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【鈴木健輔】取組前の独特の所作で人気だった大相撲の元小結・高見盛関(36)=本名・加藤精彦(せいけん)、青森県出身、東関部屋=が、初場所千秋楽の27日、現役引退を表明した。十両での最後の一番を白星で飾った後に東京都内のホテルで会見した高見盛関は、「全国の人に知られて、自分にはもったいないような、恥ずかしいような、うれしいような。親方として相撲界をもっと盛り上げたい」と話した。今後は、東関部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたる。
塩をたっぷりまき、最後の仕切りでは胸をたたき、観客と一緒に3度ほえて気合を入れる。このギクシャクした動きから、兄弟子だった元横綱曙太郎さんが映画のキャラクターをもとに名付けた「ロボコップ」の愛称で親しまれた。お茶漬けのりのテレビCMにも起用された。
人気のもととなった取組前の動きは、高見盛関にとっては恐怖に打ち勝つための儀式だった。「いつになっても土俵がおっかない」。そう語っていた。
「十両から落ちたら引退」と公言し続けていた。その十両残留には今場所、7勝8敗以上が目安だった。9敗目を喫し、転落が濃厚となった後も「取り続けなければならない」と千秋楽まで土俵を務めた。
まだ、独身。会見で「身を固める予定は?」と聞かれると、顔を真っ赤にさせながら、「相撲にかけてきた時間を、そっち(恋愛)に使える。ゆっくりやっていきたい」。最後まで、周囲を笑いで包み込んでいた。