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インターネットテレビ「チャンネルAjer」の収録を行いました。
今回のタイトルは「財政政策に対する誤解(マンデル・フレミング・モデル)」というもので、海外部門の要素(輸出入や為替レート)を取り入れたマクロ経済モデルであり、財政支出拡大による経済成長政策の無効性の根拠としてしばしば引用されるマンデル・フレミング・モデル(及びその引用のされ方)について、以下のような観点からその妥当性に疑問を呈し、かつ現在の日本には「財政政策無しの経済成長はあり得ない」ことを、同じくマクロ経済モデルの観点から私なりに論証しています。
即ち、
①財政政策の効果を否定する際に、「マンデル・フレミング・モデルによって『変動為替相場制のもとでは、財政政策の効果は自国通貨価値の上昇(日本でいえば円高)によって完全に打ち消されてしまう』ことが証明されている」という議論がしばしばなされる。
しかし、この元ネタであるロバート・A・マンデル(マンデル・フレミング・モデルの創始者であり、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者)の論文では、「為替レートの期待変化率がゼロで、国内・海外とも利子率が固定されている」(資本の完全移動性)という、現実的にありえない仮定を盛り込んだマクロ経済モデルからこの結論を導き出している(マンデル自身もこの部分についてはあくまでも思考実験的に展開しており、それをそのまま現実の政策に適用されることを想定しているとは到底思えない論述となっています。)。
即ち、上記の議論は元ネタの論文の本来意味するところを見落とした極論(もしくはその受け売り)に過ぎない。
②同じくマンデル・フレミング・モデルに基づき「変動為替相場制のもとでは、財政政策は金融政策ほど有効ではない」(上記で述べた自国通貨高圧力による純輸出減少に加え、利子率上昇による民間投資意欲の減退、すなわちクラウディング・アウトが発生する、というのがその論拠)という、財政政策に対するよりマイルドな批判も存在する。
しかしながら、「クラウディング・アウトを発生させたくなければ、財政拡大と共に金融緩和を実施することが現実の政策運営では可能である」「マンデル・フレミング・モデルでは、現実の経済に見られる『財政拡大がもたらす自国通貨安圧力』(財政拡大⇒需要拡大による物価上昇⇒自国通貨安)が織り込まれていない(実際の経済統計でも、財政拡大をしている国ほど通貨が安い、という傾向が観察できる)」といった2つの観点から、これも正当な議論とは言えない。
③以上のような反論をしてもなお、「今の日本の状況(政府債務がGDPの2倍に達する)では財政の拡大を行うべきではなく、金融政策だけで経済成長を実現すべき」という突込みが入る可能性はある。
しかしながら、今の日本経済は実証的な観点より、「財政拡大無しに金融緩和だけいたずらに繰り返しても、経済成長に結びつかない状況にある」と考えられる。
このことをマンデル・フレミング・モデルの元になっている「IS/LMモデル」に即して言えば、「利子率の変化が民間部門の投資にほとんど影響を与えないことによる『IS曲線の垂直化』」「実質金利がこれ以上下がらないところまで既に低下していることによる『LM曲線のフラット化』」のいずれかが生じていることを原因として、金融緩和だけでは今の日本経済は成長できない構造になっており、実際の経済データもそのことを示唆している、と言い換えることができる(ちなみに私は、実質経済統計よりも名目経済統計を理論構築上も重視する立場、及び「一国の名目経済成長率と政府部門の名目支出伸び率は長期的にほぼイコールである」という大多数の国に当てはまる現実も包括的かつ簡明に説明可能という観点から、前者を原因とするのが妥当と考えています。)。
したがって、問題解決にはやはり財政拡大が必要不可欠である。
という内容です。
経済学界も含め、元になっている理論やモデルの背景を深く理解しないまま表面的な結論だけに基づいて議論を展開したり、適切な理論的立場を選択するに際して実証的な観点を軽視したり、といった態度が、今日に至る議論の混乱を招いています。
そのことが日本国民の現実の生活にもダメージを与える結果になっている訳で、こうした状況を打開するための政治的なリーダーシップの発揮が強く望まれます。
プレゼン資料及び動画へのリンクは、下記の通りです(ユーチューブおよびニコニコ動画で、全体で50分程度のプレゼン)。
【当日のプレゼン資料(pdfファイル)】
マンデルフレミングモデル(チャンネルAjer20130125).pdf
【ユーチューブ】
・第1部
・第2部
・第3部
・第4部
【ニコニコ動画】
・第1部
・第2部
・第3部
・第4部
なお、今回の議論の本質とは無関係ですが、動画中での「LM曲線が金融緩和によって右側に移動するメカニズム」に関する説明は不正確なものになっています(プレゼン資料自体は動画中のものも含め正しいです)。
正しい説明は「利子率が同じままで、金融緩和によって増加した後の貨幣供給と(取引需要と資産需要からなる)貨幣需要が釣り合うためには、(利子率に連動する資産需要は不変のため)貨幣の取引需要(⇒GDPの増加関数)が増加する必要があり、従って必然的に金融緩和前よりもGDPが増加する」(グラフの動きとしては、LM曲線が右側に移動する)というものです。
一発撮りの制約ゆえとはいえ、お聞き苦しい内容になっていることをお詫びいたします。
※日本経済再生のための財政支出拡大の必要性については、徐々に理解者・支持者が増えているとはいえ、まだまだ主要マスコミでのネガティブな報道等の影響力が強いのが現状です。ツイッター、フェイスブック等のソーシャルメディアを通じて1人でも多くの方にご理解いただくため、下記ボタンのクリックにご協力いただけると幸いです。
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インターネットテレビ「チャンネルAjer」の収録を行いました。
今回のタイトルは「財政政策に対する誤解(マンデル・フレミング・モデル)」というもので、海外部門の要素(輸出入や為替レート)を取り入れたマクロ経済モデルであり、財政支出拡大による経済成長政策の無効性の根拠としてしばしば引用されるマンデル・フレミング・モデル(及びその引用のされ方)について、以下のような観点からその妥当性に疑問を呈し、かつ現在の日本には「財政政策無しの経済成長はあり得ない」ことを、同じくマクロ経済モデルの観点から私なりに論証しています。
即ち、
①財政政策の効果を否定する際に、「マンデル・フレミング・モデルによって『変動為替相場制のもとでは、財政政策の効果は自国通貨価値の上昇(日本でいえば円高)によって完全に打ち消されてしまう』ことが証明されている」という議論がしばしばなされる。
しかし、この元ネタであるロバート・A・マンデル(マンデル・フレミング・モデルの創始者であり、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者)の論文では、「為替レートの期待変化率がゼロで、国内・海外とも利子率が固定されている」(資本の完全移動性)という、現実的にありえない仮定を盛り込んだマクロ経済モデルからこの結論を導き出している(マンデル自身もこの部分についてはあくまでも思考実験的に展開しており、それをそのまま現実の政策に適用されることを想定しているとは到底思えない論述となっています。)。
即ち、上記の議論は元ネタの論文の本来意味するところを見落とした極論(もしくはその受け売り)に過ぎない。
②同じくマンデル・フレミング・モデルに基づき「変動為替相場制のもとでは、財政政策は金融政策ほど有効ではない」(上記で述べた自国通貨高圧力による純輸出減少に加え、利子率上昇による民間投資意欲の減退、すなわちクラウディング・アウトが発生する、というのがその論拠)という、財政政策に対するよりマイルドな批判も存在する。
しかしながら、「クラウディング・アウトを発生させたくなければ、財政拡大と共に金融緩和を実施することが現実の政策運営では可能である」「マンデル・フレミング・モデルでは、現実の経済に見られる『財政拡大がもたらす自国通貨安圧力』(財政拡大⇒需要拡大による物価上昇⇒自国通貨安)が織り込まれていない(実際の経済統計でも、財政拡大をしている国ほど通貨が安い、という傾向が観察できる)」といった2つの観点から、これも正当な議論とは言えない。
③以上のような反論をしてもなお、「今の日本の状況(政府債務がGDPの2倍に達する)では財政の拡大を行うべきではなく、金融政策だけで経済成長を実現すべき」という突込みが入る可能性はある。
しかしながら、今の日本経済は実証的な観点より、「財政拡大無しに金融緩和だけいたずらに繰り返しても、経済成長に結びつかない状況にある」と考えられる。
このことをマンデル・フレミング・モデルの元になっている「IS/LMモデル」に即して言えば、「利子率の変化が民間部門の投資にほとんど影響を与えないことによる『IS曲線の垂直化』」「実質金利がこれ以上下がらないところまで既に低下していることによる『LM曲線のフラット化』」のいずれかが生じていることを原因として、金融緩和だけでは今の日本経済は成長できない構造になっており、実際の経済データもそのことを示唆している、と言い換えることができる(ちなみに私は、実質経済統計よりも名目経済統計を理論構築上も重視する立場、及び「一国の名目経済成長率と政府部門の名目支出伸び率は長期的にほぼイコールである」という大多数の国に当てはまる現実も包括的かつ簡明に説明可能という観点から、前者を原因とするのが妥当と考えています。)。
したがって、問題解決にはやはり財政拡大が必要不可欠である。
という内容です。
経済学界も含め、元になっている理論やモデルの背景を深く理解しないまま表面的な結論だけに基づいて議論を展開したり、適切な理論的立場を選択するに際して実証的な観点を軽視したり、といった態度が、今日に至る議論の混乱を招いています。
そのことが日本国民の現実の生活にもダメージを与える結果になっている訳で、こうした状況を打開するための政治的なリーダーシップの発揮が強く望まれます。
プレゼン資料及び動画へのリンクは、下記の通りです(ユーチューブおよびニコニコ動画で、全体で50分程度のプレゼン)。
【当日のプレゼン資料(pdfファイル)】
マンデルフレミングモデル(チャンネルAjer20130125).pdf
【ユーチューブ】
・第1部
・第2部
・第3部
・第4部
【ニコニコ動画】
・第1部
・第2部
・第3部
・第4部
なお、今回の議論の本質とは無関係ですが、動画中での「LM曲線が金融緩和によって右側に移動するメカニズム」に関する説明は不正確なものになっています(プレゼン資料自体は動画中のものも含め正しいです)。
正しい説明は「利子率が同じままで、金融緩和によって増加した後の貨幣供給と(取引需要と資産需要からなる)貨幣需要が釣り合うためには、(利子率に連動する資産需要は不変のため)貨幣の取引需要(⇒GDPの増加関数)が増加する必要があり、従って必然的に金融緩和前よりもGDPが増加する」(グラフの動きとしては、LM曲線が右側に移動する)というものです。
一発撮りの制約ゆえとはいえ、お聞き苦しい内容になっていることをお詫びいたします。
※日本経済再生のための財政支出拡大の必要性については、徐々に理解者・支持者が増えているとはいえ、まだまだ主要マスコミでのネガティブな報道等の影響力が強いのが現状です。ツイッター、フェイスブック等のソーシャルメディアを通じて1人でも多くの方にご理解いただくため、下記ボタンのクリックにご協力いただけると幸いです。
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