スイス・ダボスで23日に開幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で出席者の注目を最も集めているのは、日本の甘利明・経済再生担当相だ。金融緩和を通じた円安を目標とする「アベノミクス」が引き起こした「通貨戦争」について、26日に説明を行う予定だからだ。会議に先立ち、甘利経済再生相は「円安とか円高に誘導するつもりはない」と述べたが、信じる人はほとんどいない。
ドイツ商工会議所のチーフエコノミスト、アレクサンダー・シューマン氏は「日本の中央銀行が債券を無制限で買い取ることで、安倍首相に屈服したのは(世界経済の)潜在的な火種になった。今回の会議はそうした日本の姿勢について真剣に論議する場になる」と指摘した。
通貨戦争をめぐっては、ドイツが日本攻撃の先頭に立った。ドイツは第1次世界大戦後、パンを買うのに袋いっぱいの札束が必要なほどのハイパーインフレを経験した悪夢を持っている。日本が供給した資金でインフレが起きることを懸念している。ダボス会議への出席を取りやめたドイツ連邦銀行のバイトマン総裁は21日「日本政府が中央銀行の業務に露骨に干渉する深刻な違反行為が起きている。通貨戦争に発展することになる」と警告を発した。ドイツのメルケル首相の側近であるマイスター議員は「日本経済の真の問題は為替ではなく構造的欠陥だ。日本が為替操作で成果を挙げても短期的な効果にとどまる」と批判した。
日本も黙ってはいない。甘利経済再生相は「ドイツはユーロ圏の固定為替相場によって輸出で最も利益を上げた国であり、(日本を)批判する資格はない」と反論した。
日本に続き、英国も景気浮揚に乗り出すと伝えられ、ダボス会議に出席した世界の政治・経済リーダーは、市場に過度の資金が供給されることに懸念を表明した。世界経済フォーラムは「現在の正常ではない通貨政策は非常に実験的なものだ」と論評した。会議初日の午後に講演を行う国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も日本をはじめとする各国の通貨政策を批判する予定だ。
先進国が相次いで量的緩和に踏み切り、韓国をはじめとする新興国が影響を受けるとの見方も浮上している。英紙フィナンシャル・タイムズは先進国の中央銀行の量的緩和政策で韓国が次に犠牲になる可能性があると報じた。ウォンは過去半年で対ドルで8%上昇した。