独立のメリットにイマジネーションを膨らませる
――独立については、果たしてやっていけるのだろうかという不安やデメリットを先に考えてしまいがちですが。
松島 琉球の経済界では中小、零細企業が多く、いまは公共事業でも受注する企業の5~6割は日本の企業で、琉球の企業は下請けに回っていて、自分たちの島の事業を受注できないという不満を持っています。
観光業でも大手のリゾート会社などが資本の力で支配しているため、琉球の会社は苦境に立たされている。しかし、独立したら民族産業、地場産業を守り育てることができる。
独立したときのデメリットを考えるのではなく、「もし日本に属していなければ自分たちはどういう発展の仕方があるのか」というイマジネーションが必要です。パラオでは2万人でも独立してパラオの企業、雇用は守られています。
ほかのさまざまな事例を見れば分かりますが、(独立していないことで)なんと自分たちは損しているのか、独立すればもっと得られたはずの利益をいまは失っていることが、合理的に考えてみれば分かります。
世界各地で独立への動きが盛んに
――昨今の世界各地での独立の動きはこれからどうなるでしょうか。
松島 いま世界的に独立が盛んです。2014年にはスペインのカタルーニャやスコットランドで独立を問う住民投票が行われます。ヨーロッパでは、民主主義の母国(イギリス)でも独立問題は現代的な課題になって行動にも移されているのです。
住民投票の後は、憲法を作って国内の体制を固めていく。そのうち国家として世界中の国から承認してもらう。国連総会で認められた後、安保理で正式に認められる。まずは地域の中の意思の確認をすることです。スコットランドではスコットランド国民党が政権を取っている。カタルーニャでも自治州議会の過半数は独立派が占めています。つまり、独立はいまや夢物語ではなく具体的な選択肢の1つになっています。
今後、太平洋の島々でもニューカレドニア、仏領ポリネシアやグアムなどでも独立を問う動きが出てきます。国連が認めている世界中にある非自治地域という、いわば独立してしかるべき植民地が現在16あります。
グアムはこの1つです。世界中には琉球のように、リストに載ってはいないが植民地状態にあるところがあります。琉球はまずこの非自治地域リストに登録されることが必要です。
――1994年に独立したパラオは、その後うまくいっているのでしょうか。
松島 パラオはミクロ的に見てうまくいっていると思います。しかし、マクロ的に見ればアメリカに大きく依存しているし、日本、台湾、その他の国々からの政府開発援助(ODA)に頼っているところがあります。
しかし、見方を変えれば、外交権があるわけですから立場を利用して外国からの支援を主体的に引き出すことができているとも言えます。琉球も外交権を使って同様のことができるでしょう。
また、パラオにも米軍基地はありますが、オープンで、のどかで、基地とも言えない基地です。それも独立しているからこそ本格的な基地は造らせないという政治力の表れです。
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