柔道女子暴力告発:「死ね!」合宿で暴言…JOC会見
毎日新聞 2013年01月30日 21時34分
ロンドン五輪代表を含む柔道女子の国内トップ選手15人(引退選手含む)が、全日本女子の園田隆二監督やコーチの暴力やパワーハラスメントを集団で告発した異例の事態を受け、日本オリンピック委員会(JOC)は30日、東京都内で記者会見し、告発の経緯や被害の一端を明らかにした。高校スポーツも含め、体罰、暴力の相次ぐ発覚は「氷山の一角」ともいえ、スポーツ指導のあり方が問い直されている。
JOCは、昨年11月下旬に選手の関係者を通じて、暴力やパワハラの実態を初めて把握したという。12月4日にJOCに届いた告発文書には、大会や全日本合宿で園田監督やコーチ陣による暴力、暴言、脅しにおびえた選手の訴えが記されていた。選手から事情を聴いたJOCの平真事務局長は「合宿などで『死ね!』と言われたこともあったようだ」と説明。選手には従わないと代表から外される不安もあった様子で、「暴力を受け、顔では笑いながら怖かったのでは」と話した。
12月25日に選手側がJOCの女性スポーツ専門部会に送ったメールの嘆願書では、(1)人事を含めた強化体制の見直し(2)問題解決までの合宿の凍結(3)第三者による調査−−を要望。全日本柔道連盟は内部組織の倫理推進部会を中心に監督、コーチの聞き取り調査を実施。関係者がおおむね事実を認めたため、監督、コーチの計6人を戒告処分とした。
JOCは告発した15人のうち、今月10日に4人、27日に5人から事情を聴いた。ただし、選手が全柔連への氏名公表を拒否したため全柔連による選手への調査は進んでいない。今後はJOC側が同席した形で全柔連による選手へのヒアリングの場を要請する。JOCの市原則之専務理事は「今後も(他の競技でも)こういうことは起こり得る。しっかり対応したい」と語った。
一方、五輪で数々の栄光を重ねたお家芸での深刻な問題は、他競技の関係者らにも衝撃を与えており、JOC理事で日本スケート連盟の橋本聖子会長は「強くなってほしいという思いが違う伝わり方をしている」と話した。【井沢真】