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投稿者: 転屍    [2013年 01月 28日 (月) 00時 57分] ---- ----
▼一言
 こんにちは。批評依頼を受けて参りました、転屍と申します。
 申し訳ありませんが、以後、言葉遣いがざっくばらんになります。長丁場で丁寧語を続けるのに労力をとられるより、批評の方に力をそそぎたいので。

 では、前置きは早々に切り上げて、早速批評といきましょう。


▼第一印象(あらすじ及び作品冒頭の印象、一見した文章力について)

・あらすじが用をなしてない。どうでもいいことを書くな。
・『注意事項』なんてものは邪魔。本文に書くな。
・『エピローグ@プロローグ』と『第一の話』って、内容同じのただの書き直し。
・主人公のキャラが立っていない。ヒロインに至っては無味無臭。コレ、本当に「生きてる人物」なのか?

・日本語として当たり前の、「行頭の空白」がない。まったくないのではなく、あったりなかったりしている。読みづらいったらない。
・句読点の使い方がおかしい。そのせいでの意味不明な文章が目立つ。
・描写が薄い。ほぼ皆無に近い。「そこに何があるのか」「今、作品中で何が起こっているのか」がまるで伝わってこない。


▼全体の印象(ストーリー、キャラクターといった作品内容について)

・端的に表すなら、「いきあたりばったりな作品」。
・読み終わってみれば、ストーリーはぐねぐねと曲がりくねった道で遠回りをし、そうかと思えばいきなりショートカットして意味が分からず、しかも道には邪魔になるハードル・障害物が置かれている、という有り様。はっきり言って「面白くない」。
・キャラクター造詣を見るに、言葉や行動に一貫性がなく、その場その場の場当たり的なことしかしていないという印象。先にも述べたように、とても「生きてる人物」とは思えない。出来の悪い機械があらかじめ定められたことだけをしているとか、オウムや九官鳥が役者をしている演劇みたい。
・とにもかくにも文章が荒い。ものすごく雑。「小説という表現媒体の特色・特性」を理解していない。


 大体のところは以上です。
 では、これから個別に述べていきます。


▼タイトルについて

 タイトル――無題物語

 見事にインパクトも何もないタイトルです。
 まあ、有名どころで『題名のない音楽会』とか『名前のない怪物』とか、「名前がないことに意味がある」というタイトルはままあります。
 が、「無題」はダメですよ、「無題」は。
 作者の方から見れば「名前がないことに意味がある」という、あえて選んだタイトルなのかもしれないが、コレを見る読者はエスパーじゃないんだから、そんな思惑が「無題」からは伝わったりしません。単に作者が手を抜いて題名をつけていない、と判断されても文句は言えない。

 タイトルとは、読者がまず目にするであろう作品の看板です。
 例えば、複数の商店が競合する市場で、あなたが店を出したとするでしょう。とりあえず売り物は何でもいいので本屋とします。市場には他に果物屋や洋服屋、画廊や花屋といった多種多様な店が軒を連ね、本屋もあなたの店以外に何件もあります。そんな場所で、店の看板が出ておらず、何の店かわからない建物がある。そんな建物に、あなたは足を踏み入れますか? あなたの営む本屋は、実は市場で最も品揃えの充実した本屋なのかも知れない。でも、看板は出ていない。本を探して市場を訪れたお客も、他の品物目当てで市場を訪れ、ついでに本屋をひやかそうかとしているお客も、看板が出ていない店ところなんて、素通りします。だって、誰もそこに本屋があるなんて知らないんですから。

「小説家になろう」の検索を利用すると、「無題」を含む作品は235件ヒットします。そこからさらに、「総合評価の高い順」でソートしてみましょう。この「無題」というタイトルがどれだけ他人の興味を引かないか、ありありと分かるはずです。

「名前がないことに意味がある」というのは別にかまわない。
 でも、だからこそ、それが読者に伝わるように個性的なタイトルをつけましょう。『題名のない音楽会』や『名前のない怪物』のように。
「名前がないことに意味がある」ということと、タイトルを手抜きにするのは全く別のことです。


▼あらすじについて

 ……って、書こうと思ったら、二章開始に合わせて内容変わってるし。


>二章 神父と聖母の魔剣伝説 更新中

 コレ自体が既に読者にとって意味不明のハードル。
 ――あん? これって第二話とか第二部なのか? ひょっとして他所のサイトかどっかで掲載した奴の続き物? 前の話は知らんし、読んでもチンプンカンプンだろうからスルーだな――
 なんてふうな、一見さんの心の声が聞こえてくるかのような紹介のしかたです。
 こんな書き方では、第二章だけを掲載しているみたいです。
 この場に第一章があるなんて、外からはわからない。ダイレクトに目次のページを開けばわかるかも知れませんが、普通はまず、目次が表示されていない、あらすじだけの状態で目にする文章なのだとわかってますか?


>平均一話千文字ぐらいとなっております。
>推敲が甘いので読みにくいかもしれません、改善点などは感想に送ってもらえると嬉しいです。
>    ある者は好奇心を、またある者は正義感を、そしてある者は探究心を持って異世界の扉を開く。そこで彼らは何を手にし、何を失うのか。願いをかけた欲望渦巻かない系ファンタジーバトル(ラブコメ成分もあるといえばある)ストーリー!

 ――なんで作品の内容より先に、「作者の言い訳」とか「おねだり」とか目にせにゃならんの? アイドルのおっかけじゃあるまいし、作者になんぞ興味ないっての。知り合いでもない赤の他人の「ワガママ」なんてどうでもいいよ。つうか、こんな不躾な奴の話を読む義理なんてないし、別のにするか――
 なんてふうな、一見さんの心の声が聞こえてくるかのような紹介のしかたです。
 注意事項を述べるのは、まあ百歩譲っていいとしましょう。が、せめて、作品の内容を伝えてから作者のメッセージを述べましょうよ。どんな作品なのか知ろうとあらすじを読んだら、何の関係もない作者の日記が書いてあった。そんな感じ。

「推敲が甘いので読みにくいかもしれません」なんて言われても、「じゃあちゃんと推敲してあるだろう他の人の作品を読むか」となるだけです。謙遜か予防線かわかりませんが、コレは単なる「作者の自己満足」であって、「読者のためにある注意書き」ではない。読者のためを考えてる人なら、こんなことを書くよりも、徹底的な推敲の努力をします。


>    ある者は好奇心を、またある者は正義感を、そしてある者は探究心を持って異世界の扉を開く。そこで彼らは何を手にし、何を失うのか。願いをかけた欲望渦巻かない系ファンタジーバトル(ラブコメ成分もあるといえばある)ストーリー!

 コレのどこをどう解釈すれば、具体的な作品の内容を察することができるんですか?
 コレ、作品の内容を何も伝えてないですよね?

 タイトルについての際にも言いましたが、読者はエスパーじゃないんです。
 中身のわからないタイトル。中身のわからないあらすじ。
 こんな二重苦では、誰の目にも止まりはしません。「読んでもらうための当たり前の努力」を放棄しているとしか思えない。

 二章になって変わる前も、あなたの書いたあらすじは似たり寄ったりなものでした。


▼『注意事項 この作品においての注意!』について

 これを読んだとき、私はこの作品がギャグやコメディーを主目的にした作品なのだと思った。
 でも違った。
 これじゃあ単なる蛇足、意味のない言葉の羅列でしかない。
 ギャグやコメディーなら、こういったお茶目は許せる。
 ガチガチのシリアスな話にだって一服の清涼剤に笑いをとるのはむしろ有用的な手法だが、それを作品開始前に置く意味はない。

 あなた自身、振り返って見て、今、コレが、「作品に必要だ」と本当に思えますか?


▼『前提 エピローグ@プロローグ』について

 ここで唐突ですが、私のハンドルネームの『転屍』、コレの由来をお話しましょう。
 ミステリ小説のノウハウに、こんな金言があります。

「まずは冒頭で死体を転がせ」

 とりあえず他はどうでもいいから、ズバッと本題から入れ。まずインパクトを与えて読者の興味を引け。……という趣旨の言葉です。

 ミステリの死体に限った話ではなく、ラブコメなら「街角でパンをくわえた転校生といきなりぶつかる」とか「空から女の子から降ってくる」とかいうのは、「本題の提示」と「読者の関心を引く」ことを目的とした黄金パターンの一つのわけです(さすがに、もう手垢がつきすぎて、今これらを何のひねりもなくこのまま使ったら、逆に読者に呆れられるでしょうが)。
 手段はともかく、「作品冒頭の目的」はどんなジャンルのものであろうと一緒です。
 まずは読んでもらうために、何がなんでも読者の興味を引け。
 後からどんなに面白くなろうが、作品冒頭で読者が読むのを止めるような書き方をしたら、何も伝わりはしない。

 で、あなたのこの冒頭です。
 コレ、詩か何かですか? 私は小説を読みたいんであって、詩はお呼びじゃないんですが。もうブラウザ閉じてもいいですか?

 商業作品にも、作品冒頭で主人公のモノローグ的な文章を並べ、まずは雰囲気に浸ってもうらおう、と意図したものは存在します。
 が、それって、そもそも前提が違うんですよ。商業作品というのは、あなたの作品とはスタート地点が違うんです。
 商業作品とは、まず「商業作品である」というだけで、ある程度の信頼を読者に与えている。「この作者さんの他の作品は面白かったから、これも冒頭が多少難解でも、読み進めていけば面白くなるだろう」「この作者さんの作品は読んだことないし、面白いかどうかわからないが、仮にも新人賞を獲得するとか編集がOKを出してお金をとれると判断したものなんだから、まるっきり箸にも棒にもかからないなんてことはないだろう」などといった、信頼と期待、作者や出版社といったバックボーンの持つ安心感がある。
 でも、あなたの作品はそうじゃない。無名の作者の、面白いかどうか何の保証もない、読むだけ時間の無駄である可能性を持つ作品。それを読者は考慮しなければならない前提に立っている。
 これは別に、あなたの作品に限った話じゃありません。およそweb上にUPされている、すべてのアマチュア作品に言えることです。
 でもだからこそ、「他にいくらでも冒頭が面白くて後々の期待が持てる作品が無数にあるのに、冒頭が面白くない作品を、あえて読む理由なんて何処にもない」んですよ。
 無論、たとえ商業作品であっても本当のところはピンからキリまで色々あるから、まさしく箸にも棒にもかからない作品なんてものも厳然としてあります。でも、読むにあたっての心理的ハードルは、アマチュア作品よりも格段に低い。そういった意味で、スタート地点は違うんです。

 それから、表現媒体の違い。
 例えば漫画であれば、冒頭の段階ではまだ意味不明な主人公のモノローグ的な文章であろうと、同時に目に飛び込んでくる「絵」でのフォローができる。文章に何の関心も引かれなくても、絵で興味を持ってもらえればいい。
 例えばTVアニメであれば、「絵」だけではなく、30分という放送枠がある。まず視聴者は「30分これを見よう」と最初から考えてテレビの前に座る(何の気なしにチャンネルを回して、たまたま目にした場合は例として意味がないので除外)。仮に最初の5分がどうしようもなくつまらなかったとしても、まずは30分という時間を視聴者は見続ける。無論、その5分で見るのを止める人も皆無ではないが、見る前に「30分時間を割いても問題ない状況」を作ってからテレビの前に座るのだから、「とりあえず30分くらい、結果的に無駄な時間を過ごしても、まあいいだろう」と見続ける方が多いだろう。そこで席を立っても、残り25分の予定が浮いて、あるいは暇をもてあますだけかもしれないのだから。――これがあるから、冒頭5分を捨てても、残りの25分の間に挽回して面白いと思ってもらえればいい、といういささか乱暴な手法もとり得る。
 しかし、小説は「文章がすべて」だ。それこそが他にはない強みであると同時に、弱みでもある。

 冒頭が台無しな小説は、そもそも読んでもらえない。
 あなたの作品は、まさしくこれに当てはまります。


▼『第一の話 夢見る少年』について

 ……ふう。タイトル、あらすじ、注意書き、プロローグ、と4つのハードルを越えて、ようやく本編が始まったぜ……

 というが正直なところです。
 
 ――と、当初は書こうかと思っていたら、更に高い高いハードルがそびえ立っていた。そんな感じ。

 第一印象の時にも述べましたが、この内容、ただプロローグを焼きなおししただけの、同じ内容じゃないですか。
 ただでさえここまでに何の期待も抱けない内容だったのに、更にもう一度それを再確認させられた気分です。
「まずは冒頭で死体を転がせ」――とりあえず他はどうでもいいから、ズバッと本題から入れ。
『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品はご存知ですか? これのTVアニメの『エンドレスエイト』がどういうものであったか、ご存知ですか?

 強調も、度が過ぎればうっとうしいだけです。
「※大事なことなので二回言いました」なんてのは、ショートコメントやギャグだから許されるのです。

 プロローグと第一話のどちらかは、丸々カットしていい。


▼『第二の話 彼女の正体と招待の理由 前編』以降について

 5つのハードルを乗り越えて、ようやく本格的に作品の内容そのものに踏み込めます。
 ここまでのダメ出しは、初心者さんの誰に対してでも言えることです。似たような間違いを犯している作品はいくらでもありますから、ここまでをコピー&ペーストして他の初心者さんの感想欄に持っていっても、細部はともかく多分そのまま通用してしまうような内容です。
 それだけ、誰もが最初はやっちゃう、ありがちな失敗です。
 でもだからこそ、二度は繰り返してはいけない失敗でもあります。


 おっと第二話の中身に入る前に、まずは、『エピローグ@プロローグ』と『第一の話 夢見る少年』にさかのぼって、コレだけは指摘しておかねばなりません。

 日本語として当たり前の、「行頭の空白」をあけなさい。

 既に私よりも以前に、秋谷水人さんがこう指摘していますね。

>まず文章の初めに一段落空けてある場所とそうでない箇所がバラバラにあったので、そこを統一すれば全体的にすっきりすると思います。

 で、ありながら、あなたの返信はこうです。

>三話からは気をつけて書きます。
>二話も修正します、頑張ります!

 なんで、プロローグと一話を放置してるの? 二話以降も、これで本当に修正したり気をつけたりしてるのか? という有り様。やってないところは徹底して潰しなさい。

 他にも文章の不備はありますが、『エピローグ@プロローグ』と『第一の話 夢見る少年』はもう読みたくありません。


 では改めて、順番に見ていきましょう。

▼▼
1.> 彼女は名乗った。
2.>「私の名前はリン、です、あなたを異世界に呼び出すためにこの世界に来ました」
3.> その声はとても硬い、という印象だったがその印象は次の瞬間に破られる。
4.>「とまあ、テンプレな説明はここまでで、向こうの世界に行きたいかどうか聞くだけなんですよね」
5.> 一息おいて、リンは僕に訊いた。

 2行目:「です」の後は読点(、)ではなく句点(。)です。

>>「私の名前はリン、です【。】あなたを異世界に呼び出すためにこの世界に来ました」

 あなたはこの手の、「句点を置くべきところに読点を置いている」という日本語の間違いが非常に多い。多分、悪いクセになっているのでしょう。早急に矯正してください。
 さらに、リンの立場からなら、ここは「呼び出すため」ではなく「招くため」です。
 ちょっと難しいニュアンスなんですが――例えば、異世界にいるリンから電話をかけて、世界をまたいで主人公に「ちょっと『こっちまで』来てください」と言うのであれば、それは「呼び出す」です。でも実際はリンは主人公の目の前にやって来ていて、「ちょっと『あっちまで』一緒に来てください」と言う。この場合はもう「呼び出す」という状況ではありません。
 ささいな違い、重箱の隅、と思われるかも知れませんが、こういう「小骨が喉に引っかかったような違和感」も、積もりつもれば作品の評価に影響します。
 一朝一夕に身につくものではありませんが、もっと語彙を増やすように鍛えましょう。


 3行目:>その声はとても硬い、という印象だったがその印象は次の瞬間に破られる。

 今度は句読点の取り違えではなく、「置くべきところに読点を置いていない」ケース。

>>その声は【、】とても硬い、という印象だったが【、】その印象は次の瞬間に破られる。

 私なら、この2箇所に置きます。もしくは――

>>【その声はとても硬いという印象だったが、】~~

 という風に、前半には読点を一切置きません。つまり「置かなくてもいいところに読点を置いてしまっている」ケース。

 読点の置き方は、ある程度は「作者の個性」の範疇ですが、それでも「置いてあるのが当たり前」「ここに置かなければ文章の意味が狂う」という箇所が厳として存在します。「『正解』は人それぞれ」ではあるけれど、「『間違い』は万人にとって共通」というのが読点の置き方です。
 3行目前半の文章の読点は「正解は人それぞれ」としてもいいけれど、「~だったが」という逆説の接続の後というのは、「読点を置くべきところ」です。

▼▼
1.> その声はとても硬い、という印象だったがその印象は次の瞬間に破られる。
2.>「とまあ、テンプレな説明はここまでで、向こうの世界に行きたいかどうか聞くだけなんですよね」
3.> 一息おいて、リンは僕に訊いた。
4.>「あなたの肉親もいない向こうに行きますか?」
5.>「行きます」

 前回と被っている箇所ですが、改めて1行目:「~という印象だったがその印象は次の瞬間に破られる」とありますが、印象は破られてどうなったの?
 2行目の台詞を主人公がどのように感じたか、何も述べられていないよ。印象が破られた、と言っておきながら、新しい印象が何処にもない。

>>硬く荘厳な声音がいきなり砕けて、どこにでもいるような女の子の口調になった。
>>硬く、威圧するかのような声は、急に張りをなくし、心底どうでもいい、とでも言いたげな投げやりな口調になった。

 こういった文章がなく、3行目からはもう別の展開になっている。これでは読者は置いてけぼりです。「溜め」を示しておいてそれを回収しないなら、いっそ1行目がない方がいいくらいですよ。

 第一印象の際にも述べましたが、あなたは描写が薄い。ほぼ皆無に近い。「そこに何があるのか」「今、作品中で何が起こっているのか」がまるで伝わってこない。そういった箇所があまりにも多すぎます。

 例えば、ここに至るまで、「主人公の年齢を明示する説明も描写も一切ない」ことに気付いていますか?
 手がかりが出てくるのは、更に後の話である第六の話での「そっちの中学生って給食ありますよね?」という台詞まで待たねばなりません。
 十話あって、半分を過ぎてようやくです。それまで主人公は年齢不詳。第一話で辛うじて「学校に通っている年齢」であることがわかるけれど、中学生なのか高校生なのかわからない。まさかないとは思うけど、小学生という可能性も否定できない。そんな状況が話の半分を過ぎるまで続くわけです。(この後「小学生の頃の僕ならば騒ぎ立てていただろう」という独白があり、小学生ではないことは二話でもって否定されるわけですが、それでも中学生なのか高校生なのかわからない状況は続く)
 ちなみに、私はなんとなく高校生だと思って読み進めていました。で、中学生という言葉に思わず「はぁ!?」と声をあげてしまいました。

 主人公はまだマシ。豊富とは言えないが、それでも地の文で本人の人となりを想像する余地があるし、現代日本に生きている学生というところから、ある程度の想像の範囲を絞っておける。

 でも、異世界人でもあるヒロインの情報は「真っ白な髪をしっぽみたいに垂らしている、黒いロングコートを着ている女の人」、「金色の瞳」、たったのこれだけ。
 外見年齢は? 身長は主人公と比べて高いのか低いのか? 例えば主人公はヒロインに初めて会った時に、どんな印象を持ったか? この世のものとは思えないほどの美少女? 顔のつくりは平凡だが明るく元気そう? 暗く陰鬱で根性が曲がってそう? そういった情報が何もない。もう無味無臭としか言いようがない。

 いきなり飛びますが、話のついでに述べておきましょう。

> 小高い丘の上に登り、言われた方を見るとそれはとてつもなく大きい青い葉をつけた木を囲むように作られた、色鮮やかな屋根と華やかな街並みを持つ巨大都市だった。

 第三話の最後の文章です。

 まずは読点の置き方。

>とてつもなく大きい青い葉をつけた木

 これは三つの解釈ができる文章です。

1.「とてつもなく大きい青い葉」をつけているが、樹の本体の方は普通のサイズ。 >>とてつもなく大きい青い葉をつけた、木
2.「とてつもなく大きい木」には、普通のサイズの青い葉がついている。 >>とてつもなく大きい、青い葉をつけた木
3.「とてつもなく大きい青い葉」と、「とてつもなく大きい木」を兼ね備えた樹木。 >>とてつもなく大きい青い葉をつけた、【信じがたいような巨木】

 このうちどれを想像したらいいのか、読者にはわかりません。

 そして、この文章、「具体性がまったくない」ということが、あなたには気付けますか? 

 例えば上記の1の例の場合である「とてつもなく大きい青い葉」であったなら、普通の手のひらサイズの葉っぱに比べたら、例えば座布団サイズも「とてつもなく大きい」に該当しますし、さらに大きく六畳の部屋に匹敵するサイズも「とてつもなく大きい」に該当します。
 また、2の例の場合である「とてつもなく大きい木」だとして、普通のサイズの木に比べれば、東京タワーや高層ビルのサイズの木も「とてつもなく大きい木」ですし、雲を突き抜けて宇宙までも届きそうな、頂上が見えないほどの木だって「とてつもなく大きい木」です。
 これを踏まえて、最後の「巨大都市」という言葉から、どんなものが想像できますか? あなたの脳内にはそれなりのビジュアルイメージがあったのかも知れませんが、読者にそれは伝わりません。
 単に「大きい」と書けばそれで説明が足りた、なんてことは思わないでください。そこには「具体性がまったくない」んです。


 結局書かれなかった「破れた後の新しい印象」しかり、主人公の年齢やヒロインしかり、具体性がまったくない「大きい」という言葉しかり。
 他にもあなたの文章には、「作者の方は伝えたと思い込んでいるけど、実は読者には何も伝わっていない」というものが多すぎです。


 一つひとつの文章のどこがダメだ、とあげていったら、はっきり言ってキリがないのでここで止めます。本格的にやったら、多分、全部の文章を書き直すくらいのことをしなければなりません。
 こればっかりは、あなた自身が確かな文章力を身につけなければどうしようもありません。

 現状、あなたの文章はあらすじに書かれた「推敲が甘いので読みにくいかもしれません」などというレベルでは片付けられないことを自覚してください。
 その上で、覚悟をもって自身を高めてください。


▼そろそろ最後にしましょう

 さすがに長くなってきましたので、ここらで最後の話題に入りましょう。

 ストーリーとキャラクターについて、です。この二つは密接に絡まりあっているものですから、まとめて述べます。

 さて、もうそろそろ、最初に書いたことを忘れているでしょうから、抜粋して再度述べましょうか。

・主人公のキャラが立っていない。ヒロインに至っては無味無臭。コレ、本当に「生きてる人物」なのか?
・端的に表すなら、「いきあたりばったりな作品」。
・読み終わってみれば、ストーリーはぐねぐねと曲がりくねった道で遠回りをし、そうかと思えばいきなりショートカットして意味が分からず、しかも道には邪魔になるハードル・障害物が置かれている、という有り様。はっきり言って「面白くない」。
・キャラクター造詣を見るに、言葉や行動に一貫性がなく、その場その場の、場当たり的なことしかしていないという印象。先にも述べたように、とても「生きてる人物」とは思えない。出来の悪い機械があらかじめ定められたことだけをしているとか、オウムや九官鳥が役者をしている演劇みたい。


▼▼
 ではまず主人公。
 作品冒頭の主人公は、今の自身が住む周囲と世界を否定し、無気力で自分から行動しない受け身で根暗な、どうしようもない人物として登場します。
 とてもじゃないがヒーローにふさわしい人物とは思えませんが、それ自体はまあいいです。世の中の他の作品にも、無気力系・厭世屋の主人公なんていくらでもいます。それ以外の部分で魅力を出せば済むことです。短所に勝る長所があれば、短所もまた人間らしさのスパイスです。

 それもこれも、きちんと長所を読者に伝えられれば、という話ですが。

 ……で、それは何処にありますか?

 ひとまず主人公のことは置いておきまして、次にヒロインです。
 これまで何度も繰り返しましたが、まるっきり無味無臭という印象です。
 主人公の方は、一人称の地の文で語る、という仕様があるからまだマシですが、ヒロインは描写がほとんどないことも手伝って、いったいどんな人物なのか全くわからない。
 台詞はほぼ全部、主人公に対する事情と状況の説明だけ。「彼女自身の言葉」は何もない。辛うじてあるものも、それ以外の説明台詞に埋もれてほとんど印象に残らない。

 そんな、「自分から行動しない受け身」な主人公と、「事情と状況の説明だけ」しかしないヒロインの二人が、淡々とルーチンワークのごとき作業を機械のようにこなす。そんな状況が第四話まで続きます。

 で、衝撃の第五話。
 ヒロインがいきなりキレます。
 まるで躁鬱の患者が、今までローテンションだったところから、いきなりハイテンションMAXになるがごとく。
 何の前触れもなく、唐突に。

 ここで主人公が一歩引いて「うわー、何こいつ……」という反応を示せば、また違った展開もあったのかも知れませんが、ここで主人公、いきなりヒーローに覚醒。
 突然キレてわけのわからないことを言い出したヒロインを、主人公がどういう心境なのか読者には全くわからないままに、慰め出します。
 そこで更に、「世界をぶっ壊す」という否定的でネガティブなことを言っていたところから、唐突に、言葉は「世界をぶっ壊す」という同じものを使っていても、肯定的でポジティブな内容にシフトチェンジし出します。

 ……え? 何が起こったの? ヤバいクスリでもキメたの?

 そんな、読者おいてけぼりな展開のまま、六話と七話前半はなんでもない日常パート。冒頭から四話までがいったいなんだったのか、という具合で軽快なトークを繰り広げます。
 もう既に、冒頭で示されたキャラクターの面影はありません。

 八話からは戦闘パート。平凡な中学生だった主人公が、何の躊躇もなく命のやりとりを開始します。
 基本的には殴る蹴るだけの平凡な戦闘で、これといった特色はない。『コネクト』という設定はあるけど、別にコレ、ストーリー自体には何の関係もないよね? 今まで散々もったいぶってきたけど……。まあ、今後に期待……できればいいかなぁ……

 そして、二度目の衝撃を与える第九話。
 いきなりヒロインに視点変更。しかも、

>――ここから先はリン視点になります――

 というデウス・エクス・マキナ。

 なんか謎の存在が語りかけてきて、これから戦闘が盛り上がるぜ! と期待してもよい展開から、いきなりヒロイン視点に変更されたことで、それまで読者として主人公に多少なりとも共感していた気持ちが一気に行き場を無くす。
 視点変更っていうのはつまり、気持ちをリセットする、ということと同義だよ?
 作者は今まで主人公を描いてきたのと同じテンションでヒロインに移行できるかもしれないけど、読者はそうじゃないから。

 しかも主人公がハイパーモードになった途端、あっさり戦闘終了。
 リセットされた気持ちを、そこから再び盛り上げる展開が待っているわけでもなく、まるで手抜きのようにストーリーはまとめに入る。

 そして最終第十話。
 唐突にヒロインをいじめに来る下種キャラ登場。いい加減に私も「突然・唐突」という言葉を言い飽きたけど、ここでも使わざるを得ない。
 ここでもヒロイン、キレる。
 ここでヒロインに共感できたなら、いいシーンになったのだろうけど、九話の視点変更で読者の気持ちはリセットされたまま、何も共感の材料もない状態。うん、これでどうしろって?

 そんな微妙な状態で、主人公再登場。下種キャラをぶっ飛ばす。
 ……あー、確かにぶっ飛ばされてもしょうがないキャラだけど、唐突に出てきた新キャラだってせいで、別に倒されたところで大して爽快にもならないよ。むしろ過剰防衛する主人公とヒロインを見るに、子供同士の喧嘩かという有り様。
 ところで、ヒロインがいきなり魔法で人型作ってるけど、今までそんな能力があるなんて、おくびにも出してなかったよね。ご都合すぎじゃね?

 ――あ、終わった。お互いどこに惚れる要素があったのか分からないまま、キスシーンで締めて終了。

 うん、何処にも面白いと思えるところはないよね、この作品。
 ああそういえば、ヒロインが麒麟って設定、結局何の意味もなかったなぁ。


▼▼
 私が「いきあたりばったりな作品」と述べた理由、わかりましたか?

 全てが準備不足で何の伏線もないまま、突然に、唐突に、降って湧いたような展開の繰り返し。
 描写が足りないことはこれまで散々述べてきましたけど、あなたはこのストーリーを、あらかじめ準備して内容を検討し、どうすれば面白くなるかを考え抜いてから書き始めましたか?

 描くべきなのに足りないシーンが多い。
 衝撃の第五話。ヒロインは自分が不幸な境遇にあることを語りますが、これだけじゃ、単なる子供の愚痴ですよ。ヒロインの言葉は、彼女の被害妄想かもしれない。だって、何の証拠もなく、単にヒロイン一人が言っているだけなんですから。
 これがヒロインの口から語られたのではなく、例えば宿舎に入ったところで、最終話に登場した下種キャラ二人組が登場し、ネチネチと嫌味を言ってくる、とかだったら同情もしやすいし、ヒロインの被害妄想じゃないかと疑う余地もなくなる。そして、最終話でこの二人をぶっ飛ばすことにも意味が出てくる。

 余計な枝葉でしかないシーンもある。
 第四話での女王謁見のシーン、何の意味もないですよね。説明なら引き続きヒロインが行えばいい。ここで女王が語る説明って、「国家元首の女王が謁見に時間を割いてまでしなければならない必然性がある内容」じゃないですよね? 「謁見は召還された勇者全員が行う、国のしきたり」とかいう設定があったとしても、実際にシーンを描写する意味はここにはない。「女王に謁見した」の一文で済ませて、内容の確認はヒロインとの会話ででも行えばいい。四話の段階ではまだヒロインがどういう人物かまるでわからない状態が続いているのだから、少しでもヒロインと主人公を関わらせて、ヒロインのひととなりを読者に伝える努力をした方がマシ。

 もっともっと、きちんと考えて物語を組み立てましょう。



 以上となります。

 きちんと読書をしましょう。

 ただ漫然と読むのではなく、相手の技術を盗むつもりで、「この本の作者はどういった意図でこの物語書いているのか」ということを考えながら、シーンを分解し、要素を分析し、少しでも分からない言葉があれば辞書を引き、全てを貪欲に自身の糧となるように心がけて、読みましょう。

 あなたにまず足りないのは、単純な基礎力です。

投稿者: BAGO    [2013年 01月 08日 (火) 23時 10分] 18歳~22歳 男性
▼良い点
世界観、文章表現など
個性が表れていて、おもしろいです。
このまま、統一した文章表現を行っていけば
深みが出てくると思います。
▼悪い点
第一話の『分かってたはずなんだ……』と『帰り道……』の部分の間に、
……………………。
を入れると、学校が終わったということを上手く表せるように思います。

 よかったら、この方法を使ってみてください。
▼一言
あくまで個人的な感想なので参考くらいに思っていてくれるといいです。

 まず、個人的に、異世界に行くまでが早いように感じました。気怠い日常を表している部分に、もう少しボリュームを持たせ、リンとの出会いまでで、どれだけ今の日常にサトが飽き飽きしているのかを示せば、異世界に行くことに対する高揚感などを顕著に表せるんじゃないかなと思いました。

 また、リンとサトの会話も、ボリュームを出した方がいいと思います。淡々と進んで読みやすいという意味では良いのかもしれませんが、ちょっと信憑性に欠けるような気がするので……本当にそういうものがありそうと、読者に思わせられるように、事細かに書いてみようと思うと上手く書けるかもしれません。
簡単に言えば、リアリティですね(>_<)

 ――序盤ということもあり、まだまだ良くなっていくと思います。内容は、個人的に惹かれるものが多々あったので、お気に入りに登録させてもらいますね。
 一緒に、良作品を完成できるよう頑張って行きましょう!!(@^^)/~~~
ぐれねぃど    [2013年 01月 09日 (水) 01時 58分 33秒]
ありがとうございます!
リアリティですね!
もう一度推敲して現実味を帯びた文章になるように善処します!
頑張ります!
投稿者: 秋谷水人    [2013年 01月 07日 (月) 12時 24分] ---- 男性
▼一言
どうも、評価依頼の方から来ました。秋谷です。

まず文章の初めに一段落空けてある場所とそうでない箇所がバラバラにあったので、そこを統一すれば全体的にすっきりすると思います。
あとは、風景の描写が少なすぎると思いました。
主人公がリンに異世界へ誘われる場面でも、異世界の風景が書かれていないので、やや分かりづらいところがありました。
しかし冒頭部分は興味を引くように書かれているので、これからの展開次第で大きく変わっていけるのではないか、とも思います。
私もこのお話の先が気になります。是非これからも頑張ってください。
ぐれねぃど    [2013年 01月 07日 (月) 14時 13分 44秒]
ありがとうございます! 
三話からは気をつけて書きます。
二話も修正します、頑張ります!
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