トップページ科学・医療ニュース一覧新型インフル対策 業務継続の企業指定も
ニュース詳細

新型インフル対策 業務継続の企業指定も
1月29日 15時33分

新型インフル対策 業務継続の企業指定も
K10051395611_1301291709_1301291718.mp4

毒性や感染力の非常に強い新型インフルエンザが国内で発生した場合、社会的な影響をできるだけ抑えるため、災害時の指定公共機関に加え、医療や航空の分野であらかじめ企業を指定し、業務の継続を義務づけるとする対策の案を国の有識者会議がまとめました。

毒性や感染力の非常に強い新型インフルエンザに対応する特別措置法がこの春、施行されることから、具体的な対策を検討してきた国の有識者会議は29日、対策の案を取りまとめました。
この中で、日常生活や医療に関係する企業を「指定公共機関」としてあらかじめ指定しておき、新型インフルエンザが国内で発生し、大きな被害が予想されるとして総理大臣が緊急事態宣言を出した場合、社会的な影響をできるだけ抑えるため、業務の継続を義務づける、としました。
指定公共機関は、電気やガス、鉄道など、災害対策基本法で定める分野に加え、新型インフルエンザの流行時に果たすべき役割を想定して選ばれます。
具体的には医療分野で、抗ウイルス薬やワクチン、それにワクチン接種に使う注射器などを製造する企業から航空分野で、海外に住む日本人が帰国するために国際便を運航する企業から指定されます。
指定公共機関は新型インフルエンザが流行し、従業員に感染者が出た場合でも業務を続ける具体的な計画の策定や、必要な物資の備蓄が求められ、今後、指定に向けて、対象となる企業と国の調整が始まることになります。

業務の継続を義務づけるケースとは

指定された企業が「指定公共機関」として業務の継続を義務づけられるのは、「毒性や感染力が非常に強い」新型インフルエンザが国内で発生し、総理大臣が緊急事態を宣言した場合です。
毒性が、毎年流行する季節性のインフルエンザと同じかそれ以下の場合は、新しいウイルスによるものであっても緊急事態宣言の対象とはならず、指定された企業に業務を続ける義務は生じません。
4年前に世界的に大流行したインフルエンザのように、ウイルスの性質の把握が進み、毒性が季節性と同じ程度と分かれば、宣言が出されていても、その時点で解除されることになります。
国は、世界で4000万人が死亡したとされる「スペインかぜ」を参考に、毒性や感染力の非常に強い新型インフルエンザが国内で流行した場合、最悪で64万人が死亡し、ピーク時には、1日当たりの入院患者が40万人、企業などの欠勤は、従業員の40%程度に上るおそれがあると試算しています。

新インフル対策案の概要

国の有識者会議がまとめた新型インフルエンザ対策の案には法律を補足する具体的な内容が盛り込まれました。
感染の拡大を防ぐための、施設の使用制限などに先立つ緊急事態宣言は、季節性のインフルエンザに比べ肺炎や脳症などの重症患者が多いことを条件としました。
使用制限の対象は、百貨店や映画館、それに美術館など、面積が1000平方メートルを超える施設とし、ウイルスの毒性や感染力の強さによってはこれ以下でも使用を制限することがある、としています。
一方、病院などの医療施設や食料品店、それに銀行などは日常生活の維持に欠かせないため制限の対象から外しました。
有識者会議は、ワクチンの活用方法についても考え方を示しました。
高齢者に重症者が多く、死亡者を減らすことを重点とする場合は、高齢者や持病のある人を優先し、子どもに影響が大きい場合は子どもを優先するというように複数の想定を示しました。
ワクチン接種の優先順位はこの想定を基に実際に発生したウイルスの特性などを検討して決定されることになります。
一方、現在備蓄してある1000万人分のワクチンについては、まず医療従事者に280万人分を割り当て、残りを電気やガス、銀行、それに鉄道などの事業者に配分することにし、事業者ごとに対象者数の登録を進めるとしています。
有識者会議がまとめた新型インフルエンザ対策の案は、政令や法律の施行後に決定される国の行動計画に反映されることになっています。

[関連ニュース]
このページの先頭へ