中国・北京(Beijing)で、人民大会堂(Great Hall of the People)前にはためく五星紅旗(2012年11月13日撮影、資料写真)。(c)AFP/Mark RALSTON
【1月25日 AFP】中国で、当局に拘束された夫が受けた扱いに苦情を申し立てた女性が強制労働処分を受けたうえ、刑期後も3年にわたって未使用の遺体置き場に身柄を拘束されていたことが分かった。国営環球時報(Global Times)が25日、報じた。
報道によると、この女性は陳慶霞(Chen Qingxia)さん。苦難の発端は2003年、当時流行したSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)の検疫を逃れようとしたとして、陳さんの夫が「労働による再教育」の刑を科せられたことだった。
刑期を終えて釈放された夫の体はあざだらけで、精神も衰弱していたことから、陳さんは夫が受けた扱いを直接、中央政府高官に訴えようと北京(Beijing)へ赴いた。ところが、その結果、陳さん自身も1年半の「労働による再教育刑」を科せられてしまった。
陳情者を労働再教育施設送りにするのは中国ではよくあることだが、陳さんは刑期が終わった後も、黒竜江(Heilongjiang)省の遺体置き場に3年間、留め置かれていたという。遺体置き場では、複数の清掃作業員が警備に当たっていたという。
環球時報によると、陳さんは現在、車椅子生活を余儀なくされ健康状態も著しく悪化している。陳さんの夫も、統合失調症と診断され病院の精神科に入院しているという。
地元政府は陳さんへの賠償を約束したと同紙は伝えている。
労働による再教育制度は、初代国家主席だった毛沢東(Mao Zedong)が導入したもの。警察当局の判断のみで裁判なしに最高4年まで市民を拘束できる。
だが、政府を批判した人や陳情者を黙らせる目的で用いられているとの批判が高まっており、中国メディアは法務当局高官の話として21日、同制度は年内にも廃止される方針だと報じていた。(c)AFP