国会で政権交代後の初の与野党論戦が始まった。「当面は安全運転」を心がける安倍晋三首相は低姿勢の物言いに終始し、全般に薄口な論戦だった。環太平洋経済連携協定(TPP)はどうするのかなどを巡り、突っ込んだ建設的な政策論議を深めてほしい。
「国民の信頼が完全に戻ったのではない」。首相が一番伝えたかったのはこの言葉だ。衆院選で自民、公明両党は3分の2を超える議席を得た。おごり高ぶったと思われてはなるまいとの姿勢は続けてもらいたい。
自民党の高村正彦副総裁も衆院選勝利を「政治の安定に比較的、自民党が役に立つと思われた」と分析してみせた。「党一丸となって総裁を支える」と締めくくったのは民主党政権への皮肉だろう。与党議員は拍手喝采だった。
首相は国会が憲法改正を発議すするのに必要な衆参両院の3分の2の多数という要件の緩和に意欲を示した。他方で現憲法は議会での議決を経ており、「有効」と明言した。押し付け憲法かどうかを蒸し返すのは改憲論議をややこしくするだけで、妥当な答弁だ。
だが、TPPについて「聖域なき関税撤廃を前提にする限り参加しない」との線にとどまったのは残念だ。テレビ番組で「参院選の前に方向性は示していきたい」と踏み出した直後だけに詳しい説明が聞きたかった。
野党は攻めにくかったに違いない。民主党も日本維新の会も首相の所信表明演説が触れなかった社会保障、地方自治や憲法改正、皇室制度などを取り上げたが、首相は大まかな方向を手短に語るにとどめ、揚げ足を取らせなかった。
民主党の海江田万里代表の質問は、野党になっても針路が定まらない党の現状を反映した内容だった。「政権運営の経験を持つ野党として『決める政治』を前進させる」と話し合いムードを醸し出したかと思えば、「すり寄るつもりは毛頭ない」と声を荒らげた。
安倍政権の経済政策を「財政出動と公共事業に偏重した旧来型」と批判したが、首相は「財政健全化と日本再生の双方を実現していく」と議論に乗ってこなかった。
初顔の維新が送り出したのは党首ではなく、当選11回の平沼赳夫国会議員団代表だった。戦勝国が敗戦国に憲法改正を迫るのは国際法違反であるといった自民党時代からの持論の開陳に時間を割き、新鮮さはあまりなかった。
安倍晋三、高村正彦、TPP、海江田万里、平沼赳夫
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