グローバル化の中でどう生き残るか
――独立に関連した経済、交易についてお尋ねします。今日グローバル経済の中に入っていかないと取り残されていく危険性があり、一方で浸食される恐れもあります。島にとってどういう政策が考えられますか。
松島 島嶼地域ではグローバル経済というのは、マイナスの形で働いています。地場企業は競争の仕組みの中で衰退に追い込まれています。琉球が40年前に日本に復帰したとき、いわばグローバル化となり、関税で守られていた琉球の企業は、日本の企業に席巻され、特に地元のみそ、醤油などの製造業が衰退しました。
琉球の経済政策は、東京に拠点を置く昔の沖縄開発庁に、いまは内閣府の沖縄担当部局に決められています。グローバル化に島社会も乗らないといけないと言われ、特別自由貿易地域、IT特区、金融特区などが設けられました。しかしほとんど失敗しています。
さらにグローバル化と口では言いながら中身は中央集権体制で、官僚が特権を握っています。税金は安い、規制は緩和されているといっても、本当の意味の緩和ではないので企業は投資しない中途半端な政策で、琉球にアメ玉をしゃぶらせて不満を和らげるためのものとして定期的に出てくるものです。
2012年の秋から始まった一括交付金という仕組みも自由に使えそうで、最終的には官僚が決定権を持っています。基地を受け入れなければ恩恵がなく、いろいろな恩恵は基地を押しつけるための方法になっています。
――望ましいグローバル化とはどんなものでしょう。
松島 琉球は島社会で、人が住んでいる島は大小40くらいありますが、島によって同じ経済政策は取れません。都市型の経済が必要な島もあれば自給自足的な島もあります。西表島のようにジャングルがあるところや与那国のように台湾に近いところなどそれぞれ特性があります。同じような経済政策を当てはめようとするのがおかしい。不適切な開発によって赤土による珊瑚の破壊などの問題を引き起こしてしまう。
琉球の島々の間での連携、アジア、太平洋の島々との連携が必要です。例えばパラオとの関係を考えると、人々は大きなマンゴーを日本へ輸出したいと考えていましたが害虫がいて日本には出せない。しかし琉球には害虫を駆除する技術がある。これをパラオに伝えれば連携の道が開かれる。
また、与那国島は台湾と110キロ位の距離にありますが、大きな障壁があって行き来ができません。もしもそれがなくなれば交流が深まります。
パラオの外国投資法などから学ぶ
――与那国島は台湾との交流、公益を目的とした“特区”の構想がありましたが、認められなかったですね。
松島 そうです。港の広さや貨物取扱量など全国一律の基準を与那国島にあてはめてみて、税関、検疫所などは置けないということでした。日本政府の中国、テロリズム脅威論があって、閉めてしまえという考えもあったと思います。
その一方で政府は法務局や気象台の測候所などを閉鎖して、どんどん人が住みにくい島にしている。自衛隊しか住めないという防人の島にするというメッセージが感じられます。島嶼防衛の対象となっている宮古、八重山も基地としての位置づけが強まれば人々は出ていき、島の文化、歴史が継承されない。琉球人にとって最悪のパターンを政府が進めている。
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