【ソウル神屋由紀子】長崎県対馬市の神社や寺から盗まれた国指定重要文化財の仏像などが韓国で見つかった事件で、韓国メディアは日本側に返還される見通しを伝えながらも、朝鮮半島由来の仏像のため「(日本側が)略奪や強制搬出した事実が確認されれば話が変わる」(中央日報)などと報道。盗難仏像の「返還」に複雑な心境を表している。
ニュース専門局YTNは仏教交流の活発な時代や文禄・慶長の役(1592~98年)の際に仏像が流出した可能性が大きいと指摘した上で、「われわれの国宝級文化財を再び戻さなければならない惜しい状況だ」とリポート。韓国紙ハンギョレは「国宝級仏像は略奪物?」との見出しで、「返還拒否には流出の不法性を証明しなければならないが、事実上不可能との見解が優勢だ」と指摘するなど、仏像が日本に渡った経緯に注目した報道が相次いだ。
日本の文化庁は近く担当者を韓国に派遣し、仏像が本物の文化財かどうかを確認した上で、文化財不法輸出入等禁止条約に基づき、韓国政府に返還要請する方針。
=2013/01/30付 西日本新聞夕刊=