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【第35回】 2013年1月28日
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石島照代 [ジャーナリスト]

昔楽しんだゲームの最新作を、親になっても安心して
子どもに与えてもらえる、そんなビジネスがしたい
――岩田 聡・任天堂社長インタビュー

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 一方、ソフトメーカーさんのご要望に関しては柔軟に対応できるように、Wii Uや3DSは作りました。たとえば、バンダイナムコゲームスさんの「TANK! TANK! TANK!」というゲームは、フリーミアムでサービスしています。どんな結果になるか楽しみですね。

――お金の払い方に多様性がないのは、業界の未来を狭めるのではないでしょうか。私が問題にしているのは、「100円で買えるかもしれないと錯覚させて、大人でも子どもでも関係なく、最終的に10万円払わせること」であり、最初から10万円という値札がついているものを大人が納得して買ったのであれば、問題視はしません。

 確かに、デジタルで商品を供給できるようになったこと、あるいは、お客様からのお金のいただき方はいろんな工夫ができるようになったという話と、全体のなかのごく一部の人の射幸心を煽って徹底的にお金をいただくというスタイルの話とはまったく別だと思います。それが必ずしも理解していただけてはいないのは、議論がごっちゃになっているからでしょう。

――もう「何がソーシャルゲームか」なんて解説したところで、世の中にご理解いただくのは難しいと思います。私はちょうど1年前に「なぜ任天堂はソーシャルゲームをやらないのか」というタイトルの原稿を書いていますが、その認識は当時から現在まで変わっていません。

 それはそうだろうと思います。たぶんそれぞれにワンフレーズの名前をつけるべきなんですよ。そうやって説明するくらいのことをやっていかないと、広くご理解いただくのはなかなか難しいかもしれません。

「なぜ任天堂はソーシャルゲームをやらないのか」
で、よかった?

――「なぜ任天堂はソーシャルゲームをやらないのか」は、上下編合計で70万PVを記録しました。たくさんの方にお読みいただいたことに感謝するのと同時に、「任天堂はこれでよかったのかなあ」とも思っていました。

 この連載は、取り上げるテーマが独特なので、いつも読んでいます。ゲームコンテンツを扱っていても、他の記事と切り口がちょっと違うんですよね。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 


コンテンツ業界キャッチアップ

ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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