豊川工陸上部監督が体罰　平手打ちで鼓膜に傷も

　高校駅伝の名門として知られる愛知県立豊川工業高（同県豊川市）で、陸上部監督の男性教諭（５０）が昨年４月から今月にかけ、複数の部員に平手打ちなどの体罰を１２件繰り返していたことが２６日、分かった。竹本禎久校長が同日記者会見して説明。うち夏合宿中の１件で平手打ちを受けた男子部員は鼓膜が傷つくけがをし、転校した。

　さらに他の部員の前でたたかれて退学した女子部員もいたといい、竹本校長は「行き過ぎた体罰だった。あってはならず、防げなかったことを反省している」と謝罪。一方、教諭は学校に「いずれも体罰ではなく指導だった」と話したという。

　県教育委員会は２５日に学校から報告書の提出を受け、教諭に部の指導を自粛させるよう学校に指示。教諭や校長から事情を聴くとし、詳細については「報告書を精査しておらず、現時点で内容を申し上げられない」として明らかにしていない。

　県教委が大阪市立桜宮高の男子生徒自殺問題を受け、県立学校に対する体罰調査を始めた１１日に、豊川工のこの教諭による体罰の情報が複数寄せられたという。

　学校は２６日午後、保護者会で問題の経緯などを説明。教諭は現在陸上部での指導を自粛しているが、学校によると、「全国大会に出るためには先生が必要」と監督続投を求める声が多かったという。部の練習や大会への参加は予定通り行う。

　教諭は２００９年７月、陸上部の部員にデッキブラシで体罰を加え、頭を縫うけがを負わせたとして、県教委から翌８月に文書訓告の処分を受けた。県教委は「公表基準に達していない」として発表していなかった。

　同校は１１年まで１４年連続で全国高校駅伝の男子に出場し、０４年大会では２位になった。教諭は同校に約２０年間勤めており、今月２０日の都道府県対抗男子駅伝では愛知県チームの監督を務めた。

　一方、同校は、男子バレー部顧問の男性教諭（３４）も部員１人に平手打ちの体罰を１回していたと県教委に報告したことを明らかにした。

（2013年1月26日23時23分スポーツ報知）