
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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ポイント還元率を下げるスタートトゥデイの思惑
ネット通販業のスタートトゥデイが、運営するショッピングサイト『ZOZOTOWN』で、商品購入時に付与するポイント還元率を、2月1日から商品代金の10%から1%に変更すると発表した。価格競争の過熱化が及ぼすファッション業界への影響を考えて決定したという。
この記事を見たときに、なぜポイント還元率が価格競争の激化を生み出すのか?と疑問に思った人もいるだろう。商品を『ZOZOTOWN』で購入したときにポイントがもらえる。このポイントは次回商品を購入するときに1ポイント=1円で使用することができるのだ。今買った商品は値引きされないが、10%ポイント還元であれば、10000円の商品を買ったとすると、1000円分の割引券をもらったことになる。次回購入時にその1000円分のポイントを使用すれば、5000円の商品を4000円で購入することができるのだ。「ポイント還元なら、どの業界でもやっているではないか?」と思うだろう。重要なのは「価格競争の過熱化が及ぼすファッション業界への影響を考えて決定」という理由である。つまり、低価格化することを恐れているのはどこか? きっと店舗販売をしている企業に影響があるのではないだろうか?
デパートやブランドの直営店舗でウィンドウショッピングして、お気に入りの洋服を探し、買う時は10%還元してもらえる『ZOZOTOWN』で買うという消費者の流れを警戒しているのではないだろうか? 店舗では、利益率を考えると10%ものポイント還元は難しいだろう。つまり、スタートトゥデイはより顧客が増え、より多くの商品を買ってくれるかもしれないが、ファッションブランドメーカーとしては、今まで長い付き合いのある既存の百貨店や店舗販売市場の落ち込みがこれ以上拡大し、「ネットで安いのしか買わない」という消費者の心理が定着することを恐れているのかもしれない。それだけ、スタートトゥデイの勢いがすごいということなのだろう。
最新号のメルマガでは、そんな勢いのあるファッションネット通販について分析している。
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