柔道女子暴力告発:「死ね!」合宿で暴言…JOC会見
毎日新聞 2013年01月30日 21時34分
問題になった園田監督は選手たちにとっては厳しい指導者だった。報道陣に公開される強化合宿でも、ピリピリした雰囲気が漂い、泣き出す選手もいた。園田監督は「五輪でメダルを取るか取らないかではまったく違う。一人でも多くメダルを取らせてあげたい」と口にしていた。しかし、暴力行為は、その思いが裏目に出た。
五輪代表が決まった後の合宿で、乱取りを集中的にさせられる選手がいた。区切りの時間が来ても休むことを許されず、次々と練習相手が前にやってくる。選手はフラフラになり、倒れてもコーチが引きずり起こして相手と組ませる。園田監督からは「そんなことなら代表をやめろ」という厳しい言葉が飛んだ。園田監督は「今の力ではメダルは無理だが、もう少しで届く。この厳しい練習が『もう少し』になるかもしれない」と説明していた。告発文によると、ふがいない試合の後に選手が平手で頬をたたかれたり、練習中に竹刀で殴られることもあったという。
だが、厳しい練習にもかかわらず、ロンドン五輪での成績は予想に反して金メダル一つだけ。金メダルゼロに終わった男子の監督は交代したが、女子の園田監督は続投になった。五輪後、園田監督は代表選手一人一人と面談して、練習方法などについて話し合ったという。しかし、暴力を伴った指導法は選手たちには理解されず、続投決定直後に15人が署名した告発文によって、選手との意識のズレが表面化した形だ。【百留康隆】