三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日午後1時40分、政府の情報収集衛星「レーダー4号機」と実証衛星を載せた主力ロケット「H2A」22号機を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。衛星は予定の軌道に入った。H2Aの打ち上げは16回連続で成功した。
情報収集衛星は1998年の北朝鮮のミサイル発射を機に政府が導入を決めた事実上の偵察衛星。4号機を稼働中のレーダー衛星1基と光学衛星3基と連動し、4基で世界のどの場所も1日1回以上、昼夜や天候を問わず撮影できる。日本の偵察衛星体制が当初計画の10年遅れで完成する。
安倍晋三首相は「安全保障、危機管理に万全を期すため、4基体制を最大限活用し、情報収集を確実に行う」との談話を発表した。
レーダー衛星は夜間や悪天候でも電波で約1メートル大を見分ける。光学衛星は晴れた日中に撮る。今回の光学実証衛星は精度が米商業衛星並みの40センチ程度とされる。2003年に光学とレーダー衛星各2基の偵察体制を築く予定だったが、同年に打ち上げを失敗。07年にはレーダー衛星が故障した。レーダー4号機の開発は243億円を投じた。光学実証衛星は118億円。H2Aの打ち上げ費用は109億円。
H2Aの打ち上げは12年5月以来で、成功率は95.5%になった。国際社会で高い信頼性の目安とされる「20回の打ち上げで95%」を上回る。
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