体罰・指導:/3 人の命より「勝利」
毎日新聞 2013年01月27日 大阪朝刊
94年に小学6年の長男が担任に暴行を受け自殺した内海千春さん(53)=兵庫県=は、「家庭に責任を押しつけ沈静化を図る構図は今も変わらない」と憤る。内海さんも「家庭に問題があった」と事実無根のうわさをたてられた。妹が泣きながら「お兄ちゃん悪いことしたの?」と尋ねたこともある。自身も中学校の教壇に立つが、「学校には体罰根絶に取り組む部署もなく、うまく沈静化した人が評価されるから、誰も本気でなくそうとしない。子供を指導する技術も発達しないままだ」と指摘する。=つづく
◇異なる自殺件数
文部科学省は毎年、全国の小中高校生の自殺件数を調査してきた。11年度(速報値)の総数は200人で、教職員との関係の悩みを理由とするのは0%。不明58%▽父母等の叱責12%などが多いが、実態を反映していないとする指摘も多い。総数さえ11年を353人とする警察庁統計とは大きく異なっており、文科省も実態との乖離(かいり)を認め、統計をとることを中止する。