クローズアップ2012:北朝鮮ミサイル発射 技術向上見せつけ/厳戒続け失点防ぐ(その1)

毎日新聞 2012年12月13日 東京朝刊

 北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」と称する事実上の長距離弾道ミサイルの発射に成功し、各国政府は分析を急いでいる。「技術的な欠陥」による発射延期の情報が流れていただけに、北朝鮮が周辺国の裏をかいたとの見方もある。今回の成功が北朝鮮のミサイル技術向上の証しといえるのかを専門家に聞き、また発射延期情報が流れた経緯をまとめた。【野田武、朝日弘行、ワシントン白戸圭一、小山由宇、鈴木泰広、ソウル澤田克己】

 ◇飛距離伸び米射程に 日米、慎重に分析進める

 北朝鮮が人工衛星とみられる物体を地球周回軌道へ投入したことは、ミサイル発射の基になるロケット技術の進歩を表している。現在ロケットによる衛星打ち上げ能力を持つのは日米露、欧州のほか中国、インド、ウクライナ、イスラエル、イランの9カ国・地域で北朝鮮がこれに続く可能性がある。

 海外の宇宙技術に詳しい東京財団の坂本規博研究員によると、北朝鮮はイラン同様ロシアの技術供与を受けており、まだ衛星打ち上げに成功していない韓国よりも技術的には上だという。また周回軌道の高度400〜500キロに達するまでエンジンを燃焼させるのは高度な技術だ。

 森本敏防衛相も記者会見で「間違いなくミサイルの技術が進展していると見ざるを得ない」と北朝鮮がミサイル技術を向上させたとの認識を示した。米本土まで到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)が開発されれば北朝鮮の脅威が高まるのは必至で、日米両政府は北朝鮮の技術力を慎重に分析する方針だ。

 今回は地球の自転と同じ東向きだった09年と違い、軌道に乗せるのが難しいとされる南向きで行われたことも政府関係者に衝撃を与えた。4月からわずか8カ月後の発射で、2段目は約2500キロ前後に到達しており、防衛省幹部は「正確で飛距離も長い。恐るべしだ」と懸念を示した。

 北朝鮮の目標は、米本土に到達する核弾頭搭載可能な射程1万キロのICBM保有とみられ、米国も神経をとがらせる。保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のクリングナー上級研究員は「人工衛星の軌道投入に成功し、飛行距離が09年打ち上げ時の3200キロを超えたとすれば、米国にとって新たな安全保障上の脅威だ」と話す。「北朝鮮が南に向けてミサイル実験をしているのは真反対の北方向に打つことをにらんでいるからだ。南極や北極付近を通って衛星などが回る『極軌道』を意識しており、視線の先には米東海岸があると言える」(防衛関係者)との指摘もある。

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