朝鮮学校:無償化「適用しない」 文科省発表
毎日新聞 2012年12月28日 11時29分(最終更新 12月29日 10時21分)
文部科学省は28日、高校授業料無償化の朝鮮学校への適用を巡り「適用しない」と発表した。今後、意見を公募し、約1カ月後に「(朝鮮学校を)文科相が日本の高校に相当すると指定する」とした省令を改正する。下村博文文科相が閣議後の記者会見で明らかにした。
適用しない理由について、下村文科相は▽北朝鮮による拉致問題の進展がない▽朝鮮学校は教育内容、人事、財政で朝鮮総連と密接な関連がある−−と指摘。「適用は国民の理解が得られない。政府全体の判断だ」と述べた。同日朝の閣僚懇談会で報告し、安倍晋三首相から「その方向でしっかり進めていただきたい」と指示を受けたという。
省令改正後、朝鮮学校の無償化に必要な約2億円を来年度予算要求から減額する。
ただし、今後北朝鮮との国交回復や朝鮮学校が都道府県知事の認可を得て日本の高校と同じ扱いになれば、適用の対象とするとした。
全国には朝鮮学校が10校(生徒数約1800人)ある。朝鮮学校の生徒らが早期の無償化適用を求め、再三にわたり文科省に申し入れていた。今後、朝鮮学校側が訴訟を起こすことなどが考えられるが、下村文科相は「法令にのっとって適切に対応したい」とした。
高校無償化は10年4月に始まった。公立高校の授業料を無料にし、私立高校生には世帯所得に応じて最高で年23万7600円が補助されているが、10年11月に北朝鮮による韓国砲撃で一時審査が中断されるなど民主党政権下で適用の判断が先送りされていた。
現在、無償化の対象となっている韓国系の外国人学校は関西に1校あるが、省令改正後も、対象のままとする経過措置がとられる。【石丸整】