水銀を使った製品の製造や輸出入を規制する条約案に世界各国が合意、10月に「水俣条約」として採択される見通しだ。水銀による環境汚染や健康被害をなくす重要な一歩だ。しかし規制が不十分で汚染防止に万全とはいえない面がある。水銀を使わない製品作りや水銀の安全な保管法の実用化を加速する必要がある。
条約案は水銀鉱山の新規開発を禁止する。水銀を使用した電池や蛍光灯などの製造と輸出入を2020年までにやめ、化学製品の製造工程での水銀使用を段階的に廃止していく。石炭火力発電所などが排出する水銀にも規制を課す。
水銀は有毒で体に取り込むと中枢神経などを侵す。水俣病は水銀化合物(有機水銀)の摂取が原因で起きた。日本政府は条約の前文に水俣病のような被害を繰り返さないとの表現を盛り込み、名称を「水銀に関する水俣条約」とすることを提案、各国が了承した。
途上国では水銀が違法な小規模金採掘に使われ、労働者の健康被害の原因となっている。大気や水に排出される水銀が広範な環境汚染を引き起こす恐れが大きく、国際的な規制が求められていた。
日本は無水銀電池や水銀を使わない製造技術の開発で世界をリードし水銀の使用量を減らしてきた。需要はピーク時(1964年)の年約2500トンから約10トンにまで減らした。水銀使用製品の回収・リサイクルも進んでいる。
しかし回収水銀のうち年100トン近くが余剰となり、輸出されている。これが途上国で金採掘などに使われ、結果的に健康被害をもたらしていると指摘される。条約案は輸出に際して輸入国政府の同意を求め違法使用への歯止めとするが、実効性に疑問が残る。
米欧はすでに国内法で水銀の禁輸を決めている。日本が禁輸に踏み切れないのは余剰の水銀を安全に保管する手立てがないからだ。放射性廃棄物と同様に非常に長い間、漏出させない厳重な管理が求められる。保管の技術と仕組みを早急に確立しなければならない。
水銀
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