公安委員会に対する苦情申立とは?
都道府県の警察職員職務執行について苦情がある者は都道府県公安委員会に対し、国家公安委員会規則で定める手続に従い文書により苦情を申し出ることができます(警察法79条1項)。そして、この苦情申出を受けた公安委員会は、一定の例外的な場合を除いてその申出に対する処理結果を文書によってその申出者に対して通知しなければならないとされています(同条2項)
公安委員会とは?
公安委員会は、良識ある国民、良識ある都道府県の住民を代表するものとして、警察庁や都道府県警察から独立した合議体として、国の警察庁と地方の都道府県警察の民主的管理を保障し、政治的中立性を確保する役割を担っています。このように公安委員会は、警察を管理監督する立場にあります。
手続の流れ
公安委員会内の担当部署は受理した苦情申出書を整理して公安委員会に対する報告をします。次に,この報告を受けた公安委員会は、都道府県警察(警察本部長)に対し、事実関係の調査及びその結果を踏まえた措置を行わせるとともに、その結果の報告を求めます。そして,公安委員会内の担当部署から、あるいは警察本部長から直接、公安委員会に対して報告がなされます。
この報告を受けて公安委員会が申出者に対する文書での通知内容を決定し、通知の手続がとられることとなります。
このように、警察法79条による苦情申立制度は法定されており、単純な警察に対する苦情などと異なり握りつぶされるようなことはありません。
さらに、警察法79条による苦情申立と併せ、請願法による請願も同時に行うことが可能であり、これを重畳適用と言います。
請願法に基づく請願とは、警察官の個別の不適切な職務行為や、警察全体に対する苦情や要望に関し、官公署(公安委員会、警察本部、警察署など)へ、書面で、提出する方法です。ただし
『受理して誠実に処理する』義務はありますが、何らかの行為を行わなければならないという規定はありません。
したがって、警察法79条による苦情申立てと同一の書面により、請願法による請願も併せて求めることが有効であると考えられます。
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