先月上旬から行方不明になっているスイス在住の会社経営の男性とその妻とみられる遺体が埼玉県内で発見されたことが29日、捜査関係者への取材で分かった。夫婦は知人からパーティーに誘われ外出した後に失踪していた。警視庁捜査１課は知人が何らかの経緯を知っているとみて事情を聴く方針。

　捜査関係者によると、行方不明となっているのは、霜見誠さん（51）と妻の美重さん（48）。

　捜査１課は28日、関係者の話をもとに埼玉県内の土地で男女の遺体が埋められているのを発見した。近くで夫婦が乗っていた可能性がある車も見つかった。ＤＮＡ鑑定の結果などから、同課は29日、２遺体のうち、男性の遺体は霜見さんと確認した。

　捜査関係者によると、一時帰国中の夫婦が東京都中央区のマンションから外出したのは昨年12月７日夕。夫婦は周囲に「仕事関係の知人から男性有名歌手が出る栃木県日光市のパーティーに招待された」と話していた。

　その後、マスク姿の男が霜見さんのクレジットカードを使い、東京駅で新幹線の回数券約300万円分を購入しようとしたことや、夫婦のものと似た財布が都内の質店に入れられたことが判明。捜査１課は架空のパーティー話で夫婦が誘い出され、事件に巻き込まれたとみている。

　捜査１課は夫婦の失踪直前、知人の関係者が借りたレンタカーが都内から日光市に向かい、数日後に都内に戻っていたことを確認した。ほかに不審な車が埼玉県内を走行したことも分かっており、同課は事件との関連を調べている。

　霜見さんはスイスを拠点とする投資ファンドのファンドマネジャーを務め、都内に複数の高級マンションの部屋を所有。昨年11月に一時帰国し、同12月中旬に再びスイスに戻る予定だったが、中央区銀座のマンション室内には旅券や航空券が残されていた。