第二章 Bグループの少年とゴールドクラッシャー
ダイジェスト版 第一話~第四話
亮と恵梨花、二人が付き合うことになり、明けて翌週の月曜日。
弁当を作ったと連絡を受けた亮は、約束通り、朝から恵梨花を迎えに行った。
そして二人で一緒に登校する、その間、とにかく注目を浴びてしまうことに。
先週の学校の帰りも同じようなものだったので、亮は半ば予想していたのだが、駅まで行って、見知らぬおっさん達にまで睨まれるとは思っていなかった。
恵梨花と並んで歩くことで朝から盛大に視線を浴び続けた亮は、先週までの、まるで注目されていない自分を懐かしんだ。
学校に着いて教室に入った亮は、クラスメイト達の自分を見る目がいつもと違うことに気づいて、痛感させられる――自分の日常が変化し始めたと。
大きくため息を吐きたい思いだが、亮がすることは変わらない。つまりは、席に座って寝る、ということだ。
その余りの亮の変化の無さに、逆に戸惑ってしまうクラスメイト達。
どうにも亮に話しかけにくい空気が出来つつあるが、そんなことは気にしないと、Aグループの高橋が亮に大声で話しかける。
睡眠の邪魔をされた亮は、終始不機嫌顔で相手をした。
それから朝のHRが始まる直前、亮はため息と共に零した。
「――恵梨花と付き合って、最初の朝がこれか……」
前の席で明が苦笑した。
先週の帰る途中、亮と恵梨花はゲームセンターに寄り道して、プリクラを撮った。
何故だか、高橋にそのことを知られていて、プリクラを見せてくれとせがまれる。
見るまで、きっと諦めないだろうと悟った亮は、観念して差し出した。
それを目にして、大いに盛り上がるAグループの女子達。それも亮の席の横で。
再び、先週の自分を懐かしむ亮。
その一時間後の休み時間、亮は普段からよく一緒にいるBグループの友人達と過ごした。
最近は何かと目立つ人間ばかりが周りにいたせいか、平凡な友人達に囲まれた亮は、ちょっと感動してしまった。
それでも、先週は一体何だったんだと問われた亮は、適当にはぐらかした。
夏山と川島はそのことに突っ込んでくるが、アホは――東はそうではなかった。
頻りに恵梨花はいつ来るのかと聞くだけだ。
そんなもん知るかと答え、なんなら教室の前で待ったらどうだと言う亮に、東は大きく頷いて、駆け足で教室から出て行った。
そんな東を見て、夏山が思い出す。
先週も東は、恵梨花が教室に来るかと、扉の前で待っていたと。
しばし、沈黙が流れる。
そして、その場にいる面々は、それぞれの心の中で同じ思いを抱く。
――ああ、やっぱり、あいつアホだな。
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