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電中研OBによる原発立地の「結論先送り案」が発動中?

週プレNEWS 1月29日(火)15時10分配信

1月28日、原子力規制委員会(規制委)は日本原子力発電敦賀原子力発電所(福井県)の断層を評価する専門家会合を開き、2号機直下の断層を「活断層である可能性が高い」とする報告書案を大筋で了承した。

しかし、ほぼ「活断層」だという報告がそろっているにも関わらず、規制委は最終判断に時間をかける方針で、報告書を正式にまとめるのは2月以降に持ち越された。

念入りな活断層調査をすることはまるで「いいことずくめ」であるかのように誤解させられている人が多いが、延々と調査を続けるのは、単に結論を先送りにしているのと同じだ。敦賀での活断層調査にしても、これまでに数十億円単位の調査費がかかっているとされる。こうした調査費はすべて電気代に上乗せされ、最終的には国民の負担となることも忘れてはならない。

重要なのは、「簡単に結論は出せない」と言いながら検討作業をいつまでも続け、廃炉などの対策を先送りにし続ける原子力ムラの体質こそが、東京電力の津波対策をなおざりにし、福島原発事故を招いたことだろう。

しかも最近は、新手の「結論先送り策」も検討されている。原子力ムラでは現在、原子炉直下に活断層があっても、ずれを予測して対応することを可能にする研究が進められているらしいのだ。

規制委で現在進められている「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム」第3回会合(昨年12月7日)の議事録に、次のような発言がある。

「それ(活断層の一種である『破砕帯』)があるなしで、『はい、つくらない』と、そういうことは言わないで(中略)、それが地表にどういうような変形を及ぼして、それが施設に対してどういう影響があるのかということをきちんと計算をして、照査をして、アウトかどうかを審査しましょう」

発言者は、谷和夫・防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター研究員。プロフィールを確認すると、横浜国立大学の元教授で、原発を所有する各電力会社が出資し、電力会社のために活断層調査を行なっている電力中央研究所(電中研)のOBだった。

谷氏の主張は、たとえ直下に活断層が見つかっても、岩盤がずれる量は工学的に計算できるので、敦賀原発を即廃炉とすべきではない、というものだ。これは、新安全基準に対するあからさまな「骨抜き」策動だ。

“御用学者”たちが展開する、「活断層の上に建つ原発でも、安全性を維持することは工学的に可能」というトンデモ理論。未曾有の原発事故を経てなお、このような主張を繰り広げる原子力ムラの面々にはあきれるばかりだ。

(取材・文/ルポライター・明石昇二郎&ルポルタージュ研究所)

最終更新:1月29日(火)15時10分

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