28日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、1万1000円を一時上回った。取引時間中に1万1000円を上回るのは2010年4月30日以来、約2年9カ月ぶり。外国為替市場で円相場が対ドル、対ユーロともに大幅に下落したほか、前週末の米株式市場でダウ工業株30種平均が5年3カ月ぶりの高値をつけるなど外部環境が改善。投資家が積極的に運用リスクを取る姿勢を強めた。自動車、電機など輸出株が買われ、大手銀行株や不動産株にも買いが先行している。
28日の外国為替市場で円相場が一時1ドル=91円台前半と2年7カ月ぶり、対ユーロでは1ユーロ=122円台後半と1年9カ月ぶりの安い水準をつける場面があった。積極的な金融緩和を通じて円高修正を図る安倍晋三政権の方針について、海外からは「円安誘導だ」と批判が出ていたが、前週末に麻生太郎財務相や甘利明経済財政・再生相が反論したことなどで政府・日銀の金融緩和に対する積極的な姿勢が変わらないとの見方が強まった。
政府の当面の経済対策が出そろい、日銀の金融政策決定会合も終わったことで目先の材料出尽くし感から先週は日経平均が下落する場面もあったが、きょうから通常国会が始まる。「2月中旬の日銀総裁の国会同意人事に向けて株式相場は再び先高観が強まりやすい」(大和証券の成瀬順也チーフストラテジスト)との声が聞かれる。今夏の参院選に向けて政策議論が進むとの期待感も支えとなっている。
もっとも、今後も国内外の要人発言に円相場が神経質な展開は続きそう。日経平均が心理的節目の1万1000円を一時上回ったことで利益確定売りも膨らむ公算が大きい。市場では「急激に円安が進行するとエネルギー輸入コストが増加し、国内の製造コストやガソリン価格の上昇を通じて企業業績や景気に悪影響が出てくる可能性もある」(ちばぎん証券の安藤富士男顧問)との指摘も聞かれた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕