5年ほど前の本ですが、これ仕事術系の本では必読な感じですね。すばらしくよくまとまっています。もっと早く読んでおきたかった。
人のせいではなく仕組みのせい
ぼくの人生哲学でもあるのですが、何か問題が起きた場合、それは「人」のせいではなく、「仕組み」のせいにすべきだと考えています。「仕組み仕事術」のなかでも同様の指摘があり、大変共感。
問題が生じたり仕事が効率よくいかないようだったら、それは「仕組み」自体にまだ改善の余地があるということです。チームや会社がうまくいっていないと感じたら、特定の要素や誰か個人のせいにする前に、まず「仕組み」を見直してみることをおすすめします。そうすれば、たいていは原因が見つかるものです。
(中略)みなさんが経営者やマネージャーだったとしても、同じことです。「絶対に失敗しないようにしろ」「ミスをなくせ」と部下を叱責しても、実際には失敗することもありますし、ミスはなくなりません。いくらがんばっても、失敗やトラブルが起きる確率をゼロにすることはできないのです。
(中略)私の会社では、スタッフが仕事でミスやトラブルを起こしても、一回目であれば怒らないことにしています。「今後は気をつけます」というような、あいまいで実体のない謝罪をさせても意味がないと考えるからです。
その代わり、ミスが起きた原因は、すべて自分のつくった「仕組み」にあると考えます。
この思考法は、ほんっとにできるだけ多くの人に身につけてもらいたい、と切に願いますね…。すぐに精神論を振りかざすような人は、得てして「仕組み」の視点が欠如しているものです。自分の無能にそもそも気付いていないか、うすうす分かっていても認めたくないのでしょう。
書中には仕組み仕事術の「黄金ルール」が3つ紹介されています。
「才能に頼らない」:特別な才能のない人、たとえばアルバイトの学生でも、そのとおりにやれば、ある程度の結果を出せること。それが「仕組み」づくりに欠かせないポイントのひとつです。
「意志の力に頼らない」:人間は、基本的に怠け者です。(中略)「仕組み」ができれば、仕事をするたびに強い意志をふりしぼらなくても、当たり前のことを当たり前にやっていれば、自動的に結果がついてくるようになります。
「記憶力に頼らない」:「仕組み」仕事術では、記憶力に頼らずに、PCや手帳などを活用して、「外部記憶の仕組み」をつくることをお勧めします。「記憶より記録」というわけです。人の記憶力は、動頑張ってもコンピュータいは勝てないのです。だったら自分の頭は、「覚えること」に使うよりも、「考えること」に使った方がいいと私は思います。
いいかえれば、この逆、「才能に頼る」「意志の力に頼る」「記憶力に頼る」状態であるならば、仕事が仕組み化できていない証拠ということですね。
職人的な色合いが強い仕事(小説家、画家など)はそれでも問題ありませんが、大規模にビジネスを展開しようとしている場合は、いかに「才能」「意志の力」「記憶力」を無力化できるかが鍵になりそうですね。
古い本なので中古価格も安いです。仕事を振り返るよい機会になると思いますので、未読の方はぜひ手に取ってみてください。こういう著作を通して、盲目的になんでも「人のせい」にする人が減っていけば素敵ですね。