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脱デフレへ期待先行 政府、成長率の「名実逆転」解消見通し

2013/1/29 0:50
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 政府は28日、名目経済成長率が物価変動の影響を除いた実質ベースを下回る「名実逆転」が2013年度に16年ぶりに解消するとの見通しをまとめた。輸出の持ち直しや経済対策効果で内需が拡大し、物価を押し上げると見込む。実現すれば安倍政権が最重要課題に掲げるデフレ脱却へ大きく前進するが、民間エコノミストは慎重論が大勢で期待先行の感が強い。

 同日閣議了解した経済見通しで13年度の名目成長率を2.7%とし、実質ベースの2.5%を上回るとした。

 名目の成長率が実質を下回る名実逆転現象はデフレの象徴だ。名目が実質を上回るという正常な姿に復帰することは、デフレ脱却に向けた第一歩となる。

 政府が描くシナリオは、輸出回復に伴う生産や設備投資の拡大を、公共事業を中心とした10兆円超の緊急経済対策が下支えする姿だ。秋ごろからは14年4月の消費税率引き上げをにらみ、住宅購入の駆け込み需要が出てくるとみている。

 経済対策による60万人分の雇用創出効果などで失業率は12年11月実績の4.1%が3.9%まで下がり、人口減で目減りしていた労働力は12年度(6547万人)の水準を維持すると想定した。

 一方、民間エコノミスト10人の予測平均では、公共事業など公需の国内総生産(GDP)への寄与度は0.6%と政府見通し(0.8%)より小さい。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「人材・資材不足が制約になり公共投資の執行は遅れる」と公需の寄与度は0.4%どまりと試算する。

 設備投資の伸びも民間予測は1.0%増と政府(3.5%増)より慎重だ。「経営環境は改善しているが、企業は投資をするならまず海外と考えている」(バークレイズ証券の森田京平氏)

 物価を巡る官民の認識のずれは一段と大きい。エコノミストは10人全員が13年度の「名実逆転」の解消は難しいと見ており、予測平均の成長率は名目1.6%と、実質(2.0%)を下回る。

 政府は需給ギャップの縮小で13年度の消費者物価指数(生鮮を含む)が0.5%のプラスに浮上し、総合的な物価動向を示すGDPデフレーターも0.2%上昇すると見込む。第一生命経済研究所の新家義貴氏は「政府の見通しは強気」とした上で「実質2.5%成長でも需給ギャップはマイナスのままだ。人々はデフレに慣れており、企業はモノの値段や賃金を上げにくい」と指摘する。

 かつての政権も政府経済見通しでGDPデフレーターを高めに設定することが多かったが、実績は大半が見通しを下回った。今回の名実逆転解消の見通しも、人々の「インフレ期待」を広げたいという政府の思いが色濃く出ているとみられる。

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河野龍太郎、名実逆転、GDP、BNPパリバ証券、第一生命経済研究所

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