茨城 最新の核融合実験装置組み立て1月28日 17時40分
次世代のエネルギーと言われる核融合を研究している、茨城県那珂市の研究施設で、日本とEUが共同開発している、最先端の実験装置の組み立てが、28日から始まり、6年後の実験開始を目指すことになりました。
組み立てが始まったのは、茨城県那珂市の日本原子力研究開発機構那珂核融合研究所で、日本とEUが共同で開発を進めている最先端の実験装置「JT-60SA」です。
28日は、実験装置の土台となる重さおよそ50トンに及ぶスペイン製の機器を、クレーンで移動させる作業が、報道関係者に公開されました。
核融合は、原子核どうしを高温で衝突させて融合させる反応のことで、反応が起きる際にばく大なエネルギーが発生することから、次世代のエネルギー資源として期待され、国内外で研究が行われています。
核融合からエネルギーを取り出すには、重水素などの燃料を1億度以上に熱して、原子が原子核と電子に分かれるプラズマと呼ばれる状態にする必要がありますが、「JTー60SA」は、2億度から3億度の高温でプラズマを作り出したうえで、その状態を長時間維持する実験を行うということです。
那珂核融合研究所では、「JT-60SA」の前身である「JT-60」が、昭和60年から平成20年まで運転し、平成18年にプラズマ状態を、世界記録の28秒間維持することに成功しています。
「JT-60SA」の組み立て作業は、6年後の実験開始を目指して進められます。
日本原子力研究開発機構トカマクシステム技術開発ユニットの池田佳隆ユニット長は、「核融合の技術は難しく、実現にはあと数十年かかってしまうが、一歩一歩、ゴールには近づいている。この装置の実験で研究が進むことを期待している」と話してました。
実用化には多くの課題
東京電力福島第一原発の事故で、原子力エネルギーへの信頼が揺らいでいますが、この実験施設では、燃料として放射性物質は使われておらず、深刻な放射能漏れを引き起こすことはありません。
一方で、実際の核融合反応では、そこで生じる強力な中性子に耐えられる材料の開発や、効率的な発電に結びつける技術の確立など、課題は多く、核融合エネルギーが今すぐ実用化できる段階にないのが実情です。
また、研究装置には最先端の技術が求められることから、膨大な予算が必要で、実験装置も日本とEUで合わせて635億円もの費用がかかっています。
次世代のエネルギーと言われ続けてきた核融合ですが、この実験装置を通じて研究を進め、安全性を保ちながら、できるだけ早く実用化への道筋をつけることが求められています。
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