サムスン工場のフッ酸事故、ずさんな管理が明らかに

亀尾での事故からわずか4カ月
サムスン「流出はごく微量、操業停止するほどではなかった」

 慶尚北道亀尾市の化学薬品メーカー「ヒューブ・グローバル」の工場で猛毒ガスであるフッ化水素酸(フッ酸)が漏れ、作業員5人が死亡したのは昨年9月27日だった。そのちょうど4カ月後に世界的な企業であるサムスン電子の工場でもフッ酸が漏れ事故が発生し、死傷者を出した。今回の事故も、フッ酸漏れの前後に安全対策をおろそかにしたために被害が大きくなったことが次々と明らかになっている。

 まずサムスン電子が、フッ酸が漏れるまで古い部品を放置していたという点だ。今回のフッ酸漏れは貯蔵タンクバルブの部品である「ガスケット」の老朽化が原因で発生したものと推定される。サムスン電子関係者は「バルブ管ガスケットは定期交換部品ではなく、老朽化が発見されればその都度交換している」と説明した。この関係者は「老朽化したからといってその全てからフッ酸が漏れるということではなく、実際にサムスン電子の工場内でフッ酸が漏れたのは初めて」と話した。

 亡くなった協力会社社員のパクさんは猛毒物質を扱う作業をしていたのにもかかわらず、防護服を着ていなかったという点も疑問だ。死亡したパクさんと一緒に作業場に入った作業員は「パクさんは(フッ酸)関連業務に9-10年にわたり従事してきたベテラン。フッ酸は少し皮膚に付いてもヒリヒリし、防護服を着ていても痛みを感じるほど強いので、作業中に防護服を着ていなかったはずはない」と話した。

 しかし、サムスン側は「作業時の映像が記録されている監視カメラを確認したところ、パクさんは防護服を着ていなかった」と述べた。パクさんの遺族は「2回作業に入ったのに、1回目は防護服なしでマスクだけ付けて入り、2回目の作業時は防護服を着ていた」と話した。サムスン電子側は「亡くなったパクさんの役職は『監督者』だった。交換作業には加わらなかったため防護服を着ていなかったのだと思われる。フッ酸に関するマニュアルはあるが、防護服を着ないのはマニュアルに反すること」と話している。

カム・ヘリム記者
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