それから、数ヶ月が過ぎました。この頃は発作も滅多になく、それだからこそ麻鈴ちゃんを襲っている発作が一体ナンなのか全くわからず過ごしていました。そしてサラリーマンにはありがちな転勤の辞令が出たのです。カレにとっては入社後初めての転勤でした。場所は東京。本社でした。つまり栄転ですね〜でも住む場所は西船橋にある家族寮。築30年以上のアパートです。家賃は安いものの設備は悲惨…しかも麻鈴ちゃんがNGなのです。カレに会社に交渉をしてもらいましたが全くダメで、ワタシは決心して麻鈴ちゃんを連れて行きました。麻鈴ちゃんは内弁慶。一緒に誰かがいると物音で吠えますが、一人でお留守番だと息を殺しています。それでワタシは働きに出ることにしたんです。それは…大好きなディズニーランド!!所属はビッグサンダーマウンテンでした。ここで1年、働き、麻鈴ちゃんもバレルことなく(バレてたかもしれませんが、文句は言われることなく)カレの2度目の転勤がやってきたのです。たった1年で転勤…どうもこれは東京に転勤になるときから決まっていたようで、住む場所などのリクエストが全くきかなかったようです。次の場所は…よりによってロンドンでした…
 
ここでも問題が…今ほどワンコちゃんには良い環境が整っていないばかりか、情報も乏しく、ワタシが帰ってる実家から成田でロンドンを目指すには前泊が必要だったりしました。するとタクシーでかなりの距離のところにしかペットホテルが見つからず、慣れない土地で行きたくもないロンドン行き前にめちゃめちゃ疲れました。やっと出発の日が来て、麻鈴ちゃんを迎えに行き空港の動物検疫の担当の人に麻鈴ちゃんをお願いしました。この日のフライトはブリティッシュエアウエー。ワンコは1機につき1頭しか乗せられないという事で1ヶ月以上前にこの日のフライトを予約していました。湾岸戦争もあり、BAを使うヒトもあまりなく、2列に一人の乗客と言うくらいガラガラでした。ビジネスクラスの一番前の席にポツンと座ったワタシは麻鈴ちゃんのことを考えてました。すると係りの男のヒトが「申し訳ございません…」とイキナリ跪いたのです。
 
「はぁ〜??」と思っていると「申し訳ございません。本日、貨物のほうの空調がどうにも調子が悪くワンちゃんがお乗せ出来なくなってしまいました」と言うんです〜だって1ヶ月前から予約してるんですよ〜信じられない…!今のワタシなら言うべきことを言って「じゃ〜ワタシも次のフライトにしますから降ります」くらいのことを言えるのですが、そのときはまだ世間にもなれてなくて…言い返せず、ワタシがロンドンに到着するのをカレが待っていてビザ習得の関係があるからと強気なことが言えず、麻鈴ちゃんを成田に残して飛び立つと言うハプニングです。この空白の1日は未だ麻鈴ちゃんがどのような悲惨な1日を過ごしたのか…ワタシもわかりません…何を食べさせられどんなところに置かれたのか…このことを思うと今でも胸が潰れる重いです。今なら言ってやれるのに…一緒にいさせてくれと…
 
 
カレはいわゆる普通の企業のキャリア組みではありません。出身学校も聞いたこともないようなところですが、ちょうどバブルと言うこともアリ成績しだいで行きたいところにいける傾向にある会社でした。結婚して東京に転勤になるまでの間に2回も語学留学をさせてくれていたので、こうなることは会社としては想定内だったようです。でも、麻鈴ちゃんを連れて行くには一番タイヘンなところでした。つたない英語力で必死で調べてくれて、カレが10月にロンドンに経ち、ワタシが麻鈴ちゃんを連れて後を追ったのが1月末。ちょうど湾岸戦争が始まったときでした。
 
 
ヒースロー空港は物々しい警備でした。ワタシが着く直前まで戦車までいたそうです。無事、ビザの印鑑を頂き、泣きながら空港でカレと再会しました。こんなところに麻鈴ちゃんを置いて来させられてカレのことを恨んだものです。
ロンドンのおウチはセミデタッチと言う2軒のおウチがくっ付いたタイプのおウチでお庭もあって2階建ての大きなものでした。日本人が安全に住めて日本人の常識の範囲のおウチというと(蛇口をひねるとお湯がじゃんじゃん出るとか、トイレが普通に流れるとか)家賃が30万位するといいますから、我が家はまさに平均のおウチでした。カレが働くシティまで電車で30分くらいですから東京近郊に住んでいるのと変わりませんね〜近くのスーパーで買い物の仕方を習ったり、ウチの近所を案内してもらったり、同じ会社の奥様達や同僚を紹介してもらって、あっと言う間に1週間くらい経ちました。
 
麻鈴ちゃんはちゃんと翌日のフライトでロンドンに到着しケンネルのヒトが迎えに行ってくれて、検疫生活に入っていました。その時の検疫はナンと6ヶ月!!ナンテ長いんでしょう〜その理由は狂犬病の潜伏期間が6ヶ月だからというのですが、こな小さなワンコ…狂犬病かどうかなんてわかりそうなものなのにね…揃えなくてはいけない書類も完璧なんだから、ある程度のエクスキューズがあってもよさそうなのに…6ヶ月…しかも空港について最初の面会が許されるのは10日後だったんです。その日が来るまでに、車でそこまで一人で通えるように練習をしていました。車で30分くらいのところです。こういうケンネルは至る所にあり、我が家はカレが頑張ってウチから通いやすいところを調べておいてくれたので、車で30分ですが知らずに適当に決めちゃったヒトはとても通えない場所だったりしたようです。


 
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