2011年05月29日

未知なる恐怖 地下水被曝そして5,6号機

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福島第一メルトダウン死の水9万トンの行方

――福島第一原発の放射能汚染水は約9万トン――

大震災から2か月が経過した今も、「死の」水との闘いが続いている。1号機のメルトダウンが発覚し、収束に向けた工程表が見直しを迫られる中、今度は「地下水被曝」という新たな不安材料が出てきた。


5月12日、経済産業省電子力安全・保安院はついに1号機で燃料棒の溶融、すなわちメルトダウン〈炉心溶融〉発生を認めた。(その後2,3号機もメルトダウンを認めている)東電は4月17日に発表した事故収束の工程表見直しを余儀なくされる。(もともと工程表なんか出す気なかった?)


「メルトダウンはもちろん心配ですが、福島第一では、放射線汚染水が依然として最大の難敵です。汚染水を除去しなければ原発内で本格作業ができません。

3号機の海水取水口近くにある『ピット』(コンクリート製の穴)に汚染水が流れ込み、海に流失していることがわかりました。流失がいつ始まったかは不明です」(政府関係者)

3号機の取水口で見つかった汚染水は、たとえば1立方センチあたりセシウム137が法定基準の62万倍に当たる3万7000ベクレルといった高濃度汚染水が確認されている。東電によると、こうした水は1〜4号機で合計約9万トンに達するとみられる。事故収束に向けた最大の難題だ。

解決の切り札は汚染水処理施設の建設だ。フランスの原子力産業「アレバ」、放射能廃棄物管理が専門の米企業「キュリオン」の海外2社が協力する。工程表などによると5月末に施設が完成し、10万トンに迫る大量の汚染水処理が始まる予定だ。

だが、処理施設建設をめぐって水面下で、「緊急事態」を迎えている。

「ある政府高官が最近、放射性物質を取り除く処理装置を提供するキュリオンの進捗(しんちょく)具合を確認しようと渡米しました。しかし、キュリオンは現物を一切示さないばかりか、問い合わせにも応じないというのです。

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(kurion社ホーム)

同高官は『問い合わせてもノー・アンサー。本当に困っている』と言っています。政府はいまや当てが外れた状態なのです。汚染水処理は国家の命運にかかる一大事だが、暗礁に乗り上げています」


こう話すのは、原子力委員会専門委員で独立総合研究所社長の青山繁晴氏。処理施設が完成しないと事故収束にも重大な影響が及ぶことは必至だ。青山氏は、

「フランスも米国も10万トン近くの大量の放射能汚染水を除染した経験など絶無。汚染水が増大する梅雨までに間に合わないなら、日本が突貫工事で造るしかない」と話す。

青山氏が「汚染水が最大の難事」というのは、事故後の4月22日に福島第一原発を視察した経験があるからだ。作業関係者以外で原発内に入ったのは青山氏ただ一人である。吉田昌郎所長との面談時間は長時間に及んだという。

「帰り際、吉田所長に『今一番心配な原子炉は?』と最後の質問をしたら『5、6号機はもともと湧き水が多量に出てしまう構造になっている。地下2階にある分電盤が浸水したら、ただちに1〜4号機と同じように電源喪失状態になる』と答えたのです」(青山氏)

5,6号機は地震発生当時は定期点検中で原子炉が冷温停止状態。青山氏によると4月下旬、5,6号機の湧き水をめぐり吉田所長と東電本店、原子力安全・保安院と湧き水をめぐって意見の相違があったようだ。吉田所長は湧き水を処理したいが保安院は福島県知事が廃棄物処理法の規定を盾に報告の提出を求めてくるだろう、というような…

(中略)

粘土層を抜けると危ない

5,6号機の「足」を引っ張りかねない湧き水。警戒すべきは、こうした地下に染み込んだ水の存在だ。高濃度の『放射能ガレキ』から染み出したセシウム、ヨウ素といった放射性物質が地下水脈をたどって人家のある内陸部に運ばれる恐れはないのか。

「原発地下の地層では地下水脈が3%程度の斜度で海岸部に通じ、水は海に流れ出しているようです。このため内陸部に逆流することはなさそうです」(原発問題の勉強会を主宰する自民党村上誠一衆院議員)

とはいえ、警戒区域の20キロ圏、計画避難区域の30キロ圏をはじめ福島各地で放射性物質が高濃度で検出された以上、地下水脈経由で飲み水などの安全性が損なわれる事態は予測される。

「福島の浜通りのような本州・太平洋岸の地層は概ね地表面から5〜10メートルほどが土壌と砂れきの混ざった層で、その下には200メートルほどの砂岩層がある。この砂岩層がいわゆる『地下水脈』になる層です」

こう解説するのは、産業技術総合研究所の丸井敦尚・地下水研究グループ長。

丸井氏は「地下水被曝」という恐怖のシナリオの存在を指摘する。原発周辺で行われる復旧・復興工事によって引き起こされるというのだ。

氏によると、軟弱な地盤に建築物を建設する場合、杭を深く打ち込んで建物を支える。大型の建物は基礎坑が数十メートルに及ぶ。

地表から5メートル分の「汚染層」を除去したとしても、粘土層を突き抜けて打ち込まれた杭に放射性物質が付着、杭を伝って汚染水が地下水脈に流入する可能性がある。土壌を掘り起こす行為が地下水被曝を招く可能性があるというわけだ。

福島県内の地下水脈を研究する、福島大共生システム理工学部類の柴崎直明教授が語る。

「原発周辺で井戸を掘って大量の水を汲みだすと、地下水の水位が下がってきます。すると汚染水は海に流れず、内陸部に流れて汚染が拡大することも考えられるのです」


火山系温泉は大丈夫

地下水脈を脅かす要素は他にもある。土石流や重油流出汚染など災害や事故の被害予測をする星陵女子短期大学の沢野伸浩准教授がこう話す。

「広葉樹の森林地帯が水源の場所は危ない。“浸透能”(水分を吸収する能力)が高く、雨水が地面に染み込みやすいからです。その場所自体や上流が汚染され、そこに雨が降った場合、地下水脈に染み込む可能性が高いと言えます。

累積水量分布調査が大切です。飛散した放射性物質がどこに拡散したか、それが雨によってどう変化するのかを調べるべきです」

累積水量分布とは、地形データなどを基に地表に降り注いだ雨水がどこに流れていくのかを解析するもの。

放射線量が高い地域から畑や貯水池など、雨によって水が溜まりやすい場所に流入することが十分考えられるという。広葉樹林の水源地帯は、比較的地下水脈が浅く、湧き水などもあるため注意が必要だ。

(中略)

地下には温泉がある。影響はどうなのか。

「温泉は大別して火山系と非火山系に分けられます。非火山系は樹木が腐食して堆積し、その発酵熱や地熱が熱源となっているもので、浅いところで温泉が出る場合がありますが火山系だと1000メートルは掘り下げます。火山系の温泉は放射性物質の影響はありません」(前出・丸井氏)

(中略)

茨城・鹿島灘は要警戒

放射能汚染水に話を戻そう。土壌汚染だけでなく海洋汚染、すなわち海洋生物への影響も甚大だ。

4月2日、2号機の取水口付近にあるピットに高濃度の放射能汚染が溜まり、壁面の亀裂から海に流れ出ていたと東電は発表。2日後、今度は低濃度の汚染水約1万トンを海に放出した。

「4月2日の高濃度汚染水のダダ漏れが近海に影響しているのは間違いない。放射性物質はプランクトンや海藻などに取り込まれ、魚が食べる。その魚をさらに大きな魚が食べる。海中で食物連鎖が始まっています」

こう語るのは三重大生物資源学部の勝川准教授だ。魚類の汚染が顕在化するのはこれからという。チェルノブイリ原発事故後、スズキやマダラの汚染は徐々に蓄積され、ピークに達したのは半年から1年後だった。


福島でも4月中にコウナゴの汚染被害が見つかったが、ヒラメやマダラなど、「捕食魚」の汚染は、“時間差”があるのだ。

「4月中旬からヒラメの汚染が少しずつ進行しています。汚染のピークはこれからです。汚染が確認されていない魚種についても安全とはいえず、引き続き注意が必要です」(勝川氏)

海洋汚染の不安が募る中、今夏のマリンレジャーはどうなるのか、海水浴場などは安心していけるのか。前出の丸井氏は語る。
「九州から太平洋岸を北上してくる暖流と、東北から南下してくる寒流がぶつかるのが千葉・銚子沖。二つの海流はここで東の太平洋に向けて大きく進路変更します。その意味から茨城・鹿島灘は警戒が必要です」

原発から垂れ流された汚染水が鹿島灘に漂着したまま定着する危険性がある。「太平洋岸の海水浴場などはくまなく計測して、安全マップを作ったほうがいい」と丸井氏。

マリンレジャーには「海洋汚染図」が必携になりそうだ。
梅雨、台風シーズン放射能汚染水が増大し、万策尽きて海へ大量ダダ漏れ―――そんな愚挙だけは繰り返してはならない。
ジャーナリスト・山田厚俊(本誌・徳丸威一郎)


それにしても、マリンレジャーって???するひとあるの?あっ、でも大本営発表しか知らない人は、行くのかな…
ところで私は備蓄をして、備えることにしました。現在玄米90キロ、うどん10キロ、小麦粉20キロ、ランチョンミート1ケース、青汁1ケース、大豆5キロ、シーチキン缶1ケース、水タンク4缶、カセットコンロ2台、ガスボンベ30個…それにパンの缶、お菓子、チョコレートなど。
1年くらいは持つかな〜って思ってますが。

皆さんも備蓄をしませんか?アマゾンなら在庫調整が完璧だから買占め等になりませんよ。
米・穀類をアマゾンで揃えよう!


チェルノブイリの真実⇒心してご覧になる人のみ


サンデー毎日5月29日号より引用させていただきました。


posted by キキ at 23:58| Comment(0) | 大震災・原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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