ミサイル:米中で迎撃実験成功、インドは発射実験
毎日新聞 2013年01月28日 20時25分
米国と中国が26、27日にそれぞれ弾道ミサイル迎撃システムの実験を行い、成功したと発表した。一方、中国などと緊張関係を抱えるインドは核弾頭搭載可能な潜水艦発射型弾道ミサイルの開発が終了したと公表。弾道ミサイル開発とミサイル迎撃システムの開発が、水面下で互いをけん制する米中印3大国で進んでいる。
米国防総省ミサイル防衛局は26日、地上配備型迎撃ミサイルの飛行実験に成功したと発表した。西部カリフォルニア州の空軍基地から発射された迎撃ミサイルは宇宙空間で計画通りに作動。標的となる模擬ミサイルを飛ばした迎撃実験ではないものの、飛ばしていれば模擬ミサイルを破壊したという。迎撃ミサイルの飛行実験は10年12月に迎撃実験に失敗して以来2年ぶり。同局は「地上配備型の迎撃実験成功への重大な一歩だ」としている。
一方、中国国営新華社通信は28日、中国国防省が27日に地上配備型の弾道ミサイル迎撃システムの技術実験を国内で行ったと伝えた。詳細は不明だが「所期の目標を達成した」と成功をアピールした。10年以来2回目の実験。昨年12月には独自開発した衛星測位システム「北斗」の運用を始めており、迎撃システムの能力向上も想定される。
これに対し、中国の軍事的台頭に神経をとがらせるインド軍は27日、東部ベンガル湾の海中から核搭載可能な中距離弾道ミサイルK5(射程約1500キロ)の発射実験に成功した。インドのPTI通信が伝えた。中国全土を射程に収める弾道ミサイル(同約5000キロ)の発射実験に昨年成功しており、中国をさらに刺激しそうだ。
米ミサイル防衛局によると、弾道ミサイル保有国は72年には9カ国だったが、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の年鑑「ミリタリーバランス2011」などによると、11年現在は38カ国・地域に上る。ミサイルの基数も急速に増えており、北朝鮮に限らず、激しいミサイル開発競争が繰り広げられている。【西田進一郎】