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日本が米国を抜いて世界トップ!? 2012年スマホアプリ市場

nikkei TRENDYnet 2012年12月12日(水)10時59分配信

日本が米国を抜いて世界トップ!? 2012年スマホアプリ市場
スマートフォン利用者の増加と共に人気が高まっているのが「アプリ」だ。今年もさまざまな人気・注目アプリが登場し世間の注目を集めた。ではそれを扱うマーケットや人気アプリの動向にはどのような変化が見られるようになったのだろうか。

 スマートフォン利用者の増加とともに人気が高まっているのが「アプリ」だ。今年もさまざまな人気・注目アプリが登場して世間の注目を集めた。では、それを扱うマーケットや人気アプリの動向にはどのような変化が見られるようになったのだろうか。昨年末の状況と比較しながら見比べてほしい。

【詳細画像または表】

アプリダウンロード数は600億を超える

 スマートフォンのアプリマーケットは今年も活況を呈しており、アプリ数やそれを利用しているユーザーも引き続き増加傾向にある。

 公表されている数字からその盛り上がりを見てみよう。アップルが米国時間で2012年11月19日に公表したiPhoneなどiOS向けアプリマーケット「App Store」の動向を見ると、公開されているアプリ数は70万タイトル、ダウンロード総数は350億件に上るとのことだ。また、App Storeの承認を受けたアプリは、未公開のものを含めると100万タイトルにのぼるという。これらの値から昨年と比べても急激な伸びを示していることが分かる。

 また、Android向けアプリマーケット「Google Play」の動向を見ると、こちらも2012年9月26日時点で250億ダウンロードを記録したと発表されている。アプリ数も67万5000タイトルに達するとのことだ。一部には70万を超えたとの報道もあるようで、こちらも引き続き大きな盛り上がりを見せている。

 App Store、Google Playという2大マーケットのダウンロード数を単純に合計すると、その数は600億を突破したことになる。日本だけでなく、世界的にアプリ、ひいてはそのマーケットが継続して伸びていることが理解できる。

アプリ内課金で高収益、上場する企業も現れる

 今年のアプリマーケットの動向をひと言で言えば、「アプリで収益を上げるビジネスが確立された」ということだ。これまでは、アプリマーケットが大きく盛り上がる一方、激しい価格競争による低価格化の進行でアプリの有料販売が振るわず、スマートフォンのアプリで収益を上げるのが困難な状況が続いていた。

 だが、昨年からアプリ内でアイテムなどを販売する「アプリ内課金」の仕組みを用いたソーシャルゲームが徐々に高収益を上げるようになり、今年はその傾向が加速。App Store、Google Playいずれのマーケットにおいても、ソーシャルゲームを中心としてアプリ内課金を用いたゲームコンテンツが高い売り上げを示すようになったのだ。

 そしてその変化は、スマートフォンアプリを提供する企業にも大きな影響を与えている。一例を挙げると、オンラインゲームなどを手掛けるガンホー・オンライン・エンタテインメントが今年の2月に公開したゲーム「パズル&ドラゴンズ」が、400万ダウンロードを超え、現在もApp Store、Google Play双方の売り上げランキングで常にトップ3に入る存在となるなど大ヒットを記録している。同社は2012年第3四半期決算において、売り上げを前年比で1.8倍に伸ばしており、そこにはパズル&ドラゴンズの好調が大きく影響している。

 もう1つ、アプリの売り上げ拡大が大きな影響をもたらしたのがコロプラだ。同社は従来、位置情報を用いた「位置ゲー」に注力してきたが、今年投入した「秘宝探偵」「プロ野球PRIDE」など、スマートフォン向けのソーシャルゲームがヒットし急成長。2012年11月9日にマザーズへの上場が承認され、上場を果たすに至っている。

 もっとも、ゲーム以外のコンテンツで高い売り上げを上げているものはまだまだ少なく、ビジネスを展開する上でアプリマーケットが引き続き多くの課題を抱えているのは事実だ。だが長く「儲からない」と言われ続けたアプリビジネスに今年ようやく明るい光が見えたことに間違いはないだろう。

海外でも人気を博す日本のアプリ

 日本におけるアプリビジネスの急激な伸びは、アプリマーケットにおける日本の存在感の高まりも示している。事実、アプリの分析を行う「App Annie」が米国時間の2012年11月29日にまとめた調査結果によると、2012年10月の地域別モバイルアプリの売り上げで日本が米国を抜いて1位になったと公表されているのだ。

 市場規模だけでなく、2012年は日本発のアプリが海外のアプリマーケットにも大きな影響を与えるケースが急増した年にもなったといえるだろう。NHN Japanのコミュニケーションツール「LINE」はその代表的存在だ。日本国内で3500万を超える利用者を獲得しただけでなく、台湾で1000万、全世界では8000万もの会員を集めるに至った。

 そしてもう1つ、海外展開で注目を集めたのが、Cygamesが提供する「神撃のバハムート」だ。これはディー・エヌ・エーの「Mobage」上で提供されている人気ソーシャルゲームの1つ。それを海外向けにアプリとして展開した「Rage of Bahamut」が、米国など多くの国のGoogle PlayやApp Storeで売り上げランキングトップを記録。現在でも米国のアプリマーケットで売り上げランキング上位を争う存在となっているなど、高い人気と収益を獲得するに至っている。

 ほかにもビーワークスの人気ゲーム「おさわり探偵 なめこ栽培キット」が海外向けの展開を進めて2400万ダウンロードを記録するなど、日本発のアプリが海外展開を進め、人気を獲得するケースが相次いでいる。日本から世界に広がるアプリやコンテンツが今後さらに増えると期待されている。

市場に影響を与える独自アプリマーケットの参入も

 アプリマーケットといえば従来、プラットフォーム自身が提供するApp StoreとGoogle Playが、常に大きな注目を集めてきた。だが今年に入って、アプリマーケットに新たに参入する事業者が存在感を高めており、その動向にも変化が訪れようとしている。

 大きな動きの1つは「auスマートパス」だ。これは、auのAndroidスマートフォン向けに提供されているアプリマーケットだが、アプリを1本単位で販売するのではなく、月額390円で全てのアプリが利用し放題となっているのが特徴だ。2012年3月にサービスを開始して以降、同年11月20日には会員数が300万人を突破するなど好評を博している。

 もう1つ、最近起きた大きな動きとして挙げられるのが、2012年11月28日に提供を開始した、「Amazon Android アプリストア」だ。これは、米Amazonが提供するAndroid向けの独自マーケットで、Amazon.co.jpのアカウントをそのまま利用してアプリの購入などができるのに加え、日替わりで有料アプリを無料で配信するコーナーも用意されている。

 このマーケットが大きな影響をもたらすと考えられるのは、Amazonが近く、独自のタブレット「Kindle Fire」を提供するためだ。このタブレットの売り上げ動向次第では、Amazonのマーケットが大きな存在感を示す可能性も大いに考えられるのだ。

 ここまで見た通り、スマートフォンのアプリとそれを提供するアプリマーケットを取り巻く状況は、たった1年で大きく変化しており、今なお激しい変化の渦の中にある。それゆえ2013年もアプリシーンは大きな盛り上がりを見せ、2012年以上に注目を集める可能性が高いといえそうだ。

最終更新:2012年12月12日(水)10時59分

nikkei TRENDYnet

 
 

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