットで主席のはずのホアキンのヘタレというか存在感のなさっぷりは、それ以外に説明がつかない。「打て!メリル!」のホアキンがこんなに存在感が薄くていいはずがない。

 というわけで映画はひたすらどうでもよかったが、俺は彼女を観に行くためもう一度劇場に脚をはこぶことにする(ええ?)。

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09-14, 2004 待ちバーチャ

イノセンス」スタンダード版 「イノセンス」スタンダード版を含むブックマーク

 来月ハダリBOX@5万圓を購入するので、安いスタンダードをビックポイントで購入。それまで待たないのがオタクの哀しい性。キモはやはりコメンタリー。本編ディスクは画像と音声がハイビットレート収録なのでコメンタリーを入れられず、なんとエンコーディングを落としてコメンタリー用にDisk2に再収録という贅沢

  • オープニングは当初、森本晃司に発注していた(!)が逃げられた。
  • 前作では「バーチャ(1)」が流行っていたというのは有名な話だが、黄瀬さん@IG作画神Aは、待ちプレイヤーだったので嫌われていた
  • 「(ハラウェイのような役の声は榊原さんしか)思い浮かばなかったんだよな〜」というと、演出の西久保さんに「きみは作品数が少ないから」とつっこまれる押井さん。
  • 最後の少女は「可愛くするな」とあれほど言ったのに可愛くてがっかりだ、と押井さん。ついでに「(仕種が)誰かに似ているんだよな〜」誰かは沖浦さん@IG作画神ファン御存知(奥さん@武藤さんでしょう)。
  • うつのみやさとるさん、山下将仁さん、など意外な参加アニメータの参加カットも明らかにされるので、作画マニア必聴

などと旨味の多いコメンタリなのでアニメファンは買うが吉。

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09-13, 2004 トニー・スコット、イーストウッド

妥協は朝飯前 妥協は朝飯前を含むブックマーク

 相変わらずあたまぐらぐらなのだけど、仕事があるので会社に出てきた。帰りにInvitationの10月号を買ったのだけど、表紙が「雲の向こう、約束の場所」だったので驚いた。見ればアニメ特集。目次を見れば、contributorsのところに中森明夫とかとならんで、ライターになった押井さんの娘さんの写真が。あー、似てるかも似てないかも。鼻のあたりとか。

 というのは目的ではなくて、蓮實重彦が「マイ・ボディガード」を誉めているので買ったのだ。アニメに対する記事は、なんというか、いまものすごく冷え込んでいると思う。需要はあるかもしらんが。新海さんの記事でのライターの文章に特徴的なノリが、今回の「Invitation」にかぎらず、現在のアニメに関する言説を、首を絞める真綿のような感じでやんわりと包んでいる。

 たとえば、「雲のむこう〜」についての文章中に、こんなフレーズがある/「『ほしのこえ』は主人公たちの恋愛は閉ざされていながらも物語は広かった」。ぼくの感じた(この文章の)気持ち悪さと言うのは、たぶん、ここに端的に表れている。「物語は広かった」だから何だと言うのか。この書き手は世界と自分とのあいだに多くの中間ステップがあることをさらっと忘れてしまったかのようだ。二極化した「ワタシ」と「セカイ」のあいだには虚無しかなく、そこをほっそい糸が直リンしている。むしろ、その「肥大した世界」と「閉じられた恋愛」の圧倒的なサイズの差こそが語るべき場所なのではないか。

 このライターさんは「セカイ系」という括られ方を嫌がるだろうが、書いているものにはまぎれもない「セカイ系」の自意識の在り方が露骨なまでに表れている。「広い」物語など吐いて捨てるほどあるし、そもそも現実になんら根拠を持たないアニメという表現形式そのものが、「広い」世界を抑制を欠いたまま肥大させていく描写への欲望を内在しているんじゃないのか。

 だからこのフレーズには、「セカイ系」の無自覚な指向がそのまま出てしまっている。あるいは、「物語は広かったが、主人公たちの恋愛は閉じていた」ならば、なんらかの意味あるフレーズになりえたかも知れない(とはいっても、語られ尽くした紋きりだけど)。しかし、その可能性ははじめから放棄され、そんな場所から、いまもアニメについてのことばたちは流通しつづけている。「雲のむこう〜」という作品そのものには興味があるけれど、それついて語られることになるだろう言葉たちがどれほど面白くなるかというと、いまから死屍累々、死臭ただよう湿っぽい風景が目に浮かぶ。

 とかいう話をすすめるとドツボにハマりそうなのでやめておこう。ハスミンの「トニー・スコットを世界的に誉めようという運動」は着実に進行中らしく、この映画もまた「高度な活劇」としてハスミンは持ち上げている。のだが、なんだか読んでいると本当に誉めているんだかいないんだかわからなくなってくるハスミンギャグが文章のそこかしこでひっそりと炸裂しているので、「トニー・スコット誉めよう運動」が映画狂人の壮大な冗談であるような気もしてくる。

「ありとあらゆる凶暴な火器を動員して、犯罪組織の抹殺を平然と目論む。」という文章などは、妙におかしくて笑ってしまった。このひとのギャグセンスはこういう「文体」で行使されることが多い。「ありとあらゆる凶暴な」火器、とか、「平然と」目論む、とか、なんか説明し難いんだけど、ユルい笑いを誘ってくれません?

というのは単なるギャグなんだけど、文中にはさりげなく「妥協など朝飯前のトニー・スコットが」などと書いてある。ここで大笑い。「妥協など朝飯前」ときた。誉めんのかよ、それで!フツーに読んだらぜんぜん誉めてねーぞそれ!

もちろん、誉めているのだ。妥協してもいい映画は作れる。そのいい例がスピルバーグでありイーストウッドだというのは、もう多くの人が納得するのではないか。ふたりとも猛烈な早撮りで知られているが(とくにスピはDPがカミンスキーになってから早い早い)、「ミスティック・リバー」のティム・ロビンスケビン・ベーコン音声解説で、ふたりがこんなことを言っていた。

ショーン・ペンの娘の死体が発見された現場のシーン。その場面の最後のショットで、カメラはゆるやかに現場からクレーンであがってゆき、ミスティック・リバーボストンの街を映し出す。そこで、じつは鳥の群れが一斉に飛び立つという演出がある予定だった。業者を呼んで大量の鳥を用意して(鳩だったかな)、しかし蓋を開けてみれば鳥はいっこうに飛び立ってくれなかった。

ふつうの作家なら、鳥が飛び立つまで粘っただろう。あるいはポスプロでCGIで足すことぐらい「朝飯前」なはずだ。しかしイーストウッドはどちらもしなかった。「鳥はよかんべ」、とあっさりその演出を放棄してしまったのだ。

どの種の妥協が映画を貧しくし、どの種の妥協が映画を豊かにするのか、ぼくにはよくわからない。「イーストウッドはもともと、そういう象徴的なビジュアル(つまりベタ)を忌避するから」とか「映像より役者の演出を優先する人だから」とかいった「あれは決して妥協ではない」根拠はいくらでもひねり出せるだろう(ちなみに、イーストウッドはCGが嫌い、という理屈は成立しない。「ファイアーフォックス」「スペース・カウボーイ」を見ればわかるように、イーストウッドと特殊効果は妙に相性がいいのだ)。しかし、ぼくはやっぱりあれはある種の清々しい「妥協」だと思う。

最近の映画が退屈だとしたら、それは妥協によるのではなく、むしろ「妥協しない」ことが原因なのではないか、妥協しないことを許してしまう、制作体制の逆の意味でのユルさが問題なのではないか、と思ったりするのだ。

「妥協は朝飯前」という単語は、だからやっぱりトニーを誉めているんだと思うんだけど、それにしてもやっぱり笑える。

micky-dumbomicky-dumbo 2004/09/15 00:51 初めまして。
先日「アニメ夜話」にて岡田斗司夫氏が「それは論ではなく、
カミングアウトだ!」と思わず口にしていたが、
アニメの評論の多くがほとんどそんな印象です。
「雲のむこう」と同じ方がジャイアント・ロボについても書いていて、
手塚漫画のスターシステムを知っていた上で
大友脚本に言及しているのか?とか、
「GR」以前にエンタテインメント・アニメ皆無発言とか、
あまりに極論過ぎやしないか?とか、
「父と子に捧ぐ」は健太氏の賛辞の前に、
本編ラストで今川監督自身が記したものだろう、とか、
そもそもそれは評者が作品に向ける賛辞なのか?とか…
色々気になって仕方がなく、別の意味でもきもちが悪かったです。

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09-12, 2004 逃げろ

相変わらず臥せってます 相変わらず臥せってますを含むブックマーク

 というわけで熱。吐き気。ゲーリークーパー。万年床とトイレットの往復というミニマルな生活パターンに家の中がやけに広く感じはじめられたらそれはJ・G・バラードの「巨大な空間(『ウォー・フィーバー〜戦争熱』収録)」。って誰もわからんか。家の中で過ごしはじめたら、その主人公の精神的事情により、家がどんどん巨大な空間と化してゆき、家から出る気力がどんどん失せていき、家の中を探検し、というサイコで素敵なお話なんですが。

 すげえ余談。バラードって、巨大建築愛好会的な作家だなあ、と思うんですが、と部外者が言ってみる。たんに「これってすげー広い場所なんじゃね〜の?」というだけで話を押していく「未確認宇宙ステーションに関する報告」とか、「大建設(まんまやな)」とか「モビル」とか「終着の浜辺」とか。入手が難しいのが悲しいところではありますが。私も船橋ザウス解体を見に行って「溺れた巨人 in 船橋」などと言っているので、バラードといえば巨大建築、というのは熱にうなされたいまに始まった連想ではないわけです。

 ああ、すげえ余談だ。ヒマだしキモチ悪いし腹いてえし思考が迷走しとる。というわけで今日はもっぱら映画DVD観てつぶしてました。「U-571」「K-19」と潜水艦大会。しかも手持ちのDVDなので既に観てるやつ。U-571はえらくその筋には評判が悪いが(『デストロイヤーが魚雷一発で大爆発してたまるかっつーの!』などなど)、改めて観るとわたしゃモストウ大好きだしこの人のエンタメの力量は本物だと思ったですよ。とくに観客の安心の限界を超えて投下される機雷が(『あんな近くであんなに爆発したら沈むっっーの!』ああそうですか)すげえいい。「K-19」はひさしぶりに観たけどやっぱり陰気な映画だった。なんというか陰気で哀しくてそれが延々と続く感じ。氷上で遊ぶ乗組員もやっぱり哀しい。洗濯物も哀しい。なんでこんなに陰気な映画なのだ、キャスリン・ビグローってこんな陰気な作家だったか、と不思議に思う(「ハートブルー」が結構好きなのだ、俺)。青山真治がこの映画を誉めてたけど(「男汁出まくり」とか)、どこがいいのかいまだにさっぱりわからん。いや、好きな映画だからこうやってDVD持ってるわけだが、どこがいいのかはいまだにわからんのだ。

 と、ここで俺はキャスリン・ビグローの映画が好きなのだということに気がついた。「ストレンジ・デイズ」って俺の魂の映画じゃんか。駄目男を女神が救う話。さよなら、好きだったひと、と未練たらたらだった元カノに区切りをつける話。そんなダウナーな自分とはうらはらに世界は盛り上がって盛り上がって俺様置いてきぼりだけどなんか救われました、ていう心底ダメな話。ああ、これだ。なんていうか、俺は心底キモくて駄目でこれからも救われないないかもしれないけどそこそこどうかなるかもよ、っていう曖昧な希望とともに終わる話。こんな女々しい話を心底マッチョに撮り上げてしまう、そんな繊細でなければできない力強さが、ビグローの力強さが好きなんだ。

 と相変わらず熱暴走ぎみ。はじめて「逃亡者」を見る。職場の人間に怒られそうだ。しかしこれ、案外原作をトレスしているんですな。まるっきりオリジナルかと思ってたのに、医者は出てくるしジェラードの役回りはいるし片腕の男もいるし、で。とはいえ、長澤まさみタンのパートが心底話に絡んでこないのはどういうことなんでしょう。短かったし。あと、局内では「今日も揺れてるねー」とネタ化しているカメラ。あれどうにかならんか。長い玉で抜いているわけでもないのに揺れ揺れ。しかも単なる揺れ。手持ちっぽくない温い揺れ。ドキュメンタリータッチに全然なっとらんぞ。画質荒らすとか、情景にライブ感出すとか、望遠で抜くとか、あるいはフラッシュパンやクイックズームでハンディな感じ出すとか、そういう演出的前提が必要だろうが。仮構の現場の段取り、っていうものが。そういうのとワンセットでカメラの揺れはドキュメンタリーっぽさに貢献するのであって、ふつーの撮影機材で揺らしだけ取り出してもなんも機能しないというのがわからんのか。スプリット・スクリーンから見るに「24」を狙っているんだろうけど、「24」見てみろ、屋内じゃあんま揺れてないんだぞ。

 うーん、なんか書くものに抑制がきかない。明日にはよくなっているといいんだが。というわけでこれから樋口コメンタリーのついた「ゴジラ対ガイガン」を見る。

眠れん 眠れんを含むブックマーク

 くそう。ぐらぐらする。

 ネムレンジャー、ってのいま考えたんですが。全員不眠症エドワード・ノートンなんだけどそれぞれが癒されに行く重病患者のセラピー集会がひとりひとり違うの。変身すると5人いたのが理想的な統合された1人の自我に合体するの。何を倒すのかはさっぱり不明なんだけど、たぶん資本主義とかカード会社とか倒すんでしょう。

 なんだかわけがわかりませんが、それほど体調が悪いと思ってくだせえ。

rinjirinji 2004/09/13 00:08 バラードで巨大建築っていうと『ハイ-ライズ』もありますね。あの巨大マンションはインパクトありました。早く体調よくなるといいですね。

ProjectitohProjectitoh 2004/09/13 03:27 クロネンは『クラッシュ』を映画化してますが、この人の商業第一作『シーバーズ』ってハイ=ライズがかぶってますね。デビッド・フィンチャーあたりが映画化しないかなあ>ハイ=ライズ

圭角圭角 2004/09/13 06:52 ネムレンジャー(笑)
やはり生活費はフィルムのかけかえや車のリコール査定ですか
シンボルは革ジャンにヘラジカのマーク、子供たちにアナーキズムを伝える爆弾魔ヒーロー。
観たいなぁ。
ともあれ、お大事に、、、。

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09-11, 2004 ふせってます

倒れた 倒れたを含むブックマーク

 会社に行こうとしたら電車のなかで嘔吐マックス、途中で降りるもどうにも動けず、駅のベンチに横になってどうにかなるのかならないのかというちょい恥ずかしい状態で30分、吐き気、頭ぐらぐら、ゲーリーオールドマン、と三重苦のジェットストリームアタックに、ホームステーションへなんとか戻ると病院へ直行。とはいえ1300時という休診時間ど真ん中。開いている内科のある病院を探してさらに30分。「うーん、扁桃腺が腫れてるけど、風邪かなあ。でも腸も悪いようだし、うーん。なんでしょう」とか言われていや、なんでしょうって言われても、と不安になる。とりあえず点滴。とりあえず急性腸炎というあたりで医者は手をうった(ほんとそういう感じで診断)。実はここの病院は俺の太腿のガンを「ヘルニア」と診断して延々と俺の腰を牽引したり電気を流したり効果のない治療をして、あのままここにかかっていたらガンが俺を殺していただろうというわけで、この病院を俺が怨んでいることは内緒だ。というわけで点滴1時間。すげえ寒気。腕を縛るも「血管が出ないわねえ」と看護婦さん手の甲に針刺す気マンマン。いや、それ勘弁して。という心の叫びもむなしく、結局右の人指し指の付け根の甲側の関節の出っ張り直下に一撃。しかし雫は落ちず。おのれどうしてくれようか。という俺の心の憎悪もむなしくこんどは左手の手の甲。かんべんしてくれ。

 さて、ここで余談ですが、ガンにかかって抗癌剤を点滴すると、どんなすばらしい特典があるかを教えてあげましょう。抗癌剤というの基本的に組織を殺す薬なので、針刺しているところは濃度マックス、ガンガン血管と皮膚が痛んでいくわけです。というわけで、一ケ所当たり(薬にもよりますが)3日から5日保ちません。刺していたところは組織がズダズダになっているので、たいていの場合血栓になり、血管がつぶれます。そうすると次の場所、次の場所、といって長期戦になると刺すところがだんだんなくなっていくわけです。最初は肘の内側だったところからだんだんと末端へサバが帰ってくるように北上し、ついには手の甲にたどりつくわけです。そして刺していったところは死屍累々。私はケロイド体質なので、傷の痕がプリチーにプルンと盛り上がってしまいます。ちなみに、腕で刺すところがなくなりと、次は足の甲です。足の甲に針を刺すのです。

 とはいえ、薬を入れているあいだは絶えまない吐き気がすんばらしい具合に世界を支配してくれているので、針を刺す場所の問題などプライオリティはとんとん下がってほとんど最下位なわけですが。

 ちなみに、私は一ヶ月に10日入院して抗癌剤点滴、というのを1年やっていたわけですが、そのたびに抜ける毛の場所が違ったのが面白かったです。頭髪は総じて抜けたわけですが、今回は眉毛も、今回は脇毛、今回はチ○毛、今回は鼻毛、あるいはそれらの組み合わせ、と毎回抜ける場所が違うのです。ちなみに、頭髪が抜けると、頭洗うのがすげえ楽になります。フケ、というのはたぶん、頭髪あるいは毛根によって頭皮がフラグメント化されているからああいう形式になるのであって、それが頭髪のないフラットなフィールドになると単なる「垢」になるのですな。爪で引っ掻くとそれが良くわかる。鼻毛が抜けたときは埃がすごくて鼻水がとまらなかったです。脇毛と陰毛は抜けてもなんも問題なかったので(彼女というものがいなければ、誰に見られるという場所でもないので)、すこし嬉しかった。毛ってあんまり好きじゃない。

 余談終わり。というわけで、多分単なる風邪なのでしょうけど、いまも熱がすばらしく高い数値を保っており、あたまぐらぐらで寝ながらこれを書いているわけですが。

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09-03, 2004 映画覚書

阿部和重映画覚書 vol.1」 阿部和重「映画覚書 vol.1」を含むブックマーク

阿部和重の「映画覚書」を読んでいると、やはりハスミンの我侭ジジイぶりが素晴らしく、映画狂人@元総長にはこのままつっ走っていってほしいものだなあ、と思ったりする。

 このハスミンと阿部和重の対談を読んでいると、若いはずの阿部和重の語り口が、どうにも古臭いものに見えてしまうという点が不思議だったりする。なぜなのかな、と考えてみたのだけど、要するにハスミンは「トム・クルーズの顔がいい」だの「ケイト・ブランシェットはいい」だの「あの女優ファム・ファタールはねえだろう」だの、要するにきれいだとかきれいじゃないいいとか悪いとか、そういう話ばっかりしている姿が清々しく、一種淀長状態と言ってもいいんだけど、それに対する阿部和重の言説が80年代的な知性の在り方、というか呪いのようなものから抜けだせないでいる泥臭さを引きずっているから、というふうに見えてしまうのだ。なにせ「ラスト・サムライはいい。どうしてかというとトム・クルーズが無条件に好きだからだ」とのっけから映画狂人に突っ走られては(また、このおっさんは別のところでこの映画を貶したりしているからたまらない)、ほとんどの人間は打つ手がないだろう。圧倒的な先制攻撃、という様相を帯びたハスミンの言説は、現在の「政治的正しさ」とヘイズ・コードを併置させたり、あるいは「サイン」について構造から語ってしまったりする阿部和重の語りをえらくアナクロなものに思わせてしまう「ズルさ」を持っている。そして、そうしたハスミンの「ズルさ」は圧倒的に有効だ、と思うのだ、この本を読んでいると。

 「構造」を語ること、それ自体ではなくそれの周囲との関係性によってむき出しになる構造によって一遍の批評を構築すること。そうした語り方こそ『ロスト・イン・アメリカ』で安井豊が指摘した『キャメロン時代』のシネマの在り方ではなかったのかしら。それともそのような視線は映画には適用されても批評には適用されないとでも思っているのかしら。「A.Iは捨て子の物語だ」そうしたマニフェストがなんだかうまく機能していないように見える語りのいかがわしさ。それはいったい何だろう。

 それは「映画を語る」という行為自体に「恥」を感じているかどうか、の表れなんじゃないかしら。蓮實重彦はあきらかにその「恥」を有している。実は中原昌也も有しているかも知れない。しかしたぶん、阿部和重にはその「恥」はない。ただ、「恥」を引き受けた上で語るための戦略、というものがあると思うのだ。けれど、阿部和重には、そしてたぶん「ロスト・イン・アメリカ」の出席者の大半は(たぶん黒沢清塩田明彦を除いて)、その恥を感じる才能と、それを自覚した上でとる戦略、のふたつが欠けているんじゃないかしら、と思う。

 とはいえ、別にその「恥知らず」であることから生まれるいかがわしさだって、じゅうぶん面白いわけだし、ほとんどの人は(ぼくを含め)映画をそのようにしか語れない。自分自身、映画をそのような恥知らずでうさん臭いものとしてしか語るすべを持てない。

 だから、やはり映画狂人はすっとばし過ぎで、単にこのおっさんのリミッター解除っぷりを前にして、阿部和重の語りが退屈だ、というのはフェアではないかもしれない。「いつかトニー・スコット論を書きたい」「ぼくは今、トニー・スコットを誉めようという運動を世界的に立ち上げようとしているんですが」とかのたまうような暴走ぶりにどう立ち向かえというのか。いや、私も前々からトニーはいい、と思ってたんですが、それにしてもここまで言う勇気はなかった。なんだか映画ファンとしては言ってはいけない、恥ずかしいことのような気がしてた。しかしやっぱりハスミンは違う。リドリーはダメだ、トニーはいい、と断言する。すごい清々しい。漢らしい。

 まあ、なにが言いたいか、というと、このおっさんにはもっともっと暴走してもらいたい、ということなんですが。

 というわけで、「マイ・ボディガード」が観たいなあ、と(なんのこっちゃ)。

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