博士の新薬
とある博士の研究所のそばに、一つの影があった。 その影の正体は、泥棒だった。
その博士はこれまでに、素晴らしい薬を沢山作り出してきた。今度もまた、新しい薬を完成させると言う噂だった。泥棒は、その新薬の作り方を盗み出し、どこかに売り払ってしまおうと言う計画だった。
泥棒が部屋を覗くと、博士が一人、夢中になって薬を調合している。熱中しすぎて、覗かれていることにすら気がつかない。
やがて、少しの量の薬が出来上がった。透き通った青い色をしていた。博士はそれを一口飲み、呟いた
。
「よし、これでいいだろう。ふぅ、やっとできた。これは今までにない素晴らしい薬だろう。よし、ひとまずメモを取っておこう。」
博士はさらさらとメモを取り、机の中の引き出しにしまった。それから、博士は自分の家へと帰っていった。
それをずっと待っていた泥棒は、すぐに引き出しを開け、紙を取り出した。その後、自分のポケットにしまい、とても愉快そうな顔で研究所から飛び出した。
「よしよし、これで一稼ぎしてやろう。博士が自分で試しに飲めるということは、安全なのは確かだろう。素晴らしい薬だと言っていたが、どんな効果があるのだろう……」
泥棒は、これは自分で確かめるしかない、と思い、アジトに戻ってから、自分で薬を作って見ることにした。
原料を集め、ビーカーなどの器具も揃えた。何日か経って、やっと薬が出来上がった。
泥棒はそれを一口飲んだ。とてもスッキリとした味だった。まるで心が洗われていくような感覚を覚えた。
数分後、何を思ったかアジトから飛び出した。わき目も振らずに走り続け、着いた先はなんと、昨日の研究所だった。そこで、丁度玄関から出てきた博士に、
「私はとても申し訳ないことをしました。この間、研究所の新薬の作り方が書かれた紙を盗み、自分で薬を作って飲みました。」
と言ったすると博士が、
「それは本当ですか?」
と念を押した。
「はい。今日は自分の犯した過ちに気付き、ここへやって来ました。」
泥棒はぼろぼろ涙を流して言った。しかし、博士は怒ろうともせずに、にっこり微笑んで言った。
「それはそれは、やはり私の作った新薬は効果があったようだ。この薬は、自分の隠したいことでも、全て正直に話してしまう薬なのです。しかし、どのように効果を試そうか考えていたところなんです。おかげで手間が省けました。ご苦労様です。」
これは、友達と、「なんでも相手に正直に物事を言わせられたらいいよね」という話の時に妄想していたのを文章にしました。
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