財政の崖:米議会 与野党合意に失敗 交渉持ち越し
毎日新聞 2012年12月31日 20時48分(最終更新 12月31日 21時20分)
【ワシントン平地修】大規模減税の打ち切りと歳出の自動削減が13年初めに重なる「財政の崖」を巡り、米議会は12月30日、上院での与野党合意に失敗、31日に交渉を持ち越した。富裕層向け減税の延長について、両党の違いを埋められないためで、転落回避に向けたぎりぎりの攻防が続いている。
「両党には大きな見解の隔たりがある」。民主党のリード上院院内総務は30日夕、党幹部との会合後、記者団に、同日中の法案採決を見送ることを表明。審議を31日午前11時(日本時間1月1日午前1時)に再開することを明らかにした。
与野党は、30日午後までに上院で崖回避について合意した上で、回避期限の31日、上下院で法案を可決することを目指していた。しかし、共和党のブッシュ前大統領が導入した所得税など大規模減税の延長を巡り、民主党は歳入確保のため富裕層向けの打ち切りを主張。これに対し、共和党はできるだけ多くの富裕層についても減税を延長し、その代わり、社会保障分野などで、新たな歳出削減を求めているとみられ、合意に至っていない。
米メディアによると、地元デラウェア州に滞在していたバイデン副大統領もワシントンに戻り、共和党のマコネル上院院内総務との協議に入った。リード氏は「時間はある」と述べ、31日の上院での合意と法案可決を求める考えを強調。だが、法案が上院を通っても、共和党が多数を占める下院では、保守派を中心に減税の全面延長を求める声が依然、根強い。